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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔族の音楽祭編

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161 肩車問題

 翌朝、無事にヴァーニアはお城の近くの発着場に着いた。
 すでに早いところでは、もうお店が開かれて、以前より人出が多くなっている。

 私達は過去に魔族褒章をもらった時みたいにお城の客人用の部屋に通されて、それから自由時間ということになった。リヴァイアサン姉妹とブッスラーさんとはここでお別れだ。

「ククさんは今日は自由時間ですが、会場を下見したり、そこで音合わせをすることもできます。どうされます?」
 ファートラが尋ねた。
「もちろん行きます……。経験したことない大きさの会場ですし……」
 これは悩むまでもないね。

「クク、しっかりやってくるんだよ」
 私の言葉に「はい!」とかなり気合いの入った声で、ククは返事をした。
 じゃあ、ほかのメンバーでお祭りを散策だな。

 なお、ブッスラーさんに「ジムどうですか?」と誘われたけど、丁重にお断りしました。それ、わざわざ祭りで行かなくていいだろ。

 通りはどこも大にぎわいだ。両側に露店が出ていて、道がいつもより狭くなっているうえに、人の数も多いので、ぐちゃぐちゃになっている。

「これ、ポンデリのお店探すのだけでも、一苦労だな……」
 ファートラからもらった城下町の地図を見ているけど、思った以上に離れているし、路地が入り組んでわかりづらいところにある。

 でも、ゲームショップって日本でもだいたいマニアックな場所にあったと思うし、それはしょうがないか。興味がない人には一切必要のない店で、一方でマニアにとったら探してでも行く場所だから、わかりづらくてもさほど問題はない。

 ちなみに人が多いのでロザリーはどんどん通行人の魔族に体の内部をすり抜けられて、不愉快そうだった。魔族はロザリーを見える人が多いけど、混んでいるので、そのまま通過されてしまうのだ。通過されると、多分、なんとなく落ち着かなくなるんだろう。

 それと、被害を受けているメンバーはほかにもいた。

「うわ~ん、人いっぱいで苦しいよ……」
「姉さん、そこは心頭滅却すれば火もまた涼しの精神」
 シャルシャ、それ、我慢しろって意味でしかないから。あと、その言葉、こっちの世界にもあるんだね。

 しかし、背が低い娘二人がはぐれて迷子になると大変だな。この対策は考えないといけない。

「ねえ、ライカ、ファルファとシャルシャがはぐれなくする方法ってないかな?」
「アズサ様、ハルカラさんがはぐれました」
 こっちが質問したら、行方不明者の報告が来た!

「ま、まあ……私たちがどこに向かっているかは知っているわけだし、ハルカラも地図は持っていたはずだし、多分落ち合えるでしょ……。それにしても、きっちりはぐれるなあ……」
 この世界、携帯電話がないので、はぐれてしまうと落ち合うのが難しい。携帯電話が発明される前の世界ははぐれたら詰んでたと思う。

「それで、ライカ、二人がハルカラみたいにならないようにするにはどうしたらいいだろ?」
「手をつなぐのが鉄板だとは思いますが」
 それはそうだけど混みすぎているので手をつないで横に移動するのは邪魔なんだよね……。

「はいはーい! ファルファ、ママに肩車してもらいたい!」
 すかさずファルファが言ってきた。
 あっ、それはいいかも! しかも、ファルファも祭りの様子がよく見えるだろうし。

 しかし、これはこれで問題がある。私は一人しかいないわけで……。

「シャルシャが妹なので、シャルシャに優先権がある。母さんの肩車権を主張する」
 シャルシャが憮然とした顔で言ってきた。そう、娘二人を同時に肩車することはできない。

「えー、なんで、妹だと優先権があることになるの?」
 ファルファもこれには異を唱える。
「妹のほうが甘えていいものだから」

「それはおかしいよ。だって、肩車で転落したら危ないでしょ。だからファルファがお姉ちゃんとしてやるの。シャルシャのためを思ってだよ」
 ウソくさいことをファルファが主張してきた!

 これは水掛け論にしかならないな。私が強制的に話を終わらせないと。

「はーい、これはママが判断します。肩車を提案したのはファルファだから、ファルファをママが肩車します」
「わーい! 勝訴だー!」
 喜び方が世代的にどこかおかしい。

 そうなると、もちろん、シャルシャはしゅんとしてしまう。今にも泣きそうだ。無茶苦茶分別あるはずのシャルシャでも、こういう時、泣きそうになっちゃうんだな。
 母親としてはむしろそういう子供っぽいところがあると、ほっとしちゃう部分もある。でも、このままにしておくつもりはもちろんない。

「上級裁判所に控訴したい……」
「シャルシャは、ほかのお姉さんに肩車してもらいなさい」
 私はフラットルテのほうに視線をシフトする。ライカよりはフラットルテのほうが体が大きいのだ。
 フラットルテも意図がわかったらしく、任せろという意味で右手の親指を突き立てた。

 シャルシャがフラットルテのほうに来て、「お願い」と頭を下げた。
「もちろんなのだ! フラットルテに任せるのだ!」
 フラットルテもすぐにそこで中腰になって、乗車可能姿勢になる。

「ただ、シャルシャちゃん、角は握らないでほしいのだ……。シャルシャちゃんにも絶対服従することになると、あんまりよろしくないので……」
 そっか、そういう問題があるんだ……。人選ミスかな……。ライカに頼むべきだったかな……。

「持ちやすいので、つい握ろうとしてしまった」
「あ、シャルシャ、ほんとに気をつけてあげてね! とてもデリケートな問題だからね!」

 とにもかくにも、こうして娘二人は肩車を堪能できるようになった。
「うわー! すっごく遠くまで人でいっぱい!」
「巨人になったみたい。小さな人間でも巨人の肩に乗れば、結果的に広い視野を持てる」

 よしよし、楽しんでるな。子供は楽しむのが仕事みたいなものだからね。

 そこにハルカラの声が聞こえてきた。
「お師匠様ー! どこですかー! お願いですから返事してくださいー!」
 これで、また無事に合流できそうだね。

 再会したハルカラは泣きべそをかいていた。
「お師匠様……異国で一人ぼっちで、すっごく切なかったです……」
 娘じゃなくてハルカラが泣くとは……。

「あなた、一人で強く生きてたタイプなんじゃないの?」
「今では家族がいるじゃないですか……」
 ちょっと、うれしいことを言われたので、頭を撫でてあげた。
スライム倒して300年1巻の6度目の重版、7刷が決定しました!!! 本当にありがとうございます!
発売中の2巻ともどもよろしくお願いします! また、3巻の発売も7月に決定しました! フラットルテやエノなどがイラストになるはず! お待ちください!

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