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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

娘が来た編

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14 娘が殺しにやってきた

週間5位に入りました! ありがとうございます!
 そのファルファという青い髪をした少女は、妹が私を殺そうとしていると言った。

 誤解しようもないほど、はっきりとそう言った。

「ファルファ、ママに死んでほしくないの。だから、妹より先に告げに来たの」

 いつのまにか、ファルファという子の表情も硬くなっている。
 ふざけているようにも見えないし、そういうことができるほど長じているようでもない。

「アズサ様、ひとまずこの子をうちに入れて、じっくりお話を聞きましょう」

 ライカの言うとおりだな。いくらなんでも気味が悪すぎる。

「ファルファちゃん、お菓子出してあげる。おうち、入ろ」

「うん! ファルファ、食べる!」

「その代わり、今のこと、詳しく教えてくれるかな」

「うん! うん!」

 クッキーは私が二日前に作ったものがあったので、それをライカに用意してもらうことにした。
 その間に私はテーブルでその子との会話を続ける。

「ファルファちゃんの妹はなんて言うの?」
「シャルシャだよ」
「そのシャルシャちゃんも私の子供なのかな?」
「うん、そうだよ」

 これじゃ、ほとんど事情聴取だな。でも、命がかかってるからなあ。

 今の時点でわかったこと。
 私にはシャルシャという娘もいて、その子に狙われている。

「シャルシャちゃんが私を狙ってる理由はわかる?」
「ママを恨んでるんだと思う。きっと、殺された恨み」

 おかしいぞ。
 ファンタジーなスローライフが一変してSFっぽい展開になっている。

 生んだ覚えのない娘がいて、しかもその娘は殺された復讐を私にしようとしている。
 異常事態であることはわかるが、まだそれ以上のことはわからない。

 そこにクッキーをお皿に載せて、ライカがやってきた。

 ファルファちゃんは、「わーい、クッキー」とそれを早速食べだした。

「お二人の声は我のところまで聞こえてました。とりあえず、シャルシャという人物から身を守るべきですね」
「たしかに優先順位はそうだね」
 敵の正体を探るのはそれからだ。

「ファルファちゃん、シャルシャって子がどんな攻撃をしてくるかわかる?」
「シャルシャは破邪の魔法を、ずっと、ず~っと鍛えてたよ」

 破邪というのは特定の種族(たとえばモンスターや人間、あるいはもっと限定してオークやエルフとか)からの攻撃を遮断するタイプの魔法だ。

 そういう魔法を習得する者はたいていサイクロプス・キラーとかスペクター・スレイヤーとか呼ばれる特定種族専門の暗殺者みたいな立ち位置になることが多い。

 なお、破邪は絞り込みが狭いほど効果が強く、逆に薄いほど弱くなる。たとえば「破邪<生物>」みたいなものはほとんど効き目が出ない。

「破邪の魔法ですか。高位の術者でも何十年かけないと物にならないと言いますね」

 ライカの言葉は私もわかる。
 特定種族専門の暗殺者になるのも、そのせいだ。習得に時間がかかりすぎるから、つぶしがきかないのだ。

 だから、もし見た目の通りの年齢しか生きてないなら、破邪の魔法の威力も知れていると思うのだが――私も三百年生きているので、そこはあまり楽天的じゃない。

「シャルシャちゃんは何年生きてるの?」
「五十年ぐらい?」

 あまり自信がないのか、首をかしげて、ファルファちゃんが言った。
 でも、それでだいたい察しがついた。

 敵は不老不死かそれに類する者だ。
 だとすると、それなりに強力な術者である危険もある。
 でも、私に対する破邪って何になるんだ? 破邪<人間>? それとも破邪<不死者>?

「きっと、もうすぐシャルシャが来るよ。ママ、気をつけて」

 クッキーを食べながらファルファちゃんが言った直後。

 がたがたがたっ――と窓ガラスが揺れた。

 何か禍々しいものが外にいる!

「外、見てみるね」

 私は不安になりつつも外に出た。
 それにライカとファルファちゃんも続いた。

 高原の奥にファルファちゃんとよく似た容姿の少女が立っていた。

 ただ、髪の毛はライトグリーンで、髪の毛は少しばかり浮き上がっていた。

「やっと、見つけたわ。高原の魔女」

 その子がよく聞こえる声で言った。

「シャルシャ! ママをいじめちゃダメだよ!」

 そうファルファちゃんが言ったので、その子がシャルシャで間違いない。

「姉さんは黙ってて。シャルシャは殺された恨みを晴らすの」

 やはり殺されたと言っているな。

「シャルシャちゃんだっけ? 私があなたを殺したことなんてありえないと思うんだけど、どういうことなの?」

 ふっ、とシャルシャは鼻で笑った。

「あなた、どれだけ多くのスライムを殺したと思ってるの?」

 えっ? なんでスライムの話になるんだ?

「わたしたち姉妹は殺されたスライムの魂が集まって生まれた、いわばスライムの精霊なのよ!」

「スライムの精霊!!!!!!!」

「そうよ。あなたがこの土地でとてつもない数のスライムを殺したから、その微細な魂が蓄積されすぎて、ついにスライムの精霊だなんて前例のない精霊を作ってしまったのよ! それがわたしたち姉妹なのよ!」

 訴えるようにシャルシャが言った。

「だから、このシャルシャにも、あなたに命を奪われた数限りない怒りが宿ってるの!」

 そうか……。スライムから復讐されることなんてありえないと思っていたけど、そんなことなかったんだ……。

 恨みを買っている……。

「さあ、勝負よ! あなたを殺してスライムを供養してやるわ!」

「供養って、そのスライムの魂が集まってあなたになってるんじゃないの……?」

 ある意味、リサイクル? されている気もするのだが……。

「うるさい、うるさい! さあ、かかってきなさい。あなたに負けることは絶対にないわ!」

 向こうは完全にやる気だ。まあ、ここまで来てやっぱりやめますということはないか。

「アズサ様、ここは竜巻でもぶつけて様子を見てはいかがでしょうか?」
 ライカがそう提案した。

「相手は精霊です。竜巻程度で殺してしまうという危険もないでしょうし」
「そうだね。やってみようかな……」

 私は手を前に突き出す。

 そしてシャルシャに向けて竜巻を放つ。

 しかし――

「その竜巻、消えなさい!」

 シャルシャが命じると、竜巻が本当に消失してしまった。

「シャルシャはね、長年の修行で破邪<高原の魔女>という魔法を獲得したの。だから、あなたには絶対に負けないのよ!」

 な、な、な、なんだってー!

「そして、さらに何十年もマナを溜めてきたんです! この日のために! あなたを殺すためだけに!」

 な、な、な、なんだってー!
次回、娘と戦います。

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