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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

珍しくダンジョンに潜ってみた編

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186 村おこしダンジョン

 ブーガビー地下遺跡に入って、最初の感想。
 ものすごく涼しい。

 そういえば日本に住んでた頃、どこかの廃坑を使った施設に行ったことがあるけど、真夏で外は三十五度なのに、炭鉱の中は十五度ぐらいだった気がする。地下から風が入ってくるのか、自然のクーラーになっているのだ。
 あの時は涼しいどころか、むしろTシャツ一枚だったので寒くてきつかったけど、あれに近いかもしれない。

 実際、ライカが嫌な顔をした。
「こ、こんなにダンジョンって寒いんですか……。これはあまり楽しくない展開ですね……」
「涼しくて、気持ちいいぞ! もう、手あたり次第壁とかぶち破りたいぐらいなのだ!」
 その分、フラットルテがはしゃいでいるので、ドラゴン二人でプラマイゼロになっている。似た種族でも環境によって、得意な状況が変わるんだな。

 そして、ブーガビー地下遺跡に入って、私たちがまず見たものは――

=====
ブーガビー鉱山のなりたち
この地域は昔から銀が取れるという伝説が多くあり、千五百年ほど前から小さな銀鉱はあったと言われています。そこに本格的な鉱山ができはじめたのは今から四百五十年ほど前と言われています。
=====

 資料館っぽい案内板だった!

「おお、昔の鉱山道具が展示されておるのう」
 ベルゼブブが普通に並んでいるものを見学していた。

「いや、ダンジョンってこういうものじゃないでしょ……。あっ、地図を見たら地下二階まで資料館になってる……」
 地図にはトイレがどこにあるかの表示まであった。親切設計ではあるのだが、どうも、いまいち冒険って空気が出ない。
 せっかくのファンタジー世界なのだから、もう少しそれっぽい感じを演出してほしいところだ。

 実は本格的なダンジョン攻略って一度もやったことがなかったので、少し興味があったのだ。
 高原でのスローライフもいいけど、せっかくレベルが99なんだし、たまにはバトル中心というのもいいかもなと思っていた。
 いきなり資料館か……。たしかに地下八階からが本格的なダンジョンって言ってたし、しょうがないかな。

 しかし、この資料館が思わぬ罠になった。
 ライカがやたらとじっくり展示を見ることで極端にゆっくりになっていく。
「ふむふむ、ためになりますね。坑道はこのように掘っていくのですか。ドワーフの方の苦労がしのばれます」
 ライカは寒いのも忘れて、一字一句漏らさずに案内のパネルを読んでいる。真面目な子すぎる。

 その一方で、フラットルテが「つまらん」とどんどん先に進んでいってしまったのだ。

 中学校の社会科見学で行った博物館で起こるやつだ、これ!
 地元の古墳時代の出土物とか置いてあるけど、だいたい興味のない奴はスルーするんだよな。

 ちなみに私は案内板を読んでいるふりをして、結局あんまり読んでいないという、もっとタチが悪いかもしれない状態になっていた。
 そんな私の横をベルゼブブが律儀についてくる。案内は雑に読み飛ばしていると思われる。どうも、あまり楽しくはなさそうだ。

 そして、地下二階の手前に「スタンプラリー」と書いてある机が置いてあった。

 なんでも、地下二十階までにあるスタンプをすべて集めると景品がもらえるらしい。
 ベルゼブブはちゃんとスタンプをぺたんと置いてある用紙に押した。
 押してから、はぁ……とため息をついた。

「どんなダンジョンかと思ったが、どうも調子はずれじゃのう。このノリが最後まで続くのかのう……」
 ベルゼブブはまあまあがっかりしている。
 その気持ちはわかる。私もこれはもしや地雷なのではと思いはじめていた。

「いや、これから難しくなるかもしれないよ。うん、まさかこのままってことはないでしょ。これはたいしたことない冒険者の人でも楽しめるようにしてるだけ。うん、きっと、そう!」

 地下二階の終点ではフラットルテが待っていた。
「ご主人様、案内がどうでもいいからスルーしてきました」
「展示見ないのは別にいいけど、あんまり先に行くのはやめてね。あくまでもパーティーだから」

 そのあと、ライカがようやくやってきた。
「これ、展示の図録はどこかで売っているのでしょうか?」
「どんだけ優等生なの!」
 あと、さすがにダンジョンの中では売ってないだろう。

 地下三階以降は、ブーガビーの村の観光案内が続いたので、さすがにパスした。

 そのあとも地域の特産品紹介とか、民芸品のコーナーとか、地域の祭りについてのコーナーとか、どうでもいい解説などが続く中、ついに地下七階の終点までやってきた。

 この下からは強力なモンスターが出るので、冒険者以外は立ち入り禁止とドクロマークで注意が書いてある。
「むしろ、ここまでモンスターが出なくてフラットルテはつまらなかったのだ。ここから先は暴虐の限りを尽くすぞ!」
 発言が冒険者じゃなくてモンスター側なのが気になるけど、つまらないのはわかる。この子、展示を何一つ見てなかったもんな……。

「すいません、ここでちょっと休んでいってもよろしいでしょうか……」
 だがもう一人のドラゴンであるライカが遠慮がちに手を挙げた。
「あれ、まだ戦闘もないのに疲れちゃったの……?」

「展示をじっくりと見ていたら、足が疲れてきまして……」
「それも博物館とかでよく起こるやつ!」
 場合によっては一時間や二時間、立ちっぱなしで展示品を見ることもあるので、かなり足にくるんだよね。その気持ちはわかる。

「こんな時、本物の博物館とかだと併設してる喫茶店で休んだりするんだけど、ここは腐ってもダンジョンだしね」
「いや、あそこに喫茶店ならあるのじゃ」
「ほんとにダンジョンなの、ここ!?」

 階段のすぐ横に、『喫茶 ひまわり』という名前の店が本当にあった。
 広めの坑道のところに無理矢理木材を入れて、建物にしたようだ。

「ううむ……。ここのダンジョンは逆の意味で冒険者泣かせじゃのう。このままではたんなる地方都市の観光をさせられて終わりになってしまうぞ……」
 再び、ベルゼブブが危惧を口にする。
 私もじわじわとそんな気がしてきた。

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