挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

世界精霊会議編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

180/282

178 議題があるとは言ってない

 でも、私はまだ娘たちのスペックを甘く見ていた。
 がさごさとシャルシャがカバンから何かを取り出そうとしていた。なんだ? 名刺の次はいったい何があるんだ?

「お近づきの印に、つまらないものだけど、どうぞ。『食べるスライム』『葉っぱスライム』ってお菓子」
 手土産を配っている!!!

 マジか……。こういうところでのコミュ力はすごくよくできている。

 遠くではファルファも「はい、お菓子だよー!」とやはり『食べるスライム』(八ヶ入)を配っていた。さすが子供とはいえ、五十年は生きてるだけのことはあるな……。

 しかし、精霊がお菓子食べるのかと思ったけど、「おお、これはありがたい」と普通に受け取っていた。たしかにうちの娘も料理食べてるもんね。

 そのあとも、いろんな精霊にあいさつに行って、精霊よもやま話をした。ただし、最近、花のきれいなところ見つけたとか、どこそこのパン屋が美味いとか、精霊の意味があまりない話ばかりだった。ほんとに精霊なのだろうか。

 とにかく、そんな調子でなごやかに時間は過ぎていった。
 途中でファルファとも合流して、三人でいろんな精霊のところをまわった。新入りとしては上出来ではないだろうか。

「『世界精霊会議』面白いねー!」
「そうだね。たまにはこういう機会もあってもいいかもね――――あれっ?」

 何かがおかしいと気づいた。
「会議、全然はじまってないよね……」

 そう、精霊たちの姿が見えてから二時間近く経ってる気がするのに、まったく会議が開かれてない。もしかして、ここって外野でどこかで別に開かれてたりするとかってこと……?

 私はさっき話が割とはずんだ滝の精霊さんのところに行った。こういうのって、少しでも知り合いっぽい人にやたらと話しかけちゃうよね。

「すいません、会議ってもう、どこかで行われてたりします? 場所、ここだと聞いてたんですけど……」
「? 質問の意味がよくわからないんだけど。もう、あなたも参加してるじゃない」
 むしろ、こっちこそ、言われてる意味がよくわからない。

「ちっとも会議らしい会議は見てないんですが。やっぱり、どこかで進められてました?」
「あ~、そっか。そういう勘違いか~」
 滝の精霊さんに勝手にわかられた。いったい何なんだ?

「『世界精霊会議』はこうやって精霊同士で集まってお話しするだけの集まりよ」
 思った以上にいいかげんだっ!
 もう、これ、『世界精霊雑談』じゃないか。会議はおおげさすぎる。実際、議題すらないし。

「あっ、そろそろ今回の『世界精霊会議』も終わるわね。じゃあ、また次回にお会いしましょう。いつどこでやるかよくわからないけど」

 私に手を振ると滝の精霊さんは数歩歩いて、ふわっと消えていった。瞬間移動みたいなことができるらしい。

 私がしていた話はシャルシャにも聞こえたらしく、ちょっとがっかりしていた。
「本音を言うと、もう少しコンセプトというものを明確にしてほしかった。どんなことを話し合うか期待していたのに」
「シャルシャ、真面目だもんね。まっ、こういうゆるいつながりもそれはそれで魅力的だよ。上下関係もちっともない空間だし」

 ファルファはまたどこかの精霊と話をして安定したコミュ力を発揮しているが、その場に残っている精霊の数も減ってきた気はする。
 滝の精霊さんみたいに消えたのもいるんだろうし、徒歩で湖から去っていくのも見えた。
 どうやら閉会が近づいてるらしいけど、そもそも開会式だってないし、本当に自由に話をして、自由に帰る会らしい。

 シャルシャももうやるべきことはやったと思ったのか、湖のほとりに座って『食べるスライム』を開封しだした。
「母さんもいる?」
「じゃあ、もらうね。せっかくだし、ファルファが帰るって言うまではいようか」
「うん」

 シャルシャとぼうっとしつつ、残っている精霊たちの様子を見ていた。これといって人間とかけ離れてる部分もわからないな。微妙な距離感の人の結婚式とか来て、二次会にまで顔を出したような気分。

 別に何かで損をしたというわけじゃないし、こういうのもたまにはいいだろう。
「しかし、まだ気になることがある」
 シャルシャがもぐもぐ口を動かしながら言った。

「どうしたの? 何が気になったの?」
「これが会議の体裁をとっていないとはいえ、シャルシャたちのところに『世界精霊会議』の案内を送った人はいるはず。つまり、事務局的なものは存在しないとおかしい」
「なるほど……。シャルシャ、そんなことまで考えてたんだ……」

 ほんとにシャルシャって真面目だなあ……。いったい、誰に似たんだろう。最初から私が育てたわけじゃないから、多分、生まれた時から真面目だったんだろう。

「差出人が誰かぐらいは知りたい――けど」
 そこでシャルシャの顔が曇ってしまう。
「もう、こんなに人数が減ってしまったし、それも無理そう……」

 シャルシャと座っている間に、また人数は減って、もう精霊は数人しかいない。たしかにこれはきつそうだ。
 ついに話す人もいなくなって、ファルファもこっちにやってきた。『食べるスライム』を一個口に入れた。日本なら、きっと子供でもお年寄りでも大好きな味、それが『食べるスライム』だ。

「これでおしまいみたいだねー」
「そうだね。もう、誰もいなくなっちゃうし、私たちも宿のほうに移動しようか」
 腰を浮かしかけたその時、私たちの真ん前、つまりちょうど湖の中あたりに一人の女性が現れた。きっと、精霊だろう。

「『世界精霊会議』、どうでしたか~? うふふ~」
 その人はいかにも実行委員側みたいなことを言った。
ブックマーク数がついに2万の大台を超えました! ありがとうございます! 7月15日頃にGAノベル3巻が発売になります! そして来週13日からはガンガンGAにてベルゼブブのスピンオフもスタートいたします! また情報アップしていきます!

20161213_slaim_syoei01.jpg
GAノベルさんより発売中です! 5巻は2018年1月15日発売! 1巻は10刷を達成いたしました! ↑をクリックしていただければ紹介ページに飛びます!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ