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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

珍しくダンジョンに潜ってみた編

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192 地上に出てきた

 私たちは知り合いということもあり、ペコラのパーティーと合同でダンジョン攻略を目指すことにした。

 八人が横に並んで歩ける道なんてあるわけがないので、二列縦隊で進む。
 一番前はヴァーニアとフラットルテ、私はその後ろでペコラと歩いている。
 ちなみに手をつなぎながら。遠足かよ。

「これはお姉様とデートととらえていいんでしょうか」
「絶対に違うでしょ。それなりにダンジョンの深いところだからね。ここでデートしたカップルはたいてい別れると思うよ。それ以前に死ぬ」

「けど、この遺跡って何なんでしょうか。魔族のほうでも、まったくノーチェックですよ」
 ペコラが手をつないでないほうの手の指をくちびるにつける。しぐさがよく似合っている。
 後ろからファートラが「はい、城の書庫の資料では何も書いてありませんでした」と補足した。
「となると、ここって謎の古代文明とかそういうの? それならそれで面白いかも。すごい、お宝もあるかも!」
 大人数な上にパーティーが強すぎるので、楽しみを宝探し的なところに見出していく作戦。

「お姉様のおっしゃるようなものだといいのですが、これまでに見つけたアイテムは少し新しすぎたんですよね」
「え、新しい?」

「はい。小さい茶器などは布でくるんで運んでもらっていますが、謎の文明とかそういうのではなかったですよ。安物ではないですけど、どこかの町で売っていても不思議はないものでした」

 私は嫌な予感がした。
「まさか、寂れた田舎を盛り上げるために変な地下遺跡があるとかヤラセをやってるんじゃ……。それで、適当なアイテムを置いてるとか……」

「アズサさん、それは多分ないですよ。こんな地下まで来てダンジョン内を改造するの、ものすごく大変ですから。ミミズがそこそこ強くなってるのは事実ですし、実行するにはかなり強い冒険者を雇わないといけませんから、冒険者を呼ぶイベントだと噂が広がってばれちゃいますよ」
 前を歩くヴァーニアが新しいミミズを突きながら言った。

「よかった、よかった。そっか、ここに来るだけでも普通は苦労するんだよね」
 パワーインフレのせいで、そのあたりのことを忘れそうになる。

「けど、置いてあったアイテムが全体的に物置きにあるいらないものって印象だったんですよね。さっきも不要なお皿とかでしたし。どういうことなんでしょうかね?」
 ヴァーニアは呑気に出現した魔法石を拾っている。本当に緊迫感がない。

「そのあたりは謎だけど、このまま冒険を続けていけば謎も解けるんじゃない? 謎を解くのが冒険者の仕事なんだし」
 割といいこと言ったつもりだったけど、誰も何も反応してくれなくて、少し寂しかった……。

「お姉様、今の一言、かっこよかったですよ」
「変に間が空いてから言うの、かえって恥ずかしいからやめてよ!」



 階段を下りて、もう一つ下のフロアに進む。これで地下三十五階だ。
 この階はこれまでも湿っていたダンジョンがいくところまでいって、排水溝が道の両脇に設置されていた。地下鉄の駅みたいだ。

 一方で、そのフロアの扉にはこんな言葉が書いてあった。

『湿気に弱いものを入れる部屋』
 中を見ると、がくぶちに入っている絵とか、たしかに湿気を受けるとダメなものが収納されている。一言で言えば、物置きだ。

「この目で見ると、もう、絶対に古代文明じゃないね……」
「でしょう。わたくしも興ざめしちゃいました」
 自分の理解を拒むものが何もない。普通に友達の家の倉庫でも見ている感覚だ。

 そして、さらに進むと、意外なことが起きた。

 道の先で、淡い光が差し込んでいるのがわかった。
「えっ? ダンジョンの中なのに何が起きてるの?」
「ご主人様、行ってみましょう!」
「わたしも魔王様パーティーの代表として行きますよ!」

 フラットルテとヴァーニアが走る。私もそれを追いかける。ただ、ペコラが手をつないでるのであまり速度は出なかった。
「妹の手を離すのは重大なマナー違反ですよ。お姉様失格です!」
「はいはい……」

 そのまま、手をつないだまま光のほうに行くと――
 私たちは地上に出た。

 そこは深い谷の底のような場所で、見上げると、崖の上からわずかな光が注いでいた。周囲は湧水が洞窟をたどって流れていたのか、水がぽたぽた落ちていて、いろんな種類のシダが生えている。マイナスイオンが多そう。小さな滝と言えなくもないものもある。

「ああ、こういうことですか。我の考えていたとおりでした」
 すぐにライカはその地域の地図を取り出して、うなずいていた。本人は納得しているようだけど、私にはよくわからない。

「ライカ、説明を求む」
「このブーガビーから少し離れたところに深い谷があると書いてあったんです。谷が深いということは、ダンジョンを下っていくと、谷にぶつかって地上に出てしまうということです」
「じゃあ、これがダンジョンの終点かあ」

 私はその水がしたたる光景を眺めていた。
 ボスとかがいないのが残念だけど、冒険は冒険かな。

 それにどことなく、なつかしい気持ちも感じる。どうしてだろう。日本でこんなところに来たことはほぼないんだけどな。
 違う。前世の記憶だなんてあいまいなものじゃない。
 私はこの景色の場所に来たことがある。

「なんでだろ。私、強いデジャヴみたいなものを感じる」
「アズサ様、昔、このあたりを旅行なさっていたんですか?」
 ライカが不思議そうに尋ねてくる。

「そんなこと、絶対にないんだよ。高原の家からろくに出歩かなかったし。なのに、なのに……私、ここの景色を覚えてるんだ」
 どういうことだ? ほんとになんで、こんな感覚が起きているんだ?
次回に続きます!

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