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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

世界精霊会議編

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176 湖を目指して家族旅

 そこには「保護者同伴可」と書いてある。
 なるほど。向こうも子供の精霊がいるって噂で知ってたのかな。あるいは子供の精霊もまあまあいるんだろうか。

「そうだね、子供の二人だけに行かせるのは危なっかしいし、会議をかたった誘拐犯だったりしたら大変だから、私も付き添うか」

「わーい! ママと旅行だー!」
 ファルファが抱きついてくる。ギルドの中で暴れちゃダメだよ。でも、抱きつくのはうれしいから、どしどし抱きついてほしい。
 シャルシャはファルファほどの積極性がないけど、ちょっと物悲しそうな顔をしていたので、帰宅途中の高原でぎゅっとしてあげよう。姉妹の不公平は絶対に許さないのが私のスタイル。

 ちなみにナタリーさんは「そんな恐ろしい会議にあっさり出ようと思えるとは、さすが魔女様ですね……」と少しビビっていた。一般の人からすると精霊の集まりとかって怖いのだろうか。

「精霊って、苦手意識を抱くようなものなんですかね?」
「これは伝説ですが、精霊の多くは気まぐれだと言います。人間的な善悪の価値観を持ってない精霊もいるとか聞きます。たとえば、雷の精霊がためしに人間に雷を落としてみようとか考えた時点で死んでしまいます……」

 なるほど。子供が虫をつかまえて解体しちゃうようなものか。ファルファとシャルシャはそういう残酷なことはしないけど。
 今、まさに残酷と表現しちゃったけど、その残酷ということ自体が人間の大人の価値観なんだよね。やってるほうはそんな意識がないことだってある。スープのために野菜を切ってる時に残酷なことをしていると思う人はいない。

「だとすると、念のため、私が行ったほうがいいか。精霊同士なら平和にやりそうだけど。しかも、曲がりなりにも会議って名乗ってるし、そんなに危ないとは思ってないけど」

 こんな感じで『世界精霊会議』に出席することが決定しました。



 ライカはナンテール湖まで送って行きますと言ってくれたけど、せっかくだし娘二人とのんびり出かけることに決めた。

 まずはナスクーテの町までてくてく歩いて、そこからは馬車を乗り継いで移動する。
 たまにはこういうゆっくりとした移動もいいものだ。ライカに乗せてもらうのはすごく便利なんだけど、その便利さに慣れすぎてはいけない。旅行とは目的地に着くまでの道のりを楽しむものでもあるのだ。

「ふふふ~! 旅行! 旅行! ママと旅行~! たっのし~な~!」
 ファルファのテンションがものすごく高い。一種の遠足なんだろうか。
「それにしてもカバン、ぱんぱんにふくらんでるね。そんなに持っていくものあった?」
『世界精霊会議』の招待状は私も読んだけど、持ち物は何も書いてなかった。いるとしても、せいぜい筆記用具ぐらいだろう。

「うん! いろいろ用意したかったからね!」
「そっか~。何が入ってるのか、ママも楽しみだよ」

 ちなみに私の逆側ではシャルシャがずっと眠そうにしている。むしろ、寝かけている。
 電車でよく居眠りする人がいるけど、あれは電車の振動のリズムが体に眠りを誘発させているらしい。もしかすると、馬車の振動もそれに近いのかもしれない。

「シャルシャはね、昨日わくわくしすぎてなかなか寝れなかったらしいよ」
「それ、見事に遠足の前日になるやつ!」

 なつかしいなあ……。私も小学校の遠足前日、なかなか寝れなくて音楽かけながら寝たっけ。音楽を聞いてると、いつのまにか寝ちゃうんだよね。

 結局、シャルシャはカバンをかき抱くようにして眠ってしまった。そのままこてんと私のほうに頭を預けてくる。
「シャルシャ、寝ちゃったね~」
 そう言っていたファルファも、そのうち眠って、私のほうに倒れてきた。

「まったく、かわいい子供たちめ」
 私は今、母親としての醍醐味を実感している。
 すでに個人的にはこの旅はお釣りがくるぐらいに満喫したんだけど、あくまでもメインは『世界精霊会議』なんだよね。
 さてさて、いったいどんなものなんだろうか。



 途中、中継地点の町で一泊して、二日後の夕方頃に、やっとナンテール湖に着いた。

 観光地と言われてるだけあって、風光明媚な景色が広がっている。
 とはいえ、これじゃ、自分の言葉で何も言ってないに等しいので、もうちょっと言葉を接ぐと、その湖はとにかく深い青なのだ。群青色というのに近いだろうか。それと高原の緑が実にマッチしている。

 標高の高いところに巨大な鏡を設置したような感じと言えばいいだろうか。

「うわー! きれー! おっきー!」
「ここが古来から文人墨客が景色を褒めたたえたところ……」
 二人とも、自分なりの言葉で感動を表現してくれている。ただ――

「会場ってここなんだよね? 誰もいないけど」
 そう、ナンテール湖のあたりには人の姿がまったくない。精霊だから人の姿って表現もちょっと違うかもしれないけど。

「もう、夕暮れだもんねー。もし観光客の人がいたとしても、すでにふもとの宿屋さんに戻ってたりするよねー」
「ファルファの言うとおりだね。この時間にここにいる人って珍しいだろうね」
「招待状によると、湖のわずかに出っ張ったところにいろと書いてある。その先の部分と思う」

 シャルシャが指差した方向にみんなで向かう。とはいえ、すでにそこからも見えていたとおり、着いても誰もいないのは変わらなかった。

「騙された? イタズラ? でも、騙し方としては中途半端だしなあ……」
「母さん、招待状には夜に集まると書いてあった。まだ夜とは言えない時間。もうしばらく待つ意味はある」
「だね。ここでゆっくりしていようか。日が暮れていくのを見るのもいいものだし」

 そして一時間ほど、そこでくつろいでいると――
 急にいくつもの気配を感じた。
 本当にいくつもだ。いきなり王都の市場のど真ん中に投げ出されたぐらいの感覚がある!

 感覚だけじゃなく、実際にうじゃうじゃと人たち、いや精霊たちが集まっていた。
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