挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

珍しくダンジョンに潜ってみた編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

191/282

189 逃げるが勝ち戦術

 私たちはモンスターから逃げ続けるという選択肢を使って、力技で先へ先へと向かった。
 こちらの移動速度を考えれば、敵の攻撃をすべて回避することなど余裕なのだ。

 途中、ほかの冒険者パーティーもいたが、気にせず追い抜いたり、すれ違ったりした。

「なんだ、あのパーティー? こんなところに強敵、出現したか?」「うわ、やたらとミミズが来る!」

 すれ違ったパーティーの悲鳴がした。ごめんなさい。でも、勝ち目がないような敵はいないからやっつけて。

「ううむ、こんな非常識な方法が成り立つとはのう……」
 途中から面倒になったベルゼブブは空を飛んでいる。これならミミズもナメクジもたいして怖くない。キモい虫は途中からあまり出てこなくなった。浅い階層だけの敵らしい。
 ベルゼブブの後ろを私とライカとフラットルテが追いかける格好だ。

「アズサ様、このように敵に背を見せ続けるのはよいものなのでしょうか?」
 ぶっちゃけ、魔法で凍らせることはできる。
 ただ、そもそも戦闘自体をしたくないのだ。できればそういう華麗な魔法ももっとまともなモンスターに使いたい……。

「じゃあ、ライカはあんな気持ち悪い敵と戦いたい?」
「……逃げましょう」
 優等生も不気味なモンスターは嫌なのだ。
「そうだよ! きっと、もうちょっと地下に行けば本格的なモンスターもいるよ! それまではショートカットするよ!」

「ずっと走っていたら楽しくなってきたのだ!」
 フラットルテは両腕を振って、笑っている。背後からはたまにモンスターが追いかけてくるけど、すぐに引き離される。

「ダンジョン内マラソン大会になってきたね。でも、まあ、これでいいか」
 私たちはまったく止まらずにダンジョンを走る。地下十四階まで来ると、テーマパーク感はなくなってきたけど、私はそのまま行く。

 地下十六階まで来たら、スタンプのある場所で一度休憩した。ベルゼブブのスタンプラリーもたまってきた。
「次は地下二十階じゃな。かなりスタンプもたまってきたのじゃ。豪華景品って何なのかのう」
「あんまり期待しないほうがいいよ。それにしても……いまだにミミズやナメクジが出てくるなんて……」

 しぶとく、ミミズとナメクジがメインのモンスターとして出現してくる。全然戦いたくない。もっとスタイリッシュなモンスターはいないのか。触ってもいいと思うようなのはいないのか。
「ミミズもナメクジも勝手に増えそうじゃからのう。奴らの牙城になっておるんじゃろうな」

 スタンプラリーの机に、「お客様の声」と書いてあるポストがあったので、「エンカウントするモンスターが不気味」という苦情を入れておいた。

「でも、どこまで地下に行っても同じようなモンスターしか出ないなんてダンジョンは聞いたことがないのじゃ。いずれ、個性豊かなモンスターたちが出てくるじゃろう」
「わかった。そうだよね。ミミズなんてザコモンスターがいつまでも登場はしないよね」
 その言葉を信じるよ!

 私たちはさらに地下へと進んだ。
 そして、十七階でついにミミズでもナメクジでもないモンスターが来た!

 巨大なムカデだった。
 うねうね動くのが、生理的にきつい。

「素手で倒せる奴が来てよ!」
 ワンパンで倒せるだろうけど、パンチしたくない!

「これは巨大ムカデじゃな」
「ベルゼブブ、名前がテキトーなんだけど……」
 巨大ってつければ全部モンスターになるって発想を感じる。

「むむむ……これはあれじゃな。モンスターの質に問題があって、冒険者があまりやってこんのじゃろうな……」
 本職の冒険者ももうちょっとまともなモンスターを倒したいよね。

「まあ、まだ逃げ続けるしかないみたいだね」
 私たちは背を向けて、また逃げ出した。

 そして地下二十階。ここでもベルゼブブがスタンプをゲットしていた。

「地下二十七階でスタンプが全部たまるのじゃ。よーし、やるぞ!」
 最後は二十七階か。それなりに深いところにあるんだな。

「もう、これだけ潜れば、いいかげん、いいかげん、いいかげん、ミミズでもナメクジでもムカデでもないモンスターがおるはずじゃ。行くのじゃ!」
 キモい奴に会わないために地下に突き進むという謎の動機になってきた。

 地下二十一階まで来ると、テーマパークの残骸要素もなく、ただの坑道の残りカスって印象の場所だった。
 さあ、叩ける敵よ、出てこい。いいかげん、戦闘もしたい! ちゃんとダンジョン攻略させて!

 私たちの前に、中身のない鎧が出てきた。

「やったー! これなら殴れる!」
 私はぐるぐる右腕をまわした。これでやっと冒険者らしいことができる。魔法石もゲットするぞー!

 だが、その鎧に近づくと――
 鎧の隙間から、うねうねとべとついた触手みたいなものが出てきた。

「なんか、住み着いてるっ!!!」

「ああ、これはヨロイツムリという、つまり、ナメクジの仲間であるのう」
「やっぱり触りたくない! よく見たら鎧の表面もぬめぬめしてるし!」
 粘液とかがついてる! 絶対にパンチしたくない!

 私たちはまた逃げた。
 逃げて、とっとと地下の階段を見つけて下りる。

「ベルゼブブ、このダンジョン、いくらなんでも生息するモンスターが偏ってない?」
「そういえば、どことなく湿っておるのう……。湧水でも出ておるのじゃろうか」
「失敗したかな、行くダンジョン……」

 もっとモンスターが強い森とかそういうところにするべきだったかも。

 ついに私たちは地下二十七階まで到着して、ベルゼブブはスタンプをすべてゲットした。
「よし、なんか引き換えできるはずじゃぞ」
 ベルゼブブは私とは違う方法でモチベーションを保っていた。

 一方、このあたりまで出てきたほかの冒険者はかなりくたびれている。
 傷だらけの相手のリーダーらしき剣士が話しかけてきた。
「おお、そっちのパーティーは若いのか、元気だね」「こっちはそろそろ限界だから戻るよ……」「モンスターもかなり強くなってきたし……」

 ずっと逃げ続けてきた私たちにはいまいち実感がない。

「だんだん巨大ミミズも強くなってるけど、よく頑張ってるな」

 逃げましたと言うの、少し恥ずかしくはあるな。
「全力を尽くしました」
 ウそはついてないという方法で乗り切ろう。

「そうか。君たちのほかにも強力な若い冒険者がいたのだが、どちらも記録更新を狙えるかもな」
「へえ、そうなんですか」とふんわりした返答。

「うん。なんか、みんな木の棒を持っていて、敵をすべて突いて倒していたようだ。絶対に触りたくないとか言っていた」
「賢いですね、そのパーティー……」

 もし、明日もダンジョンに潜る時は木の棒は必須かもしれない。
 でも、逃げるが勝ち戦術(戦ってないけど)でかなり深いところまで来れたし、このままゴリ押しで行くべきかもしれない。
 最短時間でゲームをクリアするとかいう動画みたいなことをやってるよな。

「それでは、先を行くパーティーに追いつくのを目標に進みましょう、アズサ様」
 ライカが違う目標を見つけて気合いを入れているが、実は私の背後にいる。
 あんまりモンスターを見たくないらしい。
 理由はわかるけど、ドラゴンに壁にされる私っていったい何なのか。
GAノベル3巻も重版が決定しました! ありがとうございます! 現在、5巻のドラマCD同梱版の予約を受け付けているようです。まだ、かなり先ですが、アズサやライカたちに声がつきます!

また4巻作業もかなり進めております。4巻は世界精霊会議編までを収録予定です。アズサが小さくなっちゃったり、魔族の音楽祭に行ったりします!

20161213_slaim_syoei01.jpg
GAノベルさんより発売中です! 5巻は2018年1月15日発売! 1巻は10刷を達成いたしました! ↑をクリックしていただければ紹介ページに飛びます!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ