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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔族の音楽祭編

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164 変なカードゲーム

 中央の一番観戦がしやすいテーブルで優勝決定戦が行われることになった。

 バルンダさんはかなりガタイのいいオークのおじさん。
 一方でケイカ君は帽子をかぶったミニデーモン。まだ少年といった風情の子だ。

「少年、ここは大人の洗礼を受けさせてやる」
「こっちは子供だから、その分、時間を注ぎ込めてるんです。完封しますよ」
「このテーブルの意味、わかってるんだろうな?」
「もちろん。なんのためにこの決闘スペースを使うと思ってるんですか」

 おお、対戦前から火花が散っている! すごい! ――と思ったら炎の精霊らしき観客がいて、リアルに火花を散らせていただけだった。危ないから自重してくれ!

 こうしてオークとミニデーモンの試合がはじまった。

「ねえ、ポンデリ、私、こういうのよくわからないから解説してよ」
「はいはい。わかりました」
 尻尾がうねうね動いていて、ちょっと握りたくなる。多分握ると怒られるけど。

「まず、カードはエネルギーカードと魔法カードに大きく分かれます。魔法カードを使うにはエネルギーカードがいるんですね。序盤はエネルギーカードを順番に出していくので、地味になりがちですが、速攻デッキはその序盤から攻撃を仕掛けていきますよ」
 ほうほう。

「【稲妻の精霊】召喚! このカードは登場ターンから攻撃できるので、攻撃!」
 おっと、オークがいきなり、なんか召喚して攻撃した。
 防御が間に合わないミニデーモンがダメージ。
 と、本物のミニデーモンが「あばばばばばっ!」しびれだした!

「ねえ、これ、どういう仕組みなの?」
「この決闘スペースというテーブルではカードでダメージが入ると、それに連動したダメージが本人にも行くんです。床にそういう特製魔法陣を描いています」
「思った以上に危険だね……」

 とはいえ、そこは安全対策とかはちゃんとしてるんだろう。
「ちなみにダメージの効果で服が破れることも多くて、女性カードゲーマーが来ると男性ゲーマーのテンションが上がりますね」
「そんな強引にお色気要素入れなくても……」

 序盤はオーク側が次々にモンスター的なものを出して攻撃していく。
 一方でミニデーモン側は城壁やらなんやらで防御を固める。

 しかし、それでもオーク側の攻撃はよくわからないルールで防壁を突破してミニデーモンにダメージを与えていた。
「ぎゃああ! くっ!」
 きっちりミニデーモン本人の真下から炎や雷が発生して、けっこうダメージになっていた。苛酷なゲームだな……。

「おや、これはおかしいですねえ……。お師匠様、妙じゃないですか?」
 ハルカラが何か発見したらしい。
「あのミニデーモンの男の子、胸がふくらんでませんか?」

 その時、オークのほうがちょうどとどめを刺そうと攻撃魔法を使おうとしていた。
「これでこっちの勝ちみたいだな、少年。立ち上がりが遅いと、リスクもあるのだよ」
「ふっ。残念ですが、それは使えませんよ」
 にやりとケイカ君というミニデーモンが笑う。
 まさか、ここで何か大逆転の展開が!? それだったら私も燃える!

 さっと、胸のあたりをケイカ君が隠して、その帽子を脱ぎ捨てる。
 肩にまでかかる髪がさっと出てきた。
「実は僕は少年じゃなくて、少女なんです。その攻撃魔法を使ったら、僕の服が完全に破けます」

 ケイカ君じゃなくてケイカちゃんだったーっ!

「くそっ! 卑怯だぞ! カードゲームは紳士のスポーツ! これ以上攻撃すると女子の裸を見るためにやったように思われてしまうっ!」
 オークのほうが苦悩していた。

「そうです! つまり、これではとどめを刺すことは不可能というわけですよ!」
 勝ち誇ったようにケイカちゃんのほうも言ってるけど、これ、ルールに問題あるんじゃないの!?

「おおっ!これは燃える展開だっ!」「ここに来て、実は女の子だった設定かっ!」「ぎりぎりの心理戦の突入だな!」
 ギャラリーは納得している。いいの、これ? いろんな部分で大丈夫なの? もはやカードゲームの実力、関係なくない?

「いや~、決勝にふさわしい戦いになりましたね~」
 ポンデリはすごく満足していた。主催者もOKなのか。私だけがおかしいのかな……。
「アズサさん、カードゲームはテーブルの上だけで行われるんじゃないんです。相手の心理を揺さぶって攻撃するのも立派な戦術なんですよ」

「偉そうなこと言ってるようだけど、私は認めたくない」
「過去の大会でも、建物に火をつけることで相手を逃げさせて、試合放棄に持ち込んだケースなどもあります」

「カードで戦え」
「ああ、カードをナイフのように投げて、敵の腕に刺すというプレイヤーもいますね」
「意味が違うっ!」
 魔族のカードゲーム、闇が深すぎる。

 一方で、決闘スペースのほうでは謎の駆け引きが続いていた。
「ふふっ、カードを引く時に手を離したら、胸が見えちゃうかもです」
「やめろ! ほどほどに中破させることで、かえって見たくさせるな!」
「さあ、その攻撃魔法を使って、変態認定されてもいいんですよ? それとも、このまま、僕の【意識が高いけど行動が伴わないドレイク】が召喚されるのを座して待ちますか~?」

 もう、これはケイカちゃんの作戦勝ちだろうか。ただ、小五ぐらいの容姿でそういう勝ち方をやるのって、どうなのかとは思う。

 だが、じわじわと形勢が逆転していくなか、オークが何かカードを引いた。
 その瞬間、オークの表情が変わった。
「この勝負、神は俺に微笑んだようだぜ」

「そ、そんなこと、無理ですよ……。そっちはダメージを与えずにこちらを倒すことなんて……」
「だが、こんな魔法があるんだ! 【異界からの召喚】を使う! これは、その会場にあるモノを一つ使用できる!」
 そんなのアリかというようなカードだった。

 そして、オークはおもむろにその場を離席して、窓際のカーテンを力任せに奪い取った。
 さらにそれをケイカちゃんに投げつける。

「きゃっ! 何も見えないっ!」
「そうだ! お前の露出をゼロにしてしまえば、いくらでも攻撃ができるっ! ここで【どうにもならないインフェルノ】を使用! お前に二千点のダメージ!」

「きゃーっ! うわーっ!」という声がカーテンの中で聞こえて、ばたっと中の人が倒れた。

 たたたっと、スペースの前にポンデリが出ていって、
「優勝はバルンダさんです!」
 と宣言した。

 歓声が会場で起こるなか、私たち家族は全体的にぽかんとしていた。
 私の考えていたカードゲームと違う。

「はい、では優勝者のバルンダさんには今回の限定カード、【高原の魔女アズサ】をプレゼントします」
 なんか、私の肖像権が侵害されてるカードが手渡されてる!
 しかも、カードイラスト、ちょっとパンチラ気味だぞ! 

 私はシャルシャの肩をぽんぽんと叩いた。
「このカードゲーム、教育に悪いからしちゃいけません」
 シャルシャはちょっと残念だったけど、うなずいた。
中学生時代はかなりカードゲームやってました。3巻は7月に出ます。よろしくお願いします! エピソードとしてはニートなアンデッドのポンデリ編まで収録予定です。3巻はおまけエピソードを3つ入れました! 豪華です!

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