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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔族の音楽祭編

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163 カードゲームデザイナー

 ハルカラは逃げるように、その場を後にした。むしろ、実際に逃げたのかもしれない。

「困りますよ……。ハルカラ製薬にあんなライバルが登場するだなんて……」
「なんか、大変なことになったね」

「こうなったら近いうちにさらに貴重な生薬を使った『真の栄養酒』『栄養酒リザレクション』『栄養パワーアップ酒』などを売り出して、種類で圧倒していくしか……」

 そういえば、日本で売ってた栄養ドリンクもなんでこんなにあるんだというぐらいに種類があって訳わからなかったな……。値段の種類もピンキリで、本当にそんなに差があるのかとずっと思っていた。
 どこの世界でも、こういうのは同じ運命をたどるものらしい。

 そんな会話をしつつ、私たちは引き続き、ポンデリのお店を探す。
「ところでアズサ様、そのポンデリという方はどういう人なんですか?」
 ライカに尋ねられた。みんな、出会ったことはないんだよな。

「一言で言うと廃人ゲーマー、違うか、死人ゲーマーか。ゲームをひたすらやり続けるようなネコ獣人のアンデッドだね」
「ずいぶんと怠惰な生活を送っていたようですね。あまり感心いたしません」

 たしかにライカの価値観とは相容れないかもしれない。

「ああ、そういう遊んでる奴ならブルードラゴンの集落にたくさんいましたよ。昼からお酒飲みはじめて、翌日の昼まで飲んでるドラゴンとか、ちょくちょく見かけました。そういうおっちゃん、道に大の字になって寝てました」

 ブルードラゴンの集落を見たあとだと、あながち誇張とも言えないな。
 しかし、それ、遊び人のジャンルが多分大きく違う気がする。どっちも、あんまり働いてないところは共通してるんだけど……。

「アンデッドですか。幽霊とどっちが生き方としていいんですかね?」
 ロザリーが答えるのが難しい質問をしてきた。生き方という表現はスルーするとしてもやっぱり難しい。
「ロザリーが決めて。私らは幽霊でもアンデッドでもないからわからない……」

 城下町のはずれのほうに歩いていくにつれて、やっと人の数が減ってきた。もう、迷子になるおそれもないので、肩車もここで終了。

「この路地をまっすぐ行けばいいんだね。ふう、やっとつきそうだ」
 ここの城下町、かなり広いからな。

 そこは立地は悪いけど、お店にしてはやけに広かった。何かの集会場の跡地か何かだろうか。

 扉を開けると、無数に並んでいるテーブルに多くの魔族が向き合って、真剣な顔で何かやっている。
 ちょうど近くにいるゴブリンとコボルトが何かやってるのを見てみようかな。

ゴブリン「【復讐のケンタウルス】召喚!」
コボルト「では、こちらは【シーサーペントの王者】召喚! そのうえで【水の羽衣】で強化! しかる後に【闇の守護聖人】を能力を使って防御不可能にしてから攻撃!」

 カードゲームやってるっ!

 どうやら、どのテーブルでもカードゲームを行っている。
「これ、何……?」

 と、奥の運営本部と思われる席にポンデリが座っていた。
「お久しぶり。あなた、しっかり働いてるみたいだね」

「あっ、アズサさん! 以前は大変お世話になりました!」
 ポンデリの猫の尻尾がふにふに動いている。この土地に順応しているようだ。

「あのあと、普通にゲームをするだけというのも面白くないので、ボク、『自分の考えた最強のカードゲーム』を商品化することにしたんです。アイディアを城下の企業に持っていったら、めでたく採用されました」
「魔族、そういうところ、とてつもなく進んでるなあ……」

「それが、今、みんながやっている『ケット・ケットー』というカードゲームです」
 ポンデリがなんやら商品らしき箱と袋を出してきた。

「こちらが六十枚入りのスタートボックスで、この袋が十五枚入りのオプションパックです」
 この世界の住人は地球に住んだことがあるのではと、時々疑いたくなる。

「今では競技人口もどんどん増えていますよ。ボクも次のオプションパックのカードの設定を決めないといけないので大忙しです。なにせ、部屋に籠もって、何度も何度もゲームバランスのチェックをしないといけませんからね」
 籠もっているというのは、これまでと同じだったけど、ポンデリはとても楽しそうで、瞳も輝いていた。

 ああ、こんな裏技もあるんだな。ひきこもり気味の人が活躍できる仕事も世の中にはあるんだ。

「おめでとう。ポンデリ、立派になったね」
「はい? ボクは面白いと思ったゲームを提案したり、作ったりしてるだけで、墓場に住んでた時と同じようなことしかしてませんよ?」

 ポンデリ本人には自覚などないらしい。もしかして、ポンデリがニートを続けていたからこそ、こんな資質が身に着いたんじゃないかな。だとしたら、ニートをやることにも意味はあるのかも。肉を熟成させたら美味くなった、そんな効果があったのかも。

 その様子を見ていたライカも「すごくいい光景ですね」としみじみと感想を漏らしている。

「シャルシャ、このゲーム、やりたい。興味がある」
 よし、シャルシャが気合い入れてやればすぐにチャンピオンになれるよ(親バカ)。

「それだったら、いくつかカードをプレゼントしましょうか?」
「いいよ、そこはちゃんと買うから」
 シャルシャ用にカードとルールブックを買ってあげた。こういうの、はまるととてつもなくお金がかかるはずだけど、これは知育なので問題なし!

 ちょうど、勝負がついたテーブルがあったらしく、勝った人が本部に試合結果表を持ってきた。
 せっかくだし、本部の後ろで見学しよう。

「おっ、バルンダさんが五連勝、ケイカさんも五連勝、これは五連勝同士での優勝決定戦になりそうですね」
 その言葉が聞こえたのか、選手たちも盛り上がっている。
「やっぱり下馬評通り、バルンダさんの速攻デッキかな?」「いや、ケイカ君のゴキゲン中央ドレイクは強いぞ。むしろ、速攻を仮想敵にしてるぐらいだ」「二戦目以降のカード変更もカギになりそうですね」

 かなりはまってる人がいるな。カードゲームの出だしは好調のようだ。

「皆さん、せっかくですし、六回戦目は優勝決定戦だけ、先にやってしまって見学可能なようにしようかと思うのですが、異論はないですか?」
 ポンデリの思いつきにいろんなところから拍手が起こる。
 おお、なかなかアドリブ上手いじゃないか。

 私たちも優勝決定戦を見られそうだ。
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