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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔族の音楽祭編

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168 ハエの王もやらされる

 そのあとも魔王ペコラのステージが続いた。
「魔族の力はおかわり自由~♪」「ドクロマークもハートマークにしちゃえ~♪」「ノドから血が出るまで歌ってね~♪」「おっきな闇の、おっきな愛だよ~♪」

 歌詞のコンセプトは統一されているが、全体的にパワーワードが多い。

 ペコラは容姿的にアイドルっぽいし、ちゃんと歌もダンスもできているので、想像以上にアイドルとして成立していた。
 ファルファが「おかわり自由~♪」と一緒に歌って、それからちょっとずれて「じ、自由♪」とシャルシャが歌っていた。子供にも人気があるらしい。

「それじゃ、わたくしはここで一度下がります。ダン・ダダダ鉱山の鉱山技師で結成された打楽器ユニット『銀ばっかり掘り隊』でーす!」
 サイクロプスみたいなのが数人出てきて、ドンチャカやり出した。この間にトイレに行ってる人がけっこういたけど、こういうところでトイレに行かれちゃうんだな。打楽器にさほど興味はないけど不憫だ。

 以後も、アイドルみたいな格好でいろんな魔族が出てきて、歌を熱唱していた。
「これ、魔王様が宴会芸の延長でネタで部下にやらせたのが元だったんです」
 さらっとファートラがひどいことを言った。

「最初は一種のイヤガラセだったと思うのですが、ためしに自分もやってみたところ、思いのほかはまってしまったらしく、どんどんイベントの規模がエスカレートしているわけです」
 ファートラは頭痛がしてるといった顔をしていた。

「上が思いつきで行動すると下は苦労するよね。わかるよ、わかるよ……」
「人間の王国でも公演してファンを獲得しようという魂胆をお持ちのようです」
 そんな形で魔族が接触してくるとは人間も思ってないだろうな……。

 基本はアイドル系のイベントなのだが、たまに余興で変なのが混じる。ブッスラーさんが凶暴なクリーチャーらしきものと戦う演武をしていた。これ、あれだな、ローマ帝国の剣闘士と野獣を戦わせるやつだな……。

「これがブッスラー流スライム拳です! どんな魔族でも強くなれます! 入会ご希望の方はブッスラーまでご連絡ください! また、お仕事の依頼もお待ちしてます!」
 無茶苦茶、営業活動している。相変わらず金にうるさい人だ……。

 その時、とあることに気づいた。時間の問題だったかもしれないが。

「こんなところに絶対いるはずのベルゼブブがいないね」
 ヴァーニアがにやにや笑っていた。
「なんででしょうね~。なんでいないんでしょうかね~」
 もう、それ、答えを言ってるのと何も変わらないな。

「ベルゼブブ様は最後まで抵抗を試みていらっしゃいましたが、魔王様の押しが強すぎて、ついに屈してしましました」

 そのファートラの言葉の直後、またペコラが出てきた。やはりペコラが一番人気があるらしい。魔王というのもあるかもしれないし、純粋に一番クオリティも高い。

「はーい、魔王でーす! 次は二人ユニットをやりまーす! はい、出てきてくださいね~」
 恥ずかしそうにしながら、ベルゼブブがいつもより派手なアイドル系の衣装で出てきた。いつもの衣装もアイドル要素が皆無じゃないけど、ちょっと地下アイドルっぽい。

「こ、この衣装などは農政活発化プロジェクトの予算から出ておるのじゃ……。適正な支出なのじゃ……」
「そうでーす! 会計検査局によるチェックも通りましたー!」
 よく国民、納得したな。

「ベルゼブブさん、恥ずかしがってますけど、わたくしにはわかりますからねー。本当はこういうアイドル的なこと、やりたいんですよ。知ってますよー!」
「そ、そんなことありません……!」
 顔を赤くしてベルゼブブが否定した。

「だって、過去に給仕係をノリノリでやったりしたことがあるって記録にありますよ?
「な、なぜ、それをっ!」
 ああ、過去に喫茶『魔女の家』で大活躍してくれたな……。キャラも口調も変えて……。

「今は魔族の前だから気にしてますけど、農相とかそういう役割がなかったら、問題ないんですよね? よね? よね?」
 イジメだ……。この魔王、やはり性格に難がある……。

「わ、わかりました! 腹を決めます! みんなー! ベルゼブブでーす! 好きなものは激辛料理ですっ! 今日はみんなとはっちゃけるからねー! 応援よろしくー!」
 私は勤め人って大変だなと他人事のように思った。

「あっ、そんなことしたら、キャラが死んじゃいますよ。ちゃんといつもの、尊大な口調でお願いします」
 魔王から厳しいダメ出しが入った。
「でも、魔王様の前では尊大になどしてませんが」
「ファンの皆さんを見下す態度でお願いします! はい、いつも通りでどうぞ!」

 ベルゼブブはすぅっと深呼吸を一回した。
「ふはははっ! お前たちにこの上級魔族ベルゼブブ様の美声を聞かせてやろう! 涙して聞くがよいぞ! 歌ってる最中にあくびをした奴は死刑じゃっ!」
「よくできましたー! それじゃ、一曲目からいってみましょー! 『三角関係暗黒魔法陣』です!」

 そこからの二人はなんだかんだで輝いていたと思います。
 空を飛べるというところを利用して、飛びながらアクロバティックに踊っていた。

「君そっくりの存在、召喚したら~♪」「殺し合う必要もないよね~♪」
「でも、オリジナルのほうが価値があるから♪」「やっぱり殺し合うよね~♪」

 歌詞は血なまぐさいけど、そこはスルーする。
 観客の声援もこれまで以上に大きくなっていると思う。
「農相仕事しろー!」「弾劾しちゃうぞー!」「農業の仕事よりガチじゃないですかー!」
 そんな愛のあるヤジ? まで飛んでいた。ベルゼブブも民に愛されてはいるらしい。

 ただ、ちょっと不安を抱く点があった。
 ククが目をキラキラさせて、そのステージを見ていたのだ。

「こういうのも、あるんですね……」
「クク? この要素は入れなくていいよ? リュート使ったこれまでのやり方でいいと思うよ? ほんとに、ほんとだよ!」

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