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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ブルードラゴンの里帰り編

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155 ブルードラゴンの集落が田舎すぎる

 しばらく歩いていくと、私の家があるところより、はるかに標高が高そうな台地に、家がぽつぽつ並んでいる。
 入口のところには、「ここはブルードラゴンの集落」とそのままのことが書いてあった。

 メインストリートのようなところを進んでいくと、中央に大きめの広場がある。そこで、人が集まったりするのだろう。広場を中心に放射線に何本も伸びている。
 さらに奥の、階段を百段ぐらい登ったところにも建物がある。あれは宗教施設か、砦かのどっちかだろう。日本だと、いかにも、神社かお寺がありそうな場所だけど。

「なんか、レッドドラゴンの集落と比べると人間ぽいというか、人間の集落との違いが全然ないね」
「ですね。フラットルテたちは効率を考えて、人間の姿で生活しているんです。とくにドラゴンの姿を誇示するメリットもないので。その点、レッドドラゴンのようなうぬれ屋たちとは違うのです」
「どうして、そこでこっちを悪く言うんですか」
 ライカが抗議した。それはわかる。

「フラットルテ、そんな露骨にケンカを売ったりしないの。はい、謝りなさい」
「うっ……。ご主人様、今のはノリみたいなもので……」
「ノリでも失礼でしょ。じゃあ、ブルードラゴンは向こう見ずなバカだって言われたら、フラットルテも怒るでしょ?」

「う……。わ、悪かったのだ……」
 あっさりフラットルテが折れて、ライカに謝罪した。うん、こういうのはその場その場で解決するのだ。

「でも、やたらとがらんとしてるね」
 ぱっと見、誰もいない。少なくとも大通りには誰もいない。
「寒いから室内に閉じこもっているんではないでしょうか……」
「それもそうかもね。けど、明かりが全然ついてないんだよね。もう暗くなってきてるのに」

 そう、私たちは昼じゃなくて夜に到着したのだ。それなのに光がない。

「ああ、ちょっと間に合いませんでしたね。もうみんな寝てます」
「えっ、寝てる?」

「はい、ブルードラゴンは暗くなってきたら、夕飯をさっと食べて、すぐ寝ちゃうんです。たとえば――」
 フラットルテは裏通りに回り込むと、適当な家の窓から、中をのぞいた。マナー違反というか犯罪では……。空き巣の下見っぽい。

「ほら、全員寝てますよ」
 薄明かり中で見てみたら、たしかにベッドに入っている。その中の一人が、小さな明かりで、本を読んでいた。

「まだ、そんなに遅くないんですけど……。夜六時過ぎぐらいだと思います……」
 ライカが困惑していた。たしかに夜更かししてすることもないとはいえ、早いのでは……。

 そんな中、私のおなかがぐぅ~と鳴った。
「ねえ、ここ、夜に営業している居酒屋みたいなの、一軒ぐらいないの?」
「ないです」
 即答された。

 ヤバい。何もないようなド田舎に取り残された感覚だ……。
「やることもないですし、もうそろそろ完全に真っ暗になりますから、帰って寝ましょうか」

「寝るって、すでにフラットルテの家族も寝てるんだよね……? あいさつの前にその家で寝るのか……。やりづらぁ……」
「その、我もそこで寝たら、レッドドラゴンが煽ってるようになったりしないですよね……?」
 ライカもそういうことを気にしている。
 家族が寝てる時間に帰ってきて、勝手に寝るって、雑帰省(私の作った言葉。意味は雑な帰省)かよ!

「我はお金がかかっても、宿に泊まるのがいいかなと……。知らないお宅で寝るというのはストレスですので……」
 ライカがそう提案した。私もそれがいいかな。相手の親御さんにどう思われるかとか考えて、寝たくないよね。

「宿もないです」
 さらりと、フラットルテが言った。
「何もないんかい!」
「いや、だって、ここ、街道の途中とかでもないんで。旅人も来ませんし。宿なんていらないですよ」

 想像以上にひどいぞ、ここ……。フラタ村でも、まあまあいろいろあったぞ。
「ここ、どういう産業で成り立ってるの?」

「産業なんてないですね。お金が必要になったら、その都度、人間のところに行って、肉体労働して稼いで戻ってきます。あとは適当に開発されてない山行って、イノシシ狩ったりしてますね」

「あの、あなた方は行き当たりばったりな生活をやめて、もう少し文化的な暮らしをするべきだと思います」
 ライカの発言もディスに近いが、これはほぼ事実だな……。
「文化はあるぞ。ほら、階段の上に祠があるけど、あそこで年に何度か祭りやるからな。祭りの時は燃えるぞ。気分が高揚してるからすぐに乱闘になってケガ人出るけど、それはそれは燃えるぞー! むしろ凍らせるけど!」

 ライカが白い目でフラットルテを見ていた。

 私はブルードラゴンがレッドドラゴンを攻撃した時のことを思い出した。
 あの時も、いきなり襲撃に来たけど、そっか、そういうことなのか。

 このブルードラゴンって、不良高校生みたいな価値観で生きているのだ!

 レッドドラゴンが結婚式やってるらしいぜ⇒ムカつくから襲撃しにいこうぜ
 腹へったぜ⇒イノシシ狩ろうぜ
 金なくなってきたぜ⇒ちょっと働いとくか
 ケンカ強い奴がいて、そいつに負けた⇒すげー! リスペクト! 一生ついていくわ!
 祭りをやるぞ⇒うおー! 燃えるぜー!

 でも、不良だったら、こんなに早寝にはならないのか。そこは違うな。でも、堅実な生き方をやってる感じではない。計画性という概念がここにはない。

 普通はそんな生き方をしたら無茶苦茶になるのだが、ドラゴンゆえのハイスペックさで、維持できてしまっているんだろう。

「アズサ様、身勝手なことを言っているのは承知のうえですが、我はこのあたりで一番近い町まで出て、そこにある宿に泊まろうかと思います」
 ライカの表情が硬いので、これ、マジだ。
「私もそうしようかな……。あいさつの前から人の家で寝るのはちょっとね……。明日、朝にもう一度来よう……」
「えっ!? マジですか!?」

 結局、フラットルテ含めて、ふもとの町まで三十分飛んで、そこで宿泊しました。

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