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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔族の音楽祭編

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167 魔王の舞台

 翌日、ライカは早起きして、ブッスラーさんとトレーニングをしていたらしい。朝から精が出るな。
 それから、ファルファとシャルシャもそれぞれ図書館に行って、本を読んでいたという。二人は食事中に寝ちゃったのもあるかもしれない。

 あとのメンバーはそもそも眠ることがないロザリー以外、寝坊にカウントされるぐらいは寝ていた。私もそうだった。

「やっと起きましたね、姐さん」
 目を開けたらロザリーが目の前にいたので、ちょっとびくっとした。
「ロザリー、もうちょっと早く起こしてくれてもよかったのに……」
「そしたら、姐さんが『今日は起きるまで寝るから』って言ってましたよ。アタシは姐さんの言葉は全部守りますんで」

 う~、久しぶりにお酒飲みすぎたな……。
 ほかの面子を確認しにいくと、ハルカラは着替え中に寝たのか、下着丸出しで寝ていた。隙がありすぎて、逆に隙がない。
 フラットルテはそもそもベッドから転落していた。
 ククだけは死んだようにまっすぐ上を向いて寝ていた。ウサ耳を巻き込まないような姿勢で寝ないといけないのであまり動けないらしい。

 私はほかの面子も起こして、朝昼兼用の軽い食事をとった。
 その時はククがやたらとフラットルテに話しかけていた。ほんとに師弟関係って感じだな。

「あまり、古参ファンを大事にしすぎてはいけないのだ。古参だけが気持ちいい空間になると、新規が入ってこなくて衰退してしまうからな。ファンというのは、上がる時はわざわざ上がる理由など報告せずに黙って上がっていくのだ」
「上がるというのは、ファンを辞めるという意味のことらしい。

「初期からファンが大量にいると、それでもしばらくやれるが、じわじわと先細って活動休止の直前だけ往年の大きなハコでやるということになるのがオチなのだ。常に新しいファンを取り入れて活性化を図る意識が必要なのだ」
「参考になります。たしかに、四、五年で活動休止した吟遊詩人グループって多いですね」

 この調子なら、ククがどこにいっても二人の関係は続くんじゃないかな。

 さて、最終日の魔王ペコラの儀式はどうなるのかな。
「今回も音楽祭にお誘いしていただいたことで、ククさんも活躍の場ができましたし。ペコラさんとベルゼブブさんはいい方ですね」
 ライカは楽しそうに言っていたが、そんなに甘くないと思う。

「私はペコラが何をしてくるか。期待と不安と不安がいっぱいって感じだよ。不安のほうが多め。今回、全然会いに来てないのも、何か裏がありそうなんだよね」
 私の嫌な予感はよく当たるし、巻き込まれ体質だからなあ。

「重要な行事らしいですし、きっと魔王としてやることが多くあるんじゃないですか」
 ライカ、あなたは人を信じすぎかもしれない。そこがいいところでもあるんだけど。



 まっ、警戒しすぎてもしょうがないし、私たちは会場の大競技場に行った。
 行ったというか、ファートラとヴァーニアの二人に連れていかれた。

「絶対にアズサさんには一番いい席で見てもらうようにとの魔王様の厳命ですので」
「いやー、たくさん練習なさってたようですしねー」
 そのまま馬車に乗せられた。ほとんど護送だな、これ……。

「何をやらかすつもりなの、あの子は……?」
 同じ馬車に乗っている二人に聞いた。
「魔族のしきたりとして、魔王様は音楽の精霊と契約を結ぶ儀式をすることになっています」
「そのしきたりの結び方自体は自由度が高いんですが、今の魔王様は音楽の精霊を楽しませて、契約の代価にするという発想なんですよー」

 わかるような、わからないような……。

 競技場は超巨大で、五万人収容できるらしい。その客席が埋まっているから、なかなか圧巻だ。見れない市民も外に集まっていた。
 その中で私たちは招待席に座らされる。

 いったい何が行われるんだ……? 少なくとも形式的なエンターテイメント性のないことをやって終わりというわけではないな……。

 やがて、夜のとばりも降りて、闇が深くなってきた頃――
 ライトがぱっと特設ステージを照らした。

 そこに出てきたのは、いつもより派手なふりふりのドレスを着た魔王ペコラだった。

「魔王様!」「魔王様!」「まおーさまー!」「魔王様万歳!」
 会場から大歓声が起こった。耳をふさぎたくなるぐらいだ!

「はーい! 魔王でーす! 音楽祭、楽しかったですかー? わたくしが最後の締めをやりますねー!」
 ペコラが声を拡散するマジックアイテム――つまり、事実上のマイクに向かって叫ぶ。
 そして歌い出す。

「せかいーをー、くらやみでつつんでー、みんないっしょにーな~れ~♪」
 なんか、スキファノイア的な怖い歌詞! でも声が甘い感じだから、ちょっとメルヘンぽい!

 ペコラの声に対して、会場では野太い声の合唱が起こっていた。
 さらに炎を出せる魔族が揃いのタイミングで火炎を作って、会場を彩っている。

「もしや、これは……アイドル!?」

「闇だよ~闇だよ~年中無休~♪ 光ないとこにも闇ならあるよね~♪」
 不吉な歌詞と共にペコラが踊っている。ダンスはやけに上手い。
 気づいたら近くに座っていたヴァーニアも大きな花みたいなのを持って、振っていた。ファンか!

 無表情で見守っているファートラのほうに尋ねる。
「ねえ、これって、どういうことなの……?」
「魔王様はいかにすれば効率よく国民精神の結集を行えるか考え、こういう手法を考案されたのです。これなら古臭い行事とか興味ないというしらけた若者層も熱狂できるということらしいです」

「そうやって言語化されると、いい策のような気がしてきた」
「なお、前回の音楽祭は全八組、五時間にわたって行われました」
「長すぎる! あと、そんなにいろいろ出てくるのか……」

 またフラットルテは評論家みたいな顔で真剣に見て、しかも、なんかメモまでとっていた。

「なるほど、パフォーマンス系の中の偶像系、その中でも正統派なのだな」
 偶像系って、確実にアイドルってことだろ。
3巻の作業も少しずつ進めております! 7月に出ますのでよろしくお願いします!

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