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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

娘が来た編

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15 三百歳の永遠の十七歳VS五十歳の幼女

日間2位、週間3位になっていました! ありがとうございます!(11時25分現在)
「シャルシャは、人生の大半をあなたを倒すためだけに使ってきたの。この破邪<高原の魔女>という魔法がある限り、あなたには絶対に負けないのよ!」

 そ、そうか……。破邪の魔法は範囲が狭いほどその力が強くなる。私だけを限定した魔法なんてものがあれば、たしかにその力は相当なものになる。

 けど、初対面の相手を対象にして魔法なんて習得できるものなのか……。

「スライムの精霊であるわたしたち二人は自分たちがどうして産まれたかはわかってたんだよ。だから、妹のシャルシャはスライムがたくさんやられてる場所を調べて、ママを探し出して、落ちてる髪の毛を拾ったりして破邪に必要な材料を揃えてたの」

 ファルファちゃんが教えてくれた。
 なんだか、人を呪うために髪の毛を人形に入れるのと同じ理屈だな……。

「ファルファはもっと早くママに会いたかったんだけど、シャルシャがに仇に会っちゃダメだって……。でも、シャルシャの破邪の魔法が完成したから、このままじゃよくないやって思って、ここに来たの」

「ファルファちゃん、なんていい子なんだ!」

「だって、ママはファルファのママだもん」

 ややこしいが、私が原因で産まれたわけだから、ママといういう言い方もできるんだな……。私が異常にスライムばかり倒したせいでこういうことになったのか。

「ちなみに、ファルファちゃんは私のことを恨んだりはしてないの?」

「ファルファはスライムの魂が集まって産まれた精霊だけど、産まれたからにはママと仲良くしたいよ」

 ちょっと、母性本能がうずきそうになった。

 いい子すぎるよ、ファルファちゃん。

 しかし、今はそれどころじゃないのだ。

 少しずつ、シャルシャがこちらに近づいてくる。

「不思議なものね。このシャルシャ、同時に生まれたのにどうしてこんなに姉さんと違う性格になったのかしら。高原の魔女を殺したくてたまらないわ」

 禍々しい空気が広がっていく。

「破邪<高原の魔女>ははっきり言って、極めて特殊な魔法よ。そこにかかるマナの量も膨大。五十年分のマナを注ぎこんでも、数時間しかもたない」

 効率悪すぎる!

「もっと普通に生きる方法あったでしょ! ていうか、それまで復讐せずにじっと待ってたの……?」

「シャルシャが産まれた五十年前から、すでにあなたは最強クラスの魔女だったもの。そのままでは勝てない、そう悟ったの。だから、高原の魔女という邪まなものを打ち破るためだけの魔法を開発して、マナを貯めていたのよ!」

 情熱の傾け方を明らかに間違えている。

「さあ、どんな魔法でも使ってみるがいいわ。あなたの魔法はすべて、無効化してあげるから!」

 私は今度は炎熱の魔法を打ちかけてみた。

「赤き炎、青き炎、黒き炎よ! 我の力の代わりとなれ!」

 炎がシャルシャにぶつかるが――まったくの無傷。

「ほらね。破邪<高原の魔女>の実力、わかったかしら?」

 これは、ヤバい……。

 私の攻撃が完全に無効化されるんだったら、戦いようがない。

 だったら――逃げるしかないか。

 苦しい時は逃げろ。

 前世の私は、社畜生活から逃げられなかったがゆえに過労死したのだ。

 今は逃げる!

 私には空中浮遊という魔法がある。

 さっき、数時間しか魔法が続かないと言っていたから、それまで逃げられれば対処法はある!

 体を浮き上がらせる。

 だが、地上十メートルぐらいまで浮いたところで――

「魔法よ、消えなさい!」

 シャルシャが叫ぶと、私は地上にばたんと落下した。

 足がじんじんした。

「危ないな……。レベル99の魔女じゃなかったら、骨折していたかもしれない……」

「逃がしなんてしないわ。あなたが殺してきたスライムのように殺してあげる!」

 にやりとシャルシャが悪役っぽく笑う。

 これは……年貢の納め時なのか……。

 私を倒すことだけに特化した最終兵器みたいなのに勝つことはできないのではないか。

 それに三百年も生きてきたしな。

「ファルファちゃん、最期にあなたに出会えてうれしかったよ」

 私はその子を抱き締める。

 娘を抱き締めて、その後に死ぬというのもなかなか感動的じゃないだろうか。

「ママ! そんなこと言わないで! なんとかファルファと方法考えよう!」

 ファルファちゃんが叫ぶ。ごめんね。でも、私では無理みたいだ……。

「アズサ様! ここは我にお任せください!」

 ライカも必死だ。

「ありがとう、ライカは私の自慢の弟子だったよ。オムレツもおいしかったよ……」

「大丈夫です! 我々は勝てます!」

「やめて……。あんなのに勝てる手段なんてないよ。ライカも傷ついちゃうよ!」

「そうよ。シャルシャは高原の魔女を殺すことしか考えてないので、ほかの人を狙う気はないから。とっとと逃げなさい」

 昔見たホラー映画を思い出した。
 じわじわと機械仕掛けみたいな暗殺者が近づいてくるのだ。

 しかし、本当にじわじわ近づいてくるな。
 まだ、シャルシャはこっちに到達していない。

「妹は足が遅いの」

 ファルファちゃんが言った。

「それって走れば逃げられるんじゃ……?」

 その言葉をライカが聞いていた。

 ライカはその姿を少女からドラゴンに変えた。

 そして、シャルシャの前に対峙する。

「ここから先は一歩も通さぬぞ!」

「そこを通しなさい、ドラゴン」

 冷たい声でシャルシャが言う。

「断る! 我は師匠を守る義務がある!」

「やめて! ライカ、危ないよ!」

 ライカが顔だけ少しこちらに向けて、笑った。

「大丈夫です。アズサ様、すぐに追いつきますから、ここは逃げてください!」

「それ、壮大な死亡フラグ!」
 あかんやつだから! 絶対追いつけないから!

「実は来月、姉が結婚するんです。その結婚式に出席しないといけませんから」

「なんでフラグ、盛っちゃったの!?」

「アズサ様は私が守ります! 喰らえっ! ドラゴンキックッ!」

 ライカはシャルシャに向かって、キックを繰り出す。

 ダメだ……返り討ちに遭うパターンだ……。

 だが、反撃はなかった。

 シャルシャが倒れていた。

 あれ? 想定外の事態になっているぞ……。

 ライカがそうっと相手の様子を確認した。

「アズサ様、この者は気絶しています。我が勝ちました」

「えっ! この展開で勝てるの!」

 王道パターンがはずれた。

「妹のシャルシャはね、ママを倒す魔法に特化しすぎたから、ほかの相手にはすごく弱いの。つまり、ママにしか勝てないの。それも五十年に一度ぐらいのことなの」

 な、なんて……不器用な子なんだ……。
ぶっちゃけ、感想欄で皆様、けっこう先が読めていたようですが……これからも楽しくスローライフをやっていきますのでよろしくお願いします!

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