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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

おかしな吟遊詩人編

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142 吟遊詩人がデス系

=====
高名な吟遊詩人スキファノイア、フラタ村に初上陸!
うなるリュート! むせび泣くリュート! そして魂のヴォーカル!
圧巻のライブパフォーマンスとその独創的な歌詞世界に酔いしれよ!

※よかったら、チップをください。よろしくお願いします。
=====

「なんだ、これ……?」
 私の思っている吟遊詩人と違う……。
 全体的に書いてることがロック調というか……。

 その張り紙に描いてあるイラストもなんかおかしい。巨大なライカンスロープらしき存在がウサギにかじりついている、ショッキングな絵だ。

「ねえ、ロザリー、このスキファノイアって吟遊詩人は知ってる?」
「いえ、無名だと思います。まったく聞いたことありません」

 ものすごくうさんくさい匂いがしている。これ、また変な人がやってるから、関わらないほうがいいんじゃないかな。
 私の体がやめておけと言っている。トラブルに巻き込まれる体質だから、こういうのは直感的にわかるのだ。

「我の知っている吟遊詩人とも違いますね。昔、人間の町に行ったりした時など、だいたい公会堂などに入って演奏を聞いていたので、広場とかで演奏する流しの吟遊詩人はほぼ聞いたことがありません」
 それは実質、プロのミュージシャンだけ聞いているという感じだな。
「ライカの言葉からすると、やっぱり、遍歴の吟遊詩人の中には微妙なのがいるってことだよね。これは紛れもなくハズレの予感が――」

「わーい! どんな歌なのかな? ファルファ、気になるよ!」
「シャルシャ、一度、この目で見てみたかった」
 うわっ! 娘が無茶苦茶乗り気になってる!

「ねえ、二人とも、ほかにももっと面白いものもあるかもしれないし……? あっ、今日は町にでも出かけようか?」
「ファルファ、吟遊詩人さん見たい」
「自信満々に書いてあるし、試しに聞いてみるのも一興」

 くそっ! もう、強引に違うところに行っちゃうか? でも、それは娘をないがしろにしてることだしな……。

 私がどうでもいいレベルで葛藤をしている中、フラットルテはずっと無反応だった。それぐらい、興味ないのかと思ったが、ちょっと様子が違った。

「スキファノイアか。あいつも息が長いのだな。ベテランと言えばベテランかもしれない」
「え、普通に知ってるの!?」
「フラットルテは吟遊詩人マニアですので。千組以上は知っていると思います」

 こんなところにガチ勢がいた。

「そこそこ吟遊詩人に詳しいってオーラを出してたアタシがすごく恥ずかしい感じになってきました……」
 無名と断言してしまったロザリーがいたたまれない様子だった。穴があったら入りたいという顔をしている。幽霊だから、穴じゃなくても、壁でも石垣でも入って隠れられるけど。

「町や村を細かく行脚するタイプもいれば、大きな都市の中で場所を変えてやり続けて、人口の少ない町や村には顔を出さないタイプもいるのだ」
 フラットルテの説明を噛み砕くと、全国ツアーをやるロックバンドと、東京の中でしかライブをやらないロックバンドがいるということらしい。

「スキファノイアは王都の中でだらだらやってるタイプだったのだが、ついに全国ツアーをはじめたのだな。ロザリーが知らないのもしょうがない」
 ここは評論家フラットルテ先生の意見を正しいものとして扱おう。

 家族が知ってるようなアーティストなら聞いても無駄はないか。
「よーし、そのスキファノイアって吟遊詩人を探すよ」
「はーい!」「心得た」

 ファルファとシャルシャは早速、村の中へと駆けていった。

 広場にリュートらしきものを持っている人を見かけた。でも、リュートというか、ほぼギターって感じだ。やけにカクカクしてるし、エレキギターっぽい。

 長いウサギの耳がぴょこんと生えている。あれはアルミラージという獣人の種族だったかな。ウサ耳が遠くからでも目立つ。それとボール状の尻尾が生えている。とはいえ、あくまで見た目は人間の女の子に近いけど、アルミラージもかなりの長命だったはず。

 しかし、衣装が全体的に攻撃的だ。スカートはかなり短いし、腕や首にトゲがついたものをつけている。

 娯楽が少ない村だからか、三十人ほどの人が集まっていた。ちょうど今からはじまるらしい。

 そして、アルミラージがリュートを鳴らして、歌いだした。

「うおああああああ、破滅、破滅、破滅! うおあああああああ、処刑、処刑、処刑! 太陽とうああああああ、月ががあああああああ、踊りだあすううううううう! 地獄で黄泉で冥府だーーーーーー!」

 最初の十五秒ぐらいを聞いて確信しました。


 来るんじゃなかった!


 ギターソロ(もう、リュートというよりギターに見えるので今はギターと呼ぶ)の時、ヘッドバンキングをしている時に耳が前後に動くのはちょっと面白いけど、こういう音楽性は私、ちょっとよくわからないな……。

 基本的になんか激しく叫ぶスタイルなのだろう。リュートはしっかり演奏してるみたいだけど、声がうるさい。むしろヴォーカルを入れずにリュートだけ弾くべきでは……。

「婆さん、耳が痛くなるのう」「帰ろうか、爺さん」「パパ、バター飴買って~」「あっちでチェスでもしようぜ」
 あっ、周囲にいたお客さんがぞろぞろ消えていく。

「うえ~ん! 怖いよう!」「あっちへ行こう、姉さん」
 ファルファは泣き出してしまい、シャルシャが連れ出していってしまった……。やはり、母親として止めるべきだったか……。

 ライカとハルカラ、ロザリーもぽかんとしている。どういう解釈をしていいかわからないというのが本音だろう。

 一曲目が終わった時には、私たち家族(二人、抜けてしまったが)ぐらいしか客はいなかった。残っていた客もちょうど曲が途切れた隙に帰ろうとしている。

 けど、その中でフラットルテだけが腕組みして真顔で聞いていた。

「まっ、いかにもスキファノイアらしい曲だな。最初の五秒を聞いた瞬間、スキファノイアだとわかる」
 なんか語ってるぞ……。
「あなた、今の曲、わかるの?」
「ご主人様、スキファノイアは、遍歴型吟遊詩人の中でもエモーショナル系のクライム系のさらにデス系に分類されますね。今の曲はデス系の典型的なものです。とはいえ、スキファノイアはデス系の中でも孤独系寄りですが。孤独系寄りの巻き込み系ですね」

 サブジャンル多すぎるだろ!
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