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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

珍しくダンジョンに潜ってみた編

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185 ヤバいパーティーが来た

 ブーガビーの村は内陸にあって、街道などからもはずれている、いかにも寂れそうな条件が整った村だったが、建物の規模は大きいものが多かった。
 つまり、鉱山でかつては栄えていたってことだろうな。酒場の数もやたらと多いから、鉱山で働いてた人がそういうところで遊んでいたのだろう。昔は村じゃなくて「町」と呼ぶべき規模だったのだろう。

 そんなブーガビーの村が冒険者でやけににぎわっていた。
 村はいかにも冒険者って人で埋め尽くされている。

「歓迎 冒険者様!」と書いてある旗がひるがえっていたりする。ダンジョンで復興をはかろうと必死らしい。

 受付を行っているギルドに向かう。
 看板には「ブーガビーギルド兼観光案内所」と書いてある。

 中に入ると、職員の女性がすごく目をきらきらさせてこちらを見てきた。妙に期待されているような……。
「はい、地下遺跡に潜るパーティーのリストです……」
 少し緊張しながらリストを提出する。これを提出せずにダンジョンに潜っても記録などが無効になる。

「はい! たしかに受け取りました! では、こちらは村でのお買い物の時に使えるクーポン券です!」
「あっ、どうも」
「それとこちらは観光マップです! 少し離れた谷に五百年前の砦が建っていますので、ぜひごらんください! この地区には立派な二段組みの滝もありますから! それとソバの粉を使ったガレットという料理を今、広めていまして、このマークがついている店でオリジナルのガレットが食べられます!」

 なんか、やけに観光の説明をされている!?
「あと、馬車が三十分は無料ですので、そちらもご利用いただければと! あー、それと宿は決まっていますか? こちらに一覧があるんですが――」
「待って、待って! 私たち観光客じゃなくて冒険者ですからね!?」

 どうも、こちらの思惑と村の側の思惑にズレがないか?

「あ、ですよね……。わかってはいるんです……」
 受付の女性は少し落胆したため息をついた。
「ですが、ブーガビーの村は着実に人口も減少していまして……。そもそも産業がないので人が生活できなくなってきているんです。それで、せめて観光に力を入れて、少しでも活気を取り戻そうと……」
 どうにも生々しいな。

「まっ、とっとと地下遺跡とやらをクリアできれば、空いた時間に観光をすればよいじゃろう。今回は業務の一環なので、有休も使わずにすんでおるのじゃ」
 ベルゼブブは出張先でついでに観光するような発想でいるらしい。

「フラットルテは無職だから、いくらでも遊べるぞ!」
「あなた、どうして無職ってことを得意げに言うんですか」
 ライカはそこに羞恥心を感じるらしい。

「無職ということはまだ無限の可能性があるということなのだ。無色だからこそ何色にもなれる!」
 なんか、無職と無色をかけて、上手いこと言ったつもりのようだ。
 それはどうよと思う反面、これぐらいのおおらかな心で生きたほうがよかったかもしれない。

 少なくとも、過労で自殺した人や就活失敗して自殺した人のニュースを前世で見てきたから、それだったら無職で文句あるかって態度のほうがいいのかな。まずは生きていることが重要だ。

「あっ、皆さんのパーティー、職業欄がかなり……その、個性的ですが、大丈夫ですかね……? 戦士や魔法使いや僧侶が並んでいるものと比べると、かなり異色で……」
 受付の人も気づいたらしい。

「大丈夫。なんとかなるのだ」
 普段はあまり気にならなかったけど、フラットルテ、今更ながら、すごくバカなんじゃ……。教育を施したほうがいいのかな……。

「ちなみに、この農相というのは、冗談ですよね……?」
「本当じゃぞ。ウソを書いたら責任問題になるしのう」
 たしかに農務大臣が職歴に「ハイパーメディアクリエイター(笑)」とか書いたら、クビになると思う。こういうところには本当のことを記入すべきなんだろう。

「わ、わかりました……。では、地下二十階までの地図はこちらで配布いたしておりますので、ご利用ください。毒を使用するモンスターも出現しますので、くれぐれもお気を付けくださいね」

「ちなみに、これまでの最高記録は地下何階なのですか?」
 ライカが尋ねた。まともなライカがパーティーの良心に見える。

「地下三十三階です。もともと鉱山だったので地下はかなり深かったんです。なので、浅い階層はほとんど降りるだけですね。本格的な戦いになるのは地下八階ぐらいからだと思います。地下三十四階から先は証明用にぜひ何か証拠になるものを持ってきてください」

「ありうる話ですね。それと、もう一つ確認したいのですが」
 ライカがなぜかフラットルテのほうを一瞥してから言った。
「ダンジョン内で破壊してはいけないものなどがあれば教えておいてもらえませんか?」
 そっか、フラットルテが暴れることを警戒してるんだ……。

「ええと……地下にある案内図や道しるべを破壊するのはやめてくださいね……」
「それ以外は壊していいということか?」
 フラットルテの言葉に、だんだん受付の女性もヤバいのが来たぞということを勘づきはじめた。顔が青くなっている。

「……戦闘中に穴が空いたり、壁が壊れたりすることは不可抗力ですので問題はないです」
「よーし! フラットルテ様の活躍をダンジョン内に刻んでやるのだ!」

「あの、危なくなったら戻ってきてくださいね? 死にそうと思う前に引き返してくださいね? あんまり死者が出るとイメージダウンになるので……」
 そっか、こいつら無茶をして死ぬタイプの冒険者だと認識されてるんだな。たしかにこういう舐めてる感じの奴ってたいていひどい目に遭うよね。

 でも、その点は本当に、本当に大丈夫だと思う。

「ご心配なく、私が適切に判断しますので」
 胸に手を置いて私は言った。

「はい、よろしくお願いしますね、ドラゴンのアズザルドさん」
 ドラゴンと思われている! ひとまず変装は成功していた。

 私たちは早速、ブーガビー地下遺跡へと入っていった。
 入り口にも「歓迎!」の文字があったのは、ちょっとどうかと思ったけど……。
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