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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

珍しくダンジョンに潜ってみた編

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191 ペコラ参戦の理由

 こうして、私たちは地下深くで魔族のパーティーと遭遇したというわけだ。

「ところで、ペコラ、なんであなたがここにいるの?」
 どうして、こういうことを聞いたかというと、ペコラというと悪だくみ、悪だくみというとペコラというようなところがあるからだ。そんなものに巻き込まれてはたまらない。

「あの、お姉様にはご理解されないかもしれませんが、わたくしって魔王ですから、ずっとお城にいなければいけないんですよ。それはまさしくカゴの鳥です」
「あなた、けっこう外に出てきてない? まあ、いいや。続けて」

 後ろでファートラが、「魔王様、どの口でそういうこと言ってるんですか」みたいな目をしていたので、私のツッコミは割と正しいと思う。
「百歩譲って、わたくしがよく出歩いているとしてもですよ。王たる身ですから、あまり暴れるようなこともできないんです。それに魔王が暴れると、場合によっては人間の方々が恐怖することにもなりかねませんし」

「そういえば、魔王って人に恐れられる存在だったね……。アイドルみたいなことまでしてたし、すっかり忘れてたよ」
「でも、わたくしだって、年頃の女の子なわけです! ほら、みんながやるようにダンジョンに潜って宝箱とか探したいじゃないですか!」

 ツッコミ入れたいけど今回のペコラの目はマジだった。
「わたくし、ダンジョンを冒険する小説も幼い頃からたくさん読んできました。とくに『ダンジョンとドワーフ』シリーズ、通称『DとD』シリーズなんて大好きでした!」
「へ、へえ……」

 いつもと違ってペコラが目の色を変えて、語っている。そういえば、この子、読者家だった印象はある。子供時代に出歩くのに制約があるのはおそらく事実だったろうし、そうなると娯楽も本みたいに部屋の中ですむよなものになっていったんだろう。

「お姉様、ご存じですか? 『DとD』はダンジョンを一フロア攻略する部分だけで、読んでると四時間ぐらいあっという間に飛んでしまうんですよ!」
「重厚すぎる!」
 実際のダンジョン攻略より時間がかかってるよね、それ。

「ですが、魅力的な展開で飽きずに読むことができるのです。巨大なイモムシの攻撃を受けて、味方の冒険者が次々と死んでいくシーンなんて圧巻でしたよ」
「えっ、味方死んじゃうの……?」
「はい。『DとD』では弱い冒険者は割合あっさりと死にます。そこがまたリアリティがあっていいんです。ついついわたくしはモンスターのほうを応援してしまいますし」
 やたらと複雑な楽しみ方をしているな……。

「昔は自分もダンジョンで冒険者を容赦なくやっつけたいななんて考えながら、夜、眠りについたものです」
 ペコラは胸の前に本が合って、その本を抱き締めるようなしぐさをした。
 それと、魔王が待っているダンジョンとかハード・モードすぎる。

「ですが、そんな夢をかなえることも当然できず、魔王のお仕事を続けていたというわけです。誰か魔王、替わってくれませんかね」
 後ろでファートラが「いけません」と冷静に言った。私の知ってる子の中で一番真面目な可能性が高い。

「そんな折、このブーガビー地下遺跡の話を聞きまして、よーし、コンプリートしよう、冒険者らしいことをしようと参加を決めたわけです」
「その部分は私と発想が近い……!」

 私も冒険者的なことがしたかったんだよね。それは一つの夢だよね。
「あっ、お姉様もそうだったんですか? わー! さすが姉妹同士、考えが合いますね!」
 ペコラが私の手を持って、ぶんぶん振った。私と性格はかなり違うと思うけど、妹分だと公認しちゃっている。

「ちなみに四人参加でないとダメだったんで、わたしたちは付き添いで駆り出されましたー!」
「扱いとしては出張になります」
 リヴィアサンの血のつながってる姉妹のほうが答えた。

「私は出張手当がつくので、喜んで参加しました。心・技・体・金、武闘家としてすべてをおろそかにせずに頑張ります」
「ブッスラーさん、心技体に余計なものがついてるよ」
 とはいえ、武闘家がパーティーに一人ぐらいいてもバランスとれるんじゃないだろうか。ただでさえパーティーもリヴァイアサン二人でバランスが悪いし。いや、待てよ……。

「そもそも、あなたたち、エントリーシートみたいなの、どう書いたの? ほら、職業とか書くやつ」
 魔族が来るぐらいは許されても、職業欄に魔王とか書いたらパニックになるぞ。まあ、どうせふざけてると思われただろうけど。

「それなら、私が提出いたしましたね。控えがどこかにあったはずですが」
 がさごそとファートラがエントリーシートを見せてくれた。

=====
  名前     職業  種族

1 ペコラ    公務員 魔族
2 ファートラ  公務員 魔族
3 ヴァーニア  公務員 魔族
4 ブッスラー  武闘家 魔族
=====

「ほとんど公務員になってる!」

「国の役人ですから、私たち姉妹は公務員です。魔王様も職務内容は公務ですので、公務員で問題ないと判断いたしました」
 なるほど。ウソは何も言っていない。

 このままではまさかの無職と公務員だらけのパーティーでダンジョンが制覇されてしまう。これでいいのだろうか。

「これならわたくしも心置きなくダンジョンを楽しめますからね! パーティー的にも不測の事態に陥ることも絶対にありませんし、気楽です!」
 ペコラは本当にはしゃいでいるらしく、悪魔っぽい尻尾が少し揺れて動いていた。

「ただ……一つ残念なことがあるとすれば……」
 ペコラが後ろを向く。
 そこにはかなり強いはずの巨大ミミズがゆっくり近づいてきていた。
 ペコラが木の棒で突くと、あっさりミミズはやられて、魔法石に代わる。

「ここのダンジョン、ぬめぬめしたのが多すぎるんです……。こんなことなら、剣を用意するんでした……」
「そうですね、私も武器など不要だとタカをくくっていました。失敗です」
 ファートラが表情を変えずに非を認めた。

 敵が不快という、地味だけど大きな困難にぶち当たってしまったわけか。

「まっ、いいじゃないですか。木の棒で倒せますから~。なんでしたら、アズサさんたちの前に来る敵も倒しますよ~」
 ヴァーニアが言った。たしかに荷物を持つの手伝いますよ程度のノリのことだよね。

「じゃあ、お願いしようかな。ずっとミミズから逃げ続けるの大変だし」
 でも、そこで私はとある問題を感じた。

 私、ダンジョンに来て、結局、一度も敵を倒さずにクリアしちゃうんじゃ……。
仕事で山形に来ていますが、しっかり更新します!

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