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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

世界精霊会議編

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175 世界精霊会議

すいません、少し体調を崩しまして、更新が一日空きました……。
 お菓子作りの魔女と呼ばれるようになってから、しばらく経った頃のこと。
 私はフラタ村で娘二人と買い物をしていた。まさしく日常的な光景だ。少し冷えてきたからか、厚着の人が増えてきたけど、逆に言えばそれぐらいしか変化はない。

 その帰り、私は倒したスライムの魔法石換金でギルドに寄った。村のギルドだから、職員の数も少なくて、ほぼ確実にナタリーさんが座っている。

「はい、今回の分の魔法石です」と袋に詰まった魔法石を出す。
「では、数えさせていただきますね。一、二、三、四、五、六、七……」

「ナタリーさん、今、何時?」といきなりシャルシャが尋ねた。
「えっ? ……今は十時ですね。ええと、十一、十二、十三、十四……」
「シャルシャ、そんなのどこで覚えたの!? そんなことしたらダメだよ。それと、こっちがお金払ってもらう時にやっても、そもそも損するの、こっちだからね!」
 このまま、全部数えられると、数個少ない額が出てしまう。

「これは北部で出版されていた笑い話に載っていた。一度試したいと思っていた」
 そのネタ、たしか落語であったと思うけど、普遍的なものなんだろうか……。

「はい、魔法石はすべてスライムで五十七個ですね!」
「すいません、ナタリーさん、再度カウントしてもらえますか?」
 今度は六十個になりました。一万二千ゴールド分。約一万二千円だ。コツコツ稼ぐものでしかないけど、スライム倒しはまさに空き時間にできる。

 なお、ライカなんかは自主的にもっとたくさん倒しているので、換金も個別にやってもらっている。魔法石が溜まっていくのを見たほうが達成感もあるだろうし。

「高原の魔女様、もうお菓子を作ることだけ考えたほうが儲かるんじゃないでしょうか? それを言うと、ハルカラさんの工場だけでも、かなりの利益が出てるかもしれませんが」
 ナタリーさんにもお菓子作りの魔女と認識されつつある……。

「スライムを倒すのは習慣みたいなものだからね。それに仮に何億ゴールドあったとしても、一万ゴールドもらえるならもらいたいでしょ? それをもらって悲しくなることはないでしょ?」

「それは、そうですね……。どうせならほしいですね……」

 お金があって困ることは基本的にない。あればあるほどうれしいです。

「あ、そうだ、そうだ。高原の魔女様宛てに手紙が来てましたよ」
 ナタリーさんが出してきた手紙をファルファが大事そうに受け取った。

「手紙か。誰からだろう? 変なモンスター倒してくれみたいな依頼じゃなきゃいいけど」

 ここで、この世界の郵便制度について説明しておこう。
 いきなりひっくり返すようだけど、公的な郵便「制度」はない。役所が下部組織に通達するとか、そういうのはあるけど、それはまた別。一般人Aから一般人Bに送る場合だ。

 じゃあ、どうやって手紙を送るのかというと、どこそこに住んでるBさんの方面に行く人がいたら、その人に渡しておく。目的地まで行かない場合は、またその人が違う人に手紙を渡したりとかすることも。手紙のヒッチハイクみたいな感じだ。
 そして、そのうち手紙がフラタ村にやってきたというわけだ。

 たしか日本の中世でも似たような郵便「制度」だったはずだ。なので書いてから半年後に届いたなんてことはありふれたことだった。ラブレター書いたら、届く頃にほかの人と付き合ってましたなんてことになりそうだよね。

 なお、魔族が招待状を持ってきたりする場合は、そのために魔族が専用の役をやっていた。人間の世界でも、急ぎでBさんに何か送らないといけない場合は、その役を誰かが引き受ける。
 言うまでもなく、超絶人件費がかかる。
 ほぼ使者を送ってるのと大差ないからね……。

 それで、いったい何が来たのかという話だ。このおおざっぱなシステムの利点として、「フラタ村に住んでるらしい魔女様」みたいなおおざっぱな住所でも届くのだ。フラタ村まで来れば、あとは私の家族がよく来る場所に保管する。

 ファルファは開封して、中の手紙を読んでいる。ハルカラやライカのものだったら、勝手に開封しちゃダメだけど、漠然と私の家に送っているものならいいだろう。

「ふ~ん、こんなのがあるんだ~」

 ファルファの言葉だけじゃ、よくわからないな。シャルシャも読み終えたものをファルファから渡されて目を通してるけど、黙ってじっくり読んでいるので、やっぱりわからない。
 とはいえ、二人の反応からして、不幸の手紙的な、読むとがっかりするものではなさそうだ。

「ねえ、二人とも、それって誰から来たものなの?」

「これねー、『世界精霊会議』ってところから来てるよー!」
「『世界精霊会議』?」

 まったくの初耳だ。会議というからには何か話し合うんだろうけど。
 ただ、的外れとも言えない。なにせ、私の娘二人はスライムの精霊だからだ。

「二人はその会議、知ってるの?」
 ファルファが「んーん」と言って、シャルシャが首を横に振った。
 じゃあ、家だと誰も知らない可能性が高いな。

「母さん、この内容を要約するに――不定期で精霊たちが集まる『世界精霊会議』というものが行われていて、そこにシャルシャと姉さんが招待されているらしい」
「へえ……。でも会員登録してるわけでもないのに、よくスライムの精霊がいるなんてわかったね……」
「招待状には風の噂で聞いたと書いてある」

 やっぱり、この世界、雑だ。

「日程的には行くことは可能。しかも、かなり近い。ナンテール湖のほとりに夜に集まるらしい」
「たしかに近いね」
 このナンテール州の由来はナンテール湖という美しい湖なのだ。しかも、ここに負けず劣らずの高原にある。
 同じ州という意味では近いけど、全然違う州に住んでる人からしたら、違う地域のさらに高原まで行かないといけないわけで、いわゆる観光客はほとんどいない。

「ファルファ、せっかくだし、行きたいなー」
「シャルシャも興味を引かれる」
「そりゃ、そうだよね。精霊じゃない私も気になるぐらいだし。ていうか、そこには精霊ばっかりいるのかな。火の精霊も水の精霊も見た記憶ないから、実在してるのかすらよくわからない」

 ファンタジー世界なら絶対にいるだろうけど、私がダンジョン攻略みたいなファンタジー世界のお約束を全然やってないおかげで出会いがないのだ。

「じゃあ、ママも行くー? むしろ来てー!」
 ファルファが手紙のとある場所をつついていた。

 そこには「保護者同伴可」と書いてある。
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追記:時蕎麦ネタ、自分で脳が混乱してきたので、書籍化の時にミスを修正できればと思います……。今やるとまたミスりそうなので……。

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