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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

娘が来た編

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16 家族が増えたよ

タイトル通り、四人家族になります。
 シャルシャがライカの攻撃で気絶したため、ひとまず私の危機は去った。

 そのまま地面に寝かせておくわけにもいかないので、私は家の空き部屋でシャルシャを寝かしつけた。
 客人用のベッドもちゃんと完備しているのだ。ライカが建物を増設してくれた時に生まれた部屋だ。

 一時間後、シャルシャが目を覚ました。

「う、う~ん、ここは……」
「あっ、シャルシャが起きた!」
 ファルファちゃんがすぐに近づいていく。

「ああ、姉さん――――あっ、高原の魔女がいる!」

 私もライカも同じ部屋にいたのだ。

「あなた、ライカに負けて倒れてたから、とりあず寝かしておいたの」

「余計な情けをかけたのが運の尽きね! このシャルシャには破邪<高原の魔女>という魔法が――」

「それ、マナ使い果たしてるから、また何十年かは使えないよ」

 シャルシャの顔が青くなる。魔法が発動しないことに気付いたのだろう。

 そのあたりのことも姉のファルファちゃんから聞いて、確認済みだ。まだ一時間使えるなんてことになったら困るからな。

「そ、そんな……このシャルシャのこれまでの人生は何だったの……」

「知らないわよ。復讐のためだけに生きるなんて悲しいことをしてるからそうなるの。むしろ、私が生きてるだけいいじゃん」

「ど、どういうことよ……」

「私が死んだら、あなた、いよいよ生きる意味なくなるでしょ。私が生きてる以上は復讐を目的にできる」

 ちょっと強引なプラス思考発言かとも思ったが、シャルシャは割と真に受けて聞いていた。

「そういう言い方もできるわね……」

「でしょ」

 こちらの言葉に納得させられたみたいで、ちょっとうれしい。

 シャルシャが腕に目をやる。
 そこには薬草を湿布代わりに縛り付けている。

「ママはね、薬にすごく詳しいんだよ!」

「ライカと戦ってケガしたからね。普通の倍ぐらいの速度で回復すると思うよ。スライムの精霊の回復速度ってよくわからないけど」

「高原の魔女、わざわざ、こんなことまで……」

「魔女というのは薬草を扱う仕事だからね。ケガしてる以上は治療する」


「し、しかし、お前には何のメリットもないはず!」

 なんでもかんでも聞いてくる子だな。

「だって、私はあなたの産みの親なんでしょ。じゃあ、放っておけないじゃない」

 いや、親じゃなくても、子供が倒れてたら助けるけどね。
 でも、ここは親だからって言うべきだろう。

 シャルシャの目になぜか涙がたまってきた。

「お、お前は親と言えなくもないけど……そ、それでもスライムの仇で……」

 ファルファちゃんがシャルシャの手をとった。

「シャルシャ、もう意地張るのやめようよ」

「姉さん……」

「スライムと人間は戦うものなんだよ。今も世界中でスライムは倒されてる。ママがいなくなってもその事実は何も変わらないよ」

 たしかに私が倒してきたスライムの数なんて世界規模で見れば微々たるものなんだろうな……。

「それよりも、わたしたち二人が幸せになれる生き方を考えよう。そのほうが楽しいでしょ?」

 その言葉にこくこく、とシャルシャがうなずいていた。

 子供っぽいけど、ファルファちゃん、ちゃんとお姉さんしてるんだな。

「アズサ様、どうやら、一件落着のようですね」
 一部始終を見守っていたライカもほっとしたようだった。

「そうだね。今回ばかりはどうなることかと思ったけどね……」

「あっ、そうだ、アズサ様、我の作るオムレツ等の料理、四等分ぐらいにすると、一般的な食欲の方にはちょうどいいのではと思うのですが」

 なんか、露骨に含みある表現だな。

「でも、ライカ、四等分じゃ足りないんでしょ?」

「そ、そこは追加で作りますので……」

 その善意に乗っからせてもらおう。

 私は娘二人のそばに寄る。

「部屋はまだ空いてるから、ここに住んでもいいよ。むしろ、住みなよ」

 そもそも、この二人がどこでどういう生活をしていたか謎だけど、それは追々聞けばいい。

「うん! ファルファ、ママと住みたい!」

 お姉ちゃんのほうは問題ない。
 さて、妹のほうは。

 シャルシャは迷っているようだったが、

「高原の魔女……」

「高原の魔女って呼び方はダメ。家族っぽいものにすること」

 やがて、シャルシャは視線を私からそらして、

「…………か、母さん」

 そう言った。反抗期っぽい感じで。

「シャルシャも一緒に住んでも……いい」

「よし、じゃあ、決まりだね。今日はパーティーやろうか!」

 親睦を深める時はとりあえずパーティーをやるのだ。
 大昔に嫌々参加していた飲み会とはわけが違うぞ。

「私はタルトを作ろうかな」
「わーい! タルト大好き!」

 ファルファがはしゃいだ。

「では、我はまたオムレツを焼きましょう」 
「わーい! オムレツも大好き!」

 ファルファはけっこう何でも喜ぶタイプだな。

 一方で、シャルシャのほうはむすっとしていたが――

「母さん……料理、手伝うから……」

 笑わない顔のまま、言った。

「うん、ありがとう。じゃあ、やってもらおうかな」

 はっきり言って、スライム倒したことに罪の意識など感じてない。
 それに、そういうのって極論すると、人間はたいていの場合生物を食べているので、殺生をしないためには自分が死ぬしかなくなるし。

 ただ、スライムを倒してこの子たちが産まれたのは事実だろうし、だとしたらせめて私が母親役をやるべきだなとは思った。
 それに、単純にこの子たちには母親が必要だと思った。二人だけでも生きていけてたんだろうけど、帰るべき場所はあったほうがいい。

 異世界で魔女のスローライフをやって約三百年。

 スライムを倒し続けていたら、双子の娘ができました。

 人生、長く生きてるといろんなことがありますね。

 まあ、家族の多いスローライフもそれはそれでいいんじゃないだろうか。

「ところでスライムの精霊って普通の食事でいいの?」

「食べなくてもいいし、食べてもいいから」

 シャルシャが下を向いたまま、答えた。

 徐々にコミュニケーションもとれてきたな。

「あっ……」

 ライカがまずいことに気付いたという顔になった。

 それから、ライカはファルファに申し訳なさそうに言った。

「あの……スライム、倒してもいいんですか?」

「いいよ~。それも自然の摂理だから~」

「そんなに構わなくてもいいから」

 ライカの修行はこのまま続行できそうだ。
こんなに長くランキングに入っているとは思いませんでした。応援してくれている皆様に感謝です! これからもしっかり更新していきます!

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