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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔族の音楽祭編

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169 魔女の出演と打ち上げ

 明らかに二曲目ぐらいから、もうベルゼブブはノリノリで、ペコラがこういうの本当は好きなんでしょと言っていたのも、あながちネタじゃなかったと思う。
 しっかり場をあたためて、ベルゼブブとペコラは去っていった。

 またペコラソロのステージがあり、私はラストも近いなと感じた。
 これで、最後に本日出演した演者全員で魔族の国歌らしきものを歌って、無事にイベント終了って流れだろう。

 実際、演者がどんどん集まって、オーラスの空気を流してきた。
 しかし、その時、ファートラに手を引かれた。ヴァーニアも立ち上がっている。
「すいません、ちょっと来ていただけますか?」

 すっごく嫌な予感がしたけど、断れませんでした。

 ――案の定、私はオーラスの空気漂うステージに連れていかれた。
「皆さんにお知らせします。わたくしのお姉様、高原の魔女アズサ様です!」
 ペコラの紹介で会場が沸く。ものすごく沸く。

 魔王様に姉がいたのかといった反応も一部であったけど、そういう血のつながりはないです。
「それじゃ、お姉様も魔族の国歌を歌ってください!」
「やたらと有名人にされちゃったな……」

 私はほかの魔族たちと一緒に歌詞もよくわからない歌を歌った。



 会場に「今年の音楽祭は以上を持ちまして終了となりました。ゴミは家に持ち帰ってください」というアナウンスが響く。

「ツッコミどころは多かったけど、それを上回るぐらい楽しかったよ」
「それを言っていただけると幸いです」
 終始、まともなキャラを崩さなかったファートラに一言感想を伝えておいた。

「いや~、今年もヤバかったですね~。ほんとにヤバかったですね~。すごくヤバかったです」
 なにせ、ヴァーニアのほうはこんなことをエンドレスで続く動画みたいにぶつぶつ言っていたので、使い物にならなかった。

 私たちは国賓ということで打ち上げの場にも入れた。というか、これもファートラに連れていかれた。このままペコラに会わないわけにもいかないだろう。まあ、私は出演者でもあるから行く権利あるけどね! 強制的に出演者にされたからね!

 ペコラは、私の前にやってくると、ものすごくドヤ顔していた。
「どうですか、お姉様。わたくし、すっごく頑張りましたよ。政務の時間を削れるだけ削って練習しましたから!」
 そこを削るなというベタなツッコミはナシの方向でいくか。

「うん、ペコラ、いいレベルでやれてたよ」
 ペコラの頭を撫でてやる。子犬みたいにうれしそうな顔をしてくれるので、こっちも撫でがいがある。
「うふふっ! ありがとうございます!」
 素直に喜んでくれるので、そういう意味では撫でがいがある。こういう妹分が一人ぐらいいてもいいだろう。

 で、ベルゼブブのほうはどうもこっちを避けている気がしたので、こっちから会いに行った。

「あなた、まあまあ歌上手いね」
「そ、そりゃ、わらわにかかればあれぐらい簡単なのじゃ……」
「その格好で人間の世界でも活動したほうが人気出るかもよ」
「そういうことは言わないでよいのじゃ! 絶対にやらんからな!」
 まだ照れらしきものはあるんだな。喫茶『高原の家』とはスケールが違うからか。
 おそらくお願いしまくればやってくれそうな流れだけど、かわいそうだからやめよう。

「ほら、褒めてるんだから、喜んだら?」
 私も今日はちょっと強気に出る。
 ベルゼブブもまんざらでもないようだし。

「あ、ありがとう……なのじゃ」
 横を向きながら、顔を赤くしてベルゼブブは言った。素直じゃないベルゼブブもそれなりにかわいさで需要があるな。

 ただ、そこに娘二人が「よかったよー!」「いい演技だった」とやってくると、急にノリノリになって「これがわらわの実力なのじゃ!」と言っていたので、人によってモロに態度変えてくるらしい……。

 さて、もう一つ、大事な話がある。
 ククが私の前に何かを報告する顔でやってきた。

「アズサさん、城下町での仕事がかなり入っているので、私、ここに留まることにしました。三週間ほど仕事をして、それから王都に戻るつもりです」
「うん、いいと思うよ。けど、一つだけ約束してね」

 私はククの両肩に手を載せる。それでククがずいぶん小柄だとあらためて実感した。長い耳で誤魔化している部分もある。

「しんどいなとか、もうダメだとか思ったら、その時は高原の家に帰っておいで。一人で悩んでも、たいてい悩みは解決しないから。いつでもいいよ。あなたは家族だから、いつ帰ってきてもいい」
「は、はい……」
 あ~あ、また涙が出る展開にしちゃった。これは私の反省点かも。

「それと、しっかり食べること。倒れたりすることがないようにすること。あっ、二つ約束させちゃってるや……」
 ククが今度は笑顔で「はい!」と言った。

 もう一度、高原の家でお別れ会をしてもいいかもしれないけど、ここですぱっと一度別れるほうがいいからね。
 なあに、問題ない。私が出会った変な仲間たちは、この世界のいろんなところで元気にやってるし、ちょこちょこ接点を持ってやっている。

 そこにファートラとヴァーニアがあわててやってきた。
「あれ、何かあった?」
「すいません、アズサさんに対する出演依頼がいくつかの劇場から来ていまして……。ちなみに一つ目の内容は『トークイベント 魔王様のお姉様として』です。ほかもだいたい同じですね……」

 げっ! 出演した効果が早速出てるっ!

「ほかにも新聞社からの取材依頼も来てますよ! もう大人気ですよー!」
「いや、ヴァーニア、うれしくないから! 人気出したくないから!」

 どうも、私、魔族の土地で知名度がうなぎのぼりなんだけど……そのうち、魔族の中ボスみたいな扱いを受けて、人間の土地から討伐隊でも来るんじゃないかな……。

 高原の家が最恐最悪のダンジョンだなんて呼ばれることがありませんように……。
今回で音楽祭編はおしまいです! 次回から新展開です!
7月発売の3巻の作業も着々とやっております。フラットルテのイラストもとってもかわいいので早く公開したいです!

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