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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔女、レベルMAXになってた編

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1 初めてのスライム退治

 村に向かう途中、ぶよぶよしたゼリー状のものに道をふさがれた。

「ああ、スライムか」

 見た目のせいか、緊迫感はない。猫が前に出てきたという程度の感覚だ。

 とはいえ、モンスターではあるようで、こちらを攻撃してやるという意思が感じられる。

 ここでナイフを抜く。

 攻撃を仕掛ける。
 ぶゆっ!

 効いてるのか……?

 再度、攻撃。
 ぶゆっっ!

 さっきより効いた気がする。
 ぶつかってこられるけど、とくにたいして痛くもなかった。

 さらに攻撃を仕掛ける。
 やがて、どこかでとどめになったらしく、スライムを倒せた。

 スライムは姿を変えて、小さな宝石に変わる。
 ゲームでモンスターを倒すとお金がもらえるけど、これがそれにあたるんだろう。
 自給自足には必要なので、遠慮なくいただくことにする。

 村に出るまで、あと二回スライムと遭遇して、倒した。
 けっこうスライム、いるんだな。

 村はそんな大きな規模ではないが、なかなかこぎれいだった。スイスに似ている。
 そういえばスイスも一度は観光で行きたいと思っていたのに結局過労死で行けなかったのだ。まあ、休暇を取っても旅行の前に家で寝れるだけ寝ることに使っただろうが。

 親切そうなおばさんを見つけて、声をかける。

「すいません、高原の一軒家に引っ越してきたんですが、この村のこと、いろいろと教えてもらえませんか?」

「ここはフラタ村だよ。村のことなら、ギルドの受付のナタリーちゃんがよく知ってるかねえ。ほかの土地から来た冒険者に村のことを説明したりするからね。説明も手馴れているんだよ」

 なるほど。ありそうな話だ。

「ありがとうございます」

「初めて来たんだろ。ギルドまで案内してあげるよ。といっても、小さな村だからそのうち見つかるだろうけどね」

「ありがとうございます!」

 本当に親切だったおばさんとともにギルドに行った。たしかに小さな建物だ。平和そうだし、そんなに冒険者の必要とかもないんだろう。

「あっ、イマルおばさん、こんにちは」
「ナタリーちゃん、この子、新しく引っ越してきたんだ。村のことを教えてやってくれ」
「ああ、いいですよ。では、この受付で」

 ガラガラのギルドの受付に私は向かう。ここでイマルおばさんとはお別れだ。近所に住んでるわけだから、そのうちまた会うこともあるだろうけど。

「私、梓と言います。高原の一軒家に引っ越してきました」
「ああ、あそこにですか。私はナタリーです。さて、フラタ村のことから話しましょうか」

 フラタ村のことをナタリーさんは説明しだす。たしかに何度も同じようなことを説明しているのか、流れるようによどみがない。

 村自体はとにかく平和、平和、平和ということだった。村を歩いていても明らかに牧歌的な空気が流れてる。
 牛や羊を割とたくさん飼っていて、乳製品作りが特産ということだった。
 この土地を持っている伯爵も遠方に住んでいて、その伯爵に任命された地元出身の村長が特にトラブルもなく治めているという。

「このあたりはスライムぐらいしかモンスターも住んでいないんです。なので、村の外で居眠りしても安全なほどです」
「それは本当によかったです」
「小さな村ですが、パンや塩といった最低限の生活必需品は買えますからご心配なく。ただ、人口がそんなに多くないですし、商売をするのは大変かもしれませんが」

 そのナタリーさんの言葉で思いだした。

「そうだ、途中、スライムを倒して宝石を手にしたんですけど、これは?」

「ああ、モンスターを倒すと魔法石という宝石が出るんです。このギルドで換金できますよ。これだと六百ゴールド、銅貨六枚ですね」

 だいたい日本円で六百円ぐらいだろうか。喫茶店に一回行けるだけの値段だけど、家賃がかからないなら、必要な分だけスライムを倒して一応暮らしていけるな。

「じゃあ、早速換金してください」

「換金するためにはギルドに冒険者登録をしてもらう必要があります。構いませんか?」
「はいはい、問題ないです」

 そこで、ナタリーさんは石板みたいなものを出してきた。

「職業なんですが、この石板に手を置いていただくと、職業やステータスが表示されます」

 なんか指紋認証みたいだなと思いながら載せる。

 すると、ステータスが石板の上部に表示される。

=====
アズサ
職業:魔女
レベル1
 体力:6
攻撃力:6
防御力:7
 魔力:9
素早さ:8
 知力:7
特殊能力など:薬草に関する知識、魔女の力により不老不死
獲得経験値:6
=====

「えっ! 不老不死! すごいですね!」
 ナタリーさんが驚いた。そりゃ、驚きもするか。
「魔女の方はたしかに体の中を流れる魔力――マナを調整するので長命なことはよくあるんですが、レベル1で不老不死というのはどういうことでしょうか。とてつもなく適性があるんですかね」

「なんででしょうね……。運がいいんでしょうね」

 転生した時のボーナスですということは黙っておこう。

「では、魔法石スライム三匹分の六百ゴールドですね」
 銅貨六枚を私はいただいた。

「じゃあ、これからもスライムを倒してお金を稼ぐことにします」
「はい、これからもギルドをよろしくお願いします、アズサさん!」

 その後、私は金貨を使って、食材や畑に植える種などを買った。

 これで長らくここで暮らしていく下準備は整ったのではないだろうか。

 帰宅する最中も、スライムが三度顔を出してきたので、ナイフで退治した。
 貴重な収入源である魔法石をゲット。



 その日から私のスローライフ生活がはじまった。

 とにかく、だらだら、だらだらと暮らした。

 まず、寝たいだけ寝る。
 畑の手入れは一応、やる。
 体を動かしたい時はスライムを倒す。これは貴重な現金収入なので毎日最低二十体は倒すことにしている。

 近くの森などに入ることもあった。
 魔女だからなのか、どの草が薬草になるかといったことがすぐにわかるのだ。
 時折、薬草を作って、村に売りに行ったりもする。儲ける気もないので相場より安く売ることにしている。

 また、もし村に急病人が出たら診察して薬草から作った薬を出すようなこともした。さすがに村の人がばたばた倒れていくのを見殺しにはできない。

 そういうことをしていたら「高原の魔女様」と尊敬を集めるようにもなった。チーズとか乳製品を持ってきてくれる人もいて、ありがたい。

 あとはとくに何もしない。

 魔導書でも読もうかと思ったが、とにかく高い。でも、スライムをひたすら倒して積み立てたお金で何冊か買った。ほしいものがあるとスライムを倒すのにも気合が入る。

 ほかは別に変わったこともないな。

 不老不死だからなのか、当然老いることもないし、体調崩すこともほぼないし。
 高原の家に会いに来る人も原則ないし、とくに困ったりもしない。日本でOLしていた時も一人暮らしだったし。

 困ったことといえば、こっちが不老不死だから村の人が死んでいくのを看取ってしまうことぐらいか。でも、これはしょうがない。耐えるしかない。長命なエルフの村のそばなら大丈夫だったかもしれないけど。



 そして、三百年が経った。



 そう、私は三百年間、スライムを倒す生活を続けてきたのだ。

 スライムを倒すことにかけては自信がある。どこにナイフを刺したら一撃で倒せるか完璧にわかるのだ。もっとも、ナイフを使わなくても、手や足だけでも倒せるが。少しはレベルが上がっているんだろうか。

 さて、その日も、私は日課であるギルドの戸を叩いた。

 魔法石の換金をしないといけないからだ。

 ナタリーさんから数えて何代目だろうという女性職員さんのところに魔法石を持っていく。この人は最近、新しく入ってきた人で、まだ名前をはっきり聞いてない。

「こんにちは」

「あっ、高原の魔女様!」

 もう、すっかり高原の魔女の名前で私は知られている。三百年生きてるから、村の歴史も私が一番詳しくなっている。

「今日の魔法石です。スライム二十六匹分ですね」

「はい、確かに確認しました。五千二百ゴールドですね」

 私はそのお金を革袋に入れる。

「あっ、そうだ。高原の魔女様、気になってたことがあるんですけど」

「うん、何?」

「高原の魔女様ってどれぐらいの実力なんですか?」

「実力? 戦ったこともないし、わからないよ」

 換金をするために冒険者ということにはなっているが、冒険をしたことなどない。冒険ということは命懸けだ。私は平和なスローライフのほうが合っている。

 職員さんはあの石板を出してきた。

「一度、ステータス見せてもらえませんか?」
本日あと二回ぐらい更新できればいいなと思っております。

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