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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔族の音楽祭編

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162 ドリンク対決

 ポンデリのお店に向かう間、結果的にかなりいろんなお店を見ていくことになった。
 なにせ、相当歩いていかないといけないからな。

「なるほど、このあたりに露店で出店しても、十分に儲けが出そうですね。悪くないです」
 ハルカラは一人だけ視点がおかしい。本格的に出店を狙っているらしい。

「むしろ、三店舗ほど出すというのもアリかもですね。一箇所だけというのはもったいないです。大型の会場の真ん前に出すという手もありますし」
「あなた、こういうところでは本当にしっかりしてるね」

「お金は何ゴールドあってもうれしいですからね。しかもハルカラ工場の商売敵は今のところいませんし」
 競合他社がいないって、そこは強みだな。

 私の隣では、フラットルテがちょっとバランスを崩しそうになっていた。どっちかというと、上に乗っているシャルシャのバランスが悪い。
「怖くて、角をつかみそうになった」
「あー、やめてほしいのだ! 足をしっかりはさんでいれば、絶対落下しないから!」

 フラットルテには悪いことをしたな……。こっちはファルファがずっとごきげんに笑ってるんだけど。

 そうやって移動していると、祭りの中でもとくに人が集まっている一角があった。呼び込みの声みたいなのも聞こえてくる。

「あそこ、何かな、何かなー! ファルファ、わくわくがいっぱい!」
 頭上でファルファの声が響く。「わくわくがいっぱい」って子供だからこそ許される表現だな。大人が言うと、痛々しさがある。

「はいはい。じゃあ、そこ行こうか」
「うん! ママ大好き!」
 おっと、ママ大好きいただきました。毎朝、ママ大好きを聞いて目覚めたい。

「フラットルテさん、あちらに移動してほしい。姉さんを追撃する」
「なんか、戦車ごっこみたいになってるのだな……。わかったのだ……」
 フラットルテも使われてるな。お疲れ様です。

 で、近づいてみて人だかりのわけに気づいた。

 そこには、『マンドラゴラ錠』ののぼりが大量に置いてある!
 そして見たことのある赤毛の魔女が店頭に立っていた。

「はい、洞窟の魔女で有名な、私、エノが今日は直々に『マンドラゴラ錠』の販売をいたしますよ! これは質のいいマンドラゴラをぜいたくに使った最高の常備薬です! 我が家のかかりつけ医、『マンドラゴラ錠』です!」

 無茶苦茶、楽しそうに売ってる!

「ちなみに、今日は特別に一ビン買うと、おまけでもう一ビンついてきますっ! これでお値段変わらず! もちろん錠剤ですから、乾燥したところに置いておけば長くもちます!」
 うわあ。
 以前も思ったけど、この子、こういう接客系の仕事、やたらと生き生きしてる……。

「あれ、高原の魔女様じゃないですかっ!」
 エノもこちらに気づいたらしい。

「あなた、商売上手くいってるようだね。後輩が成功してて私もうれしいよ」
「はい。私、これで必ずビッグになります! ほら、どうせ生きてるなら勝ちにこだわっていきたいじゃないですか」
「ああ、うん……。あなたの中の正義としてはそれで、いいんじゃないかな……」

 この子、知る人ぞ知る魔女みたいなポジションを目指していたのに、一回商品が売れはじめたら、いかに売るかを積極的に考える方向性にシフトしだしたな……。

「あ、そうだ、お子さん用に、『子どもマンドラゴラ錠』もありますが、一つどうですか?」
 さっと、エノは別の商品を見せてくる。ぐいぐい来るな。
「今買うと、荷物になるからいいです」

 エノはそのあと、私の家族たちともあいさつをしていた。
 そこはいいのだが――なぜか、ハルカラが厄介な敵を見つけたような表情をしていた。なにやら、警戒しているようなところがある。

「ハルカラ、あなた、どうしたの?」
「どうも、わたしに対峙しそうな気がするんですよね、ここ……。これは商売人の勘です……」

 で、その勘は当たった。
 今度はエノが液体の入ったビンを取り出した。中身は薄い黄色だ。

「さらに今日は新商品、『森のドリンク』を持ってきました! 滋養強壮には『森のドリンク』! いろんな薬草やキノコの成分をしっかり詰めました! 一日一杯、水で薄めてごくりと一杯! あなたを体の中から健康にする『森のドリンク』です!」
 ハルカラの顔が青くなってきた。

「皆さん、最近、H製薬というところから、『E養酒』というものが販売されているようですが、ああいう疲れた時に頑張るために飲むというようなのは、体によくないんです! ああいうのは一時的に疲れを忘れるだけで、回復はしません! しかし、『森のドリンク』は体の免疫力を、ゆっくり、ゆっくり高めていき、ステータス自体をアップさせるんです。健康を考えるなら『森のドリンク』!」

 これは、あれだ……。栄養ドリンクVS毎日健康のために摂取するドリンク対決だ……。

「ちょっと、ちょっと、ちょっと! 我が社の商品、ディスらないでくださいよ!」
 たまらず、ハルカラが飛び出てきた!
「ハルカラ製薬の『栄養酒』とは言ってないじゃないですか」

「ほぼ言ってますよ! しかも『栄養酒』だって体に有害な成分は何も入れてません! 健康に悪いみたいな表現はやめてください!」
「え~、でも常飲するには、刺激が強いかもですよ」

「それは、ここぞという時に頑張る人たち向けなんです! 用途が違うのに否定するのおかしいじゃないですか!」

「ハルカラさんでしたっけ、あなたの労働者がぐいっと一杯って思想はあまり感心しないんです。そんなに急激に体に効く成分が入ってたら、それ、体に悪いですから! 飲んでもう一仕事っていうのはダメです!」

「洞窟の魔女さんのほうこそ、そんなの毎日飲むぐらいなら、栄養バランスのとれた食事を毎日とるほうがよっぽど健康になれますよ! それを飲めばとりあえずセーフと思わせてるほうが詐欺くさいんじゃないですか?」

 うわあ、これは思った以上に激しい戦いになってきたぞ……。
 ただ、周囲の魔族たちは「もっとやれー!」と煽っている。見世物にされている!?
 ファルファも「ハルカラさん、頑張れー!」と応援していた。違うから! そういうのじゃないから!

 と、そこにミノタウロスの警備員二人がやってきた。どっちもコワモテでいかにもケンカが強そうだ。
「あの、こっちで揉め事があったようなんですが」

 エノとハルカラが二人とも、青い顔をしていた。
「いえ、なんのことですかね……?」「わたしもよくわからないですね……」
 シラを切ってなんとか乗り切ったな……。
以前にもお知らせいたしましたが、3巻は7月発売に決まりました! フラットルテのイラストがどうなるのか楽しみです!

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