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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

世界精霊会議編

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180 圧倒的ママ力

ドラマCD化が決定しました! 詳しくは活動報告をご覧ください!
 この気持ち、あれだ、実家に帰省した時の感じだ……。

「実はね、わたしが招待状を出した目的って、あなたに興味があったからなの」
 さらっと、真相が切り出された。
「いったいどこに興味を――って、そりゃ、興味も引くよね……」
 いろんなところで暴れたもんね(比喩的な意味だけど、たまにリアルに)。
 魔族が興味を持ったのだから、精霊が興味を持ってもおかしくはない。

「そうそう。しかも突然、名前が売れ出したじゃない。だから、どんな人なんだろうって思ったの。もちろん、『世界精霊会議』を管理してる側として、ファルファちゃんとシャルシャちゃんの二人にも興味はあったけどね」
 とろんとしたたれ目でユフフさんは淡く微笑む。

「で、興味のあった魔女に会った感想はどんなものだった?」
「うん。予想どおりだったわ。いい家庭を築いているんだなっていうのは、あの二人とのやり取りを見てもわかるし。立派にママをやってるわねえ」

 こんなふうに褒められたことはほとんどなかったので、少しくすぐったい感じもした。
「私自身、ママをやった経験はないんだけど、かえってそれでしっかり役目を果たそうって責任はあったのかな。私がいなければ生まれなかった二人だし」

「そうねえ。でも、今のあなたにも欠けてるものがあるんだなって、かえってはっきりしたわぁ」
 なんだろう。ここで、ダメ出しが来るとは考えてなかったんだけど。


「アズサ、あなたに足りないのはママよ」


「??? あの、もうちょっと詳しい説明を……」
 しかし、ユフフさんのほうはふざけた様子はない。さっき会ったばかりとは思えないほどにあたかかい視線を私は感じる。

「あなたは高原の家というところで、いろんな子と楽しく暮らしてるわよね」
「うん、それはそれは楽しいよ。三百年一人暮らししてたのが苦痛だったわけじゃないけど、大人数で暮らすのもまたよさがあるなってわかった」
 これは、どっちがいいとか順位をつけるものでも比較するものでもない。二種類あるというだけのことだ。

「でね、高原の家はあなたの持ち物なわけでしょ。となると、きっとあなたは主人として振る舞わざるを得ないわね」
「まあ、それはそうかな。もともと住んでたのは私だけだし……」

「だから、あなたにとってのママ役が高原の家にも、近くの場所にもいないでしょう?」

 言われて、はっとした。

 冷静に考えれば、当たり前のことだ。私はほかの世界から転生してきた存在で、誕生した時から今の容姿で魔女だった。母親などいるわけがない。

「もちろん、ママと分かれて一人暮らししてる子もたくさんいるし、中にはママのわからない子もいるでしょうね。それでも、ママがいないよりはいたほうがいい――そう思わない?」

 実は私って自由気ままに生きてきたようで、誰かに思いっきり甘えたことってなかったんだな。全然、意識せずにこれまで生きてきたや。

「言いたいことはわからなくはないけど、対処法がないんで……」
 三百年生きてる私の母親って何者だよという話だ。

 ぽんぽんとユフフさんは自分の胸を叩いた。もはや、おっぱいを叩いていると言うべきだが。
「だからね、アズサ、わたしでよかったら、ママになってあげるわよ?」

 少し、私は間を空けた。
「…………は?」
 おそらく「はい、喜んで!」と即決できるようなことではないと思う。
 かなり特殊な提案だからなあ……。

「その……照れくさいというのもあるんだけど……ユフフさん、そっちにメリットがないんじゃないかな……?」
「メリットって話さないといけない? わたし、おせっかい焼きって言ったでしょう? ほら、クールに生きててもママを必要とする時って、たまにはあるかもしれないし、そういう時に頼ってくれたらいいのよぅ」

 む、むむむ……。人生初の体験でまだ脳が混乱している。しかし母親がいてくれるというのは、それはそれで心強いのではないだろうか。母親にしか相談できないようなことってあるし、人間、生きていれば時には一方的に甘えたい時もあるだろうし……。

「べ、別に子供だからって仕送りとかしないからね……」
「お金なんていらないわ。ただ、あなたがわずかに無理をしてる時もあるかもなって思っただけ」

 ユフフさんは立ち上がって、さっと両手を広げた。
「たまには甘えてもいいのよ。アズサ、あなたはよ~く頑張ってきたんだから」
 なんという圧倒的な包容力だろう……。これは、残念ながら私にはまだないものだ。無条件で相手を肯定しきる力……! これは人生のとんでもない先輩にしか出せない力……!

 私はふらふらと酔ったようにユフフさんに近づいて、その胸に顔をうずめた。
 いや、もはやユフフさんだなんて他人行儀な呼び方はやめよう。ユフフママだ!

「ママ……ユフフママ……」
「どうしたの、アズサ?」
 これは人間を堕落させる精霊だ。だが、それがいい。

「とくにこれといった悩みはないんだけど、しばらくこうしていて、いい?」
「ええ。気が済むまでそうしていなさい。明日はどんな朝ごはんがいい?」

 頭がとろけていくような気がする。それと、自分の体に長くしみついていた毒みたいなものが浄化されていくような感覚もある……。

 これがママの力なのか……。謎の回復能力だ……。

 そこそこ長い時間、私はユフフママの胸に抱かれていた。
 このまま眠ったら、二度と目覚めないよう気がするけど、そんなことはないよね? それぐらいの文句のない全能感があるんだけど、そこまでは気にしなくてもいいよね?

 そのあと、私は本当に寝落ちしたけど、とくに魂を奪われるということもなく、朝、ベッドの中で目覚めました。
「ユフフママ、精霊というより聖人だった……」
 三百年間生きてきて、これまで味わったこともない体験でした。まだまだ自分の知らないことってたくさんあるんだね。

「ふふふ、人間は必ず誰かの子供ではあるからね。それはあなたでも変わらないということよ。ちなみに、いつだってママと呼んでいいのよ?」
 それは人として超えてはならない一線がある気がするな。あまり、ほかに人がいるところでは、ちょっと……。

「いいのよ。ママがいないなら作ってしまえいいの」
 私は屈した。
「ユフフママ……」
活動報告にドラマCD化についてなど書いております! また15日発売のGAノベルは最速で13日頃から並び始めるかと! よろしくお願いいたします! また13日からガンガンGAにてベルゼブブが主人公のスピンオフ小説も連載予定です!

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