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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

異世界でまんじゅうを作る編

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170 南で薬草探し

今回から新編です。音楽編が長かったので、今回はちょっと息抜き的なネタです。
 その日、私は薬草探しで国の南部までわざわざやってきていた。ちなみにライカに乗ってだ。

「お師匠様、どういう風の吹き回しで、こんなところまで来たんですか?」
 同行している弟子のハルカラに聞かれた。たまに忘れそうになるけど、あくまでもハルカラは弟子なのだ。ハルカラ本人がそう思っているので間違いない。

「初心に帰って、魔女らしいことをしようと思ったの。最近、ニートのアンデッドをどうにかしたり、食えない吟遊詩人をどうにかしたり、全体的に本職と関係ないことばかりしてた気がして……」

 アンデッドのポンデリは、現在、魔族の城下町でカードゲームショップを経営している。アルミラージのククも、最近はイメチェンしてかなり歌手としての実績を積んでいる。どっちもいい感じに運んでとてもよかった。
 だが、それ、私が魔女だったこととは一切関係ない。あくまで、私は高原の魔女なのだ。

「わかりますよ、わかります。わたしも洞窟の魔女に負けない新商品を作っていかないといけませんからね」
「あなたもライバルできて、大変だね……」
 洞窟の魔女ことエノは『マンドラゴラ錠』をヒットさせたあと、今度は『森のドリンク』なる毎日水で薄めて飲む商品も出して、ハルカラのハルカラ製薬のライバルとなっていた。

「こうなったら、とてつもなく健康にいい成分の薬草を見つけて、突き放すしかありません! そのためには採集フィールドも広げていかなければ!」
 やるぞー! と軽くファイティングポーズになっているハルカラ。動機が多少不純に思えなくもないけど、別にいいのかな。

 ちなみに、私たちの後ろをライカがついてきているけど――なぜかゾウに乗っていた。
 本当にゾウに乗っているのだ。
 もともと、ライカは植物の知識がないのでつまらなそうだったのだけど、森を歩いていたら出会ったゾウと仲良くなって、上に乗せてもらっているのだ。

「馬とは違う面白さがありますね!」
「ぱおーん。うぼあぶぼあぼー」
 なお、「ぱおーん」以下はゾウの鳴き声です。音が割れたような変な声だな。

 この森にはモンスターらしきものも潜んでるらしいが、ゾウが後ろからついてきてくれるおかげで、みんなビビって逃げていっているようで、ちっとも出てこない。ゾウによる安全保障だ。
 私は何が出てきても大丈夫だけど、ハルカラにとってはそれなりに危険だからね。

 ただ、薬草探しはあまり上手くいかなかった。主にハルカラが。
「うわー! クモがデカいです! こっちのカメムシも超臭いっ!」
 森の中にある自然のトラップを丁寧に一つずつ踏み抜いている感さえあった。こういうところ、期待を裏切らない。

「おかしい……。同じ道をむしろ私が先導してるのに、後方のハルカラばかり被害に遭ってる……」
「あっ、これは噛まれると危ないヘビじゃないですか! こっち来ないでくださいっ!」

 これは薬草探しは中止かなあ……。ハルカラがそのうちケガするぞ。
「どうしてヘビは確実にわたしばかり狙うんですか! しかも、逃げていったら、数が増えてるし! なぜか追いかけてくる数が三匹になってますし!」
 ヘビに好かれる香水でもつけてるんじゃないのか……? ほんとに難儀な体質だなあ。

 ハルカラが森の横に進路を変えて走っていってしまったので、私も追いかける。目を離すと、行方不明になる危険もある。

 すると、急に視界が開けた。

 そこは見事な田園風景だった。

 水がたまっているところから稲とおぼしき植物が生えている。

 日本のふるさとっぽい。いや、私の地元、別に農村じゃなかったから、自分の原体験には何もないんだけど、なつかしさは感じる。

「おお、このあたりは稲作地域なんですね」
 後ろからゾウに乗ったライカがやってきた。
「王国南部ではお米というものを作っているんですよ。ほかの地域はだいたいパン食なんですが、このあたりはお米も食べるんです」
「へえ、なつかしいなあ。私も前世はお米文化圏だったからね」

 ちなみにハルカラはヘビに好かれていたらしく、足や腕に巻きつかれていたが、噛まれる様子はなかった。「あっ、意外とかわいいですね~」と呑気なことを言っていた。解毒の魔法をかける必要もないな。

「そうだ、このあたりで、お米を食べられるお店ってないのかな?」
「あると思いますよ。でも、薬草採取はどうするんですか?」
「そっちは中止にします」

 こうして私たちは、そのあたりの町に出て、レストランに入った。むしむし暑いからか、席は屋外にテーブルを出してその上に屋根があるだけの開放的な雰囲気の店だ。

 出てきたのは、赤い豆が混じっているお米とその上にスパイシーな鶏肉がどかっと乗っている料理。料理名は忘れた。南方だと言語もけっこう違いがあるし、よくわからないのだ。

「では、いただきまーす!」
 元日本人らしく、手を合わせてから食べる。
 口に入れると、いわゆるお茶碗のお米とは食感が違う。

 ものすごく、ねちゃねちゃしている。いや、ねちゃねちゃは表現が悪いか。もちもちしている。赤飯をさらにやわらかくした感じ。それと、これ、お米も赤っぽいな。
 炊き方が下手なんじゃなくて、こういう種類のお米なんだな。日本で言うところのもち米に近いのかな。
 ライカとハルカラは、どっちもあまりなじみがないからか、不思議そうな顔で食べていた。

「妙におなかにたまりそうな料理ですね、これ」
「わたしはパンのほうが好きかなあと思いますね。おなかはふくれそうですけど」

 味付けも香辛料のせいか、いわゆるエスニック寄りだし、これはダメな子はダメかもしれない。私からすると、意識高い系女子が昼食とかで食べてた系の料理に近いんだけど。

 昼から九百円ぐらいするランチ食べてる子とか、ずいぶん贅沢してるなと思ったてたが、過労死するんだったら、がしがし高いランチを食べるべきだったかもしれない。

 しかし、豆ともちもちした米か。もちろん、小麦はもともとある。
 ふと、頭に一つのアイディアが浮かんだ。

 これ、日本にあったスウィーツ作れるんじゃない?
 豆があるから、これで餡子みたいなのを用意できそうだし、いわゆるお饅頭の皮は小麦粉を使ってた気がする。その次は、お餅だな。お餅だってこのもち米で作れるはずだ。
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