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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

世界精霊会議編

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179 ママさん精霊

「『世界精霊会議』、どうでしたか~? うふふ~」
 その人はいかにも実行委員側みたいなことを言った。

 なお、私がその人を見た第一印象は無茶苦茶おっぱいデカいな、だった。
 いわゆる爆乳というやつだろうか。ハルカラよりも大きい。ハルカラは健康的な大きさだけど、この人の場合はとにかくデカすぎる。目をつぶって片足上げたら、胸のせいでバランスとれなそう。
 あと、目は垂れ目で全体的におっとりしている印象がある。

「ファルファ、いろんな精霊さんとお話ができて、楽しかったー!」
「『世界精霊会議』はもうちょっと会議らしさがほしかった」

 わかりやすい姉妹の対比が出た。私は優柔不断なので、二人を足した間ぐらいの意見です。

「うふふ~、そうね~。大昔はもっと会議の形式をとっていたんですけどね。そうなると、興味のない精霊の方が来なくなって、出席率がどんどん下がっていったのよね~。それで、もう会議はやめちゃおうということになったの~」
 たしかに堅苦しい場に出たいと思う人なんて、精霊にもいないか。人間以上に精霊ってゆるそうだし。
 これは全体の傾向だけど、長命な種族ほどいろんなことがいいかげんになる。

「あっ、申し遅れちゃったわね。わたしはしたたりの精霊。精霊には名前がない子も多いんだけど、通称だとユフフって言うの。招待状を送ったのは、わたしね~」
 やはり、話しかけてきただけあって、この人が会議に関して事務的なことをしていたのか。

「したたりの精霊? どういう精霊なんですか?」
「ほら、たとえば雨どいから水がしたたってたり、春に雪解け水がしたたってたりするでしょ。あの、したたりの精霊よ」
 水ジャンルの精霊、どこまでもマニアックだな!

「わたし、よく精霊からおせっかい焼きさんって言われるの。『世界精霊会議』も誰も事務作業をしないからわたしが引き受けたのよね。自宅の近所で会議をしたこともあるわ。ついたあだ名がママ」

 ユフフさんは右手を頬に当てながら言った。
 ママというあだ名、わかる。すごくママっぽい。少なくとも、「おかん」とか「母上」とかよりは「ママ」という呼び名がしっくりくる。

 ちなみに私の母親とはまったく似てないです。母親の口癖は「うちはうち、よそはよそ」だった。ほしいものがあるとねだると、だいたいこう言われた。

「それでね、事務作業をするかたわら、せっかくだから精霊について、いろいろと調べるようになったの。ほら、精霊っていきなり増えることもあるから。そして、スライムの精霊がいるということを風の精霊の噂で聞いて、招待状を送ったわけ」

「風の噂じゃなくて風の精霊の噂か!」
 精霊の要素が入ったら、急に説得力が増した。なんか、風の精霊って噂話とか好きそう!

「わたしが『世界精霊会議』を仕切るようになってから、新規で来るようになった精霊も多いのよ。ほら、こういうのって古参しか集まらないようになったら、滅んでいっちゃうでしょう? 新規が一定数来ないと新鮮さにも欠けるし。毎年開催するごとに平均年齢が一年ずつ上がるとかよくないでしょう?」

「精霊の平均年齢とかあまり関係なさそうですけど、言いたいことはわかります」
 ジャンルとして長く続いていくようにするには、新しい血は入れないといけないよね。

「さてと、こんな場所でずっとお話しするのもよくないわね。ねえ、皆さん、よかったら、わたしのおうちに来ません? 宿がまだなら泊まっていってもいいし」
「あ、じゃあ、お言葉に甘えたいかも……」
 会議がどういうものか謎すぎたので、宿の場所はチェックしてたけど、まだ宿はとっていなかった。

「でも、私、精霊じゃなくてただの魔女ですけどいいですか……?」
「いいに決まってるじゃない。そんなふうに遠慮する必要ないのよぅ。うふふ~」
 ユフフさんの顔を見てると、なんだかなごむ。

「ファルファのママじゃないのに、ユフフさん、ママみたいに見えるよ……。なんで、だろ」
 ファルファがなんか混乱をきたしていた。おそらく、ママという概念が広いせいだ……。親じゃなくても、ママっぽさは出せるからね……。
「姉さん、それは母性なるものは母親ではなくて出してしまうことがあるせい……。だが、概念を超えて、この人に母親っぽさを感じるのはわかる……」
 シャルシャも、頭を抱えていた。こっちも混乱している!

「はぁい、じゃあ、わたしにつかまってね。瞬間移動の魔法で飛ぶからね~」
 そう言うと、ユフフさんは自分から私を抱き締めてきた。私には後ろからファルファとシャルシャがひっついている。

「あの、ここまで密着しなくてもいいのでは……」
「スキンシップよ、スキンシップ」
 かなりユフフさんの胸に圧迫感を覚えつつも、私もだんだんと自分がこの人の娘であるような謎の錯覚が生まれてきた……。



 瞬間移動というだけあって、気付いたら、全然違う場所にいた。
 滝が二段式になっている山の中だ。一段目の滝の滝つぼからまたすぐに次の滝が現れる。その二段目の滝つぼ横の、水がしたたって、やけにシダ植物が元気に生えているあたりにユフフさんの家があった。ほんとによくしたたっている。

 建物の中は、一般人が住んでいてもおかしくない内装だった。精霊といっても人間的な暮らしをしているらしい。
「あなたたたち、ごはんもまだよね。ミルクのポタージュスープとパンケーキぐらいしか作れないけど、ちょっと待っててねぇ」

 出されたスープを飲んで思った。
「これはママの味だ……」
 強烈なやさしさが体に流れ込んでくる。もう、主成分がやさしさとしか思えないほどの味……。

 いつもは元気なファルファも「心がぽかぽかしてくるよ……」などと穏やかな表情でポエム的な発言をしていた。とてつもなく落ち着いてしまうのだ。
 シャルシャのほうは、なつかしい……。疑似的郷愁感を覚える……」と言って、本当に少し涙を流しはじめていた。

「そう言ってくれると、うれしいわぁ」
 楽しそうにママ……じゃなくてユフフさんは私たちの表情を見守っていた。精霊についての話などはほとんど出てこなかったけど、そういう話すらここでは必要ない感じがした。

 そのあと、娘二人はごく普通にお風呂に入って、ごく普通にベッドに入って眠ってしまった。

 私はまだ目が冴えているので、ユフフさんが入れてくれたホットハチミツ水を飲んでいた。
「おいしい?」
「おいしいです、とっても」
「丁寧語にしなくていいわよ。あなたも長く生きてるんだし」
「わ、わかったよ……」

 この気持ち、あれだ、実家に帰省した時の感じだ……。
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