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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

異世界でまんじゅうを作る編

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173 ガチにお店屋さん

 翌朝、早朝。
 私と娘二人は村長のところに行って、お店を開きたいと言った。
「すいません、お菓子を作ったので、空いてるところで売りたいんですけど」
「では、市場にテーブル設置して、そこで売って下さい。今日は晴れてますので雨よけもいらないでしょう」

 即決。
 やっぱり、このあたり三百年の信頼と実績がありがたい。公民館からテーブルを借りてきて、簡単なセッティングをする。

 ちなみに早朝から来たのは設営に時間がかかるかもしれないからだ。それと、村の人の生活は朝型なので、ゆっくりしすぎていると買い物時間とずれてしまう。

 もちろん、準備もしてきた。
「シャルシャ、アレを出して」
「心得た」
 シャルシャが広げたのは、『食べるスライム』を描いた宣伝用の看板だ。いかにもおいしそうな商品が木箱にきれいに陳列されてるイラスト、その上に大きく拡大したのが一個。

 そして、「風味絶佳・滋養強壮 高原の魔女謹製 食べるスライム」の文字。
 表現がちょっと硬いが、まあ、そこはご愛嬌ということで。食べ物である以上、栄養はあるから、滋養強壮もウソではない。

 シャルシャは絵が上手いので、イラストをお願いしていたのだ。
「わーい、お店屋さん、お店屋さん! 粗利、粗利~♪ 損益分岐点~♪ サンクコスト~♪」
 ファルファははしゃいでるけど、こっちも単語が生々しい。数学の本とか読んでるせいか……?

 さて、「1ヶ入 70ゴールド」「4ヶ入 250ゴールド」「8ヶ入 500ゴールド」「16ヶ入 1000ゴールド」「32ヶ入 2000ゴールド」の値札の後ろに商品を並べていく。

 32ヶ入はなかなか壮観だ。丈夫な紙で箱は作った。

「よし! たくさん売るぞ!」
 なんとなく、気分的に私は腕まくりしてみた。

「ママ、ママ! せっかくだし試食用に四分の一にカットしたのを横に置いておかない? 見たことないものだし食べてもらえるようにしたほうがいいよー」
「なるほど、ファルファ、賢いね~」
「それと、どこ産のお豆や小麦を使いましたって書いておくのもいいかも~。産地が気になるお客さんもいるかもしれないし~」

「…………ファルファ、ちょっとガチすぎない?」
 なんかハルカラを連れてきたような気分だ。お店屋さんごっこって、そういうやつなの? 最近のおままごとはガチなの? クレーマー対策の指導とかも込みなの?

 営業時間などは決めてないので、村の人が買い物に出てきたあたりから、営業開始。
 よーし、売るぞと意気込むまでもなく、すぐに村の人たちがずらずらと集まってきた。そりゃ、いきなりこんなの作ったら、そうなるよね。村人は娯楽に飢えてるからね。

「高原の魔女様がまた新しいものを作ったのか」「おお、スライムの形をしておる」「かわいーわ!」

 ファルファがお皿に試食用の『食べるスライム』を持って、お客さんのほうに差し出す。このあたりも抜け目がないな……。
「みんな、食べて、食べて~! おいしかったら買ってね~!」

 集まっていた村の人たちは次々に『食べるスライム』を口に入れていく。あんまり、みんな見慣れない形状のものじゃないだろうか。

 いわゆる餡子を食べたことのない人たちなので、大丈夫かなと思っていたけど、一切心配いらなかった。
 みんなの顔を見れば、これは勝ったなとわかる。

「おいしい! ふわふわのパンの中に黒いクリームが!」「なんてやさしいお菓子なんだ!」「口の中が幸せになる!」「やっぱり、高原の魔女様はすごいわ!」

 饅頭が大嫌いな人なんて、そんなにいないはず。しっかり村の人たちの心はつかんだようだ。

「その大きな箱を一つ!」「8ヶ入を一つ!」「同じのを二つ!」

 飛ぶように売れた。そうそう、これ! これが物を売る時の醍醐味!
 ちなみに、これもファルファが異様に丁寧に対応していた。

「ありがとうございまーす! ちなみに少しだけあっためてもおいしいよ~。また買いに来てね~」
 なんでそんなに接客能力が高いのか。

「姉さんはごっこでは絶対に手を抜かない。バッタの真似をする時は、どうやってジャンプしているか、何を食べてるか観察しようとしていた」
 まだ緊張がとれないシャルシャが説明してくれた。

「ごっこ遊びに火をつけてしまったのか……」
「その、ごっこが実際にお金を使っての接客なら、さらに気合いが入るのは間違いない」

 私としては、もっとファンシーな感じのお店屋さんを期待してたんだけど、これだと老舗和菓子屋さんの空気が出そうだな……。

 とはいえ、『食べるスライム』の人気は上々なので、そこはありがたい。こういう時って、いつも村の人口からは考えられないぐらい売れるんだけど、今回もそうなるっぽいな。

 と、意外な人間がお客さんとしてやってきた。
「お疲れ様です、お師匠様」
 ハルカラが列の前にやってきたのだ。律儀に並んでいたらしい。

「もしかして、ねぎらいにでも来てくれた?」
「少し離れたところから売れ行きを見ていたのですが、これならほかのところでも売れそうですね。ナスクーテの町でも売らせてください。従業員はこちらで確保しますから!」
 商売になると思ってやってきたわけか……。

「商談でしたら、こちらへ~!」
 まだ、ファルファが成りきっているね……。

 そのあと、ハルカラと相談した結果、以下のことが決められた。

・ハルカラが従業員を使って、フラタ村とナスクーテ町(の、を入れるほうがしっくりくるけど、正式にはナスクーテ町)の二か所で売る。フラタ村のほうは村民を別途雇う。
・商品はあくまでも「フラタ村銘菓」ということにするので、フラタ村のPRになるようにはする。
・ひとまず家族の間で空き時間に作るけど、大人気ということになった場合は、ハルカラ製薬の社員に作り方を教える。

 こっちとしては商売して稼ぐ気はないんだけど、ナスクーテみたいな近場で売る分には問題ないだろう。
近日中にまたちょっと発表がありそうです(といってもアニメ化とかそういうデカすぎるのではないです。まあ、ほどほどのことです)。ただ、きっと楽しんでいただけるかと思いますのでお待ちください!

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