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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

おかしな吟遊詩人編

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141 吟遊詩人がいるらしい

今回から新展開です! よろしくお願いします!
 最近、ダイニングに紙を貼り付けるボードを置いている。
 料理や掃除当番の表だとか事務的なものをそこに貼っているが、ほかにも貼ってあるものがある。

1日 25  まだまだだな
2日 23  動きに無駄が多い
3日 26  足がどたどたしている

 以下、延々と続くのでここらで止めるが、これはライカがスライムを倒した数だ。だいたい二十以上がめやすになっている。
 こういうのを見ると、やる気が出るらしい。記録するのは悪いことじゃない。

 なお、一日に百匹倒すようなことも問題なくできると思う。見つけるのが面倒だけど。ただ、そういうことはしないようにライカには言っている。

 なぜかと言うと、無理をしないと達成できないようなことだと、いずれきつくなって、かえって全然できなくなってしまうからだ。
 それでは本末転倒なので、完全に習慣化できる範囲でこういうのはやってもらうことにしている。

 ちなみに数字の横の謎の感想は、フラットルテの煽りだ。一緒にスライムを倒しているらしい。本気でケンカ売ってるわけでもないみたいなので、勝手にやらせている。

 その日も夕方頃に二人が戻ってきた。今日はライカが夕食の食事当番だからね。

「アズサ様、ただいま、戻りました」「ご主人様、帰宅しました!」

 テーブルで貴重な植物についての本を読んでいると私に、二人があいさつする。

「はい、お疲れ様。ちゃんと手を洗って、うがいもしてね。二人とも風邪はひかないと思うけど」

 二人は井戸水を引いてる洗面所に行って、戻ってきた。この世界の中では、この建物、文明レベルが高い。
 ライカは台所に入っても、ちょっと素振りというか、パンチの練習をしていた。見た目はかわいいけどドラゴンなので、一般人が殴られると死にます。そのあたりは格闘技の選手にガチで殴られると多分とんでもないことになるのと同じだ。

「これまでより動きがシャープになってきたかな。人間の姿で練習して意味があるかわからないけど……」
「本当ですか! うれしいです! ちなみに姿がどうであれ、感覚はドラゴンの姿と同じですから、意味はあります」
 なら、最強を目指してこのまま続けてもらおう。

「継続は力なりです。必ず、最強のドラゴンを目指します!」
 最強のドラゴンになった先に何があるのか、とくに強さにこだわりがない私は実はあんまりわかってないけど、アスリートが今より高みを目指そうとするようなものだろう。

 こういうの、自分との戦いだってよく言うしね。今の自分よりも強くなろうとし続けることはどんな分野であれ、いいことなんだろう。それを過労にならない範囲でやれるならとてもいいと思う。

 ただ、強さ以外の面でちょっとした不都合が生じた。
「あれ、ニンジンもタマネギもないですね」
 ライカが台所で困った顔をしている。それは困る。香り付けのハーブがないのとは意味が違うからな。

「そういや、ファルファとシャルシャが買い物に行って、まだ戻ってきてないね。あの子たち、寄り道でもしてるのか……」
 二人とも真面目だから、買い物ぐらいちゃんとこなすと思うけど。まさかかわいすぎて、誘拐された……!? かわいすぎるからな……。そんなことも、もしかしたら……。

 なんてことを考えてると、すぐに二人が帰ってきた。

「ごめんなさーい、遅くなっちゃった」
「気にかかるものがあって探していた」

 二人が一つずつ持っている木で編んだバッグがふくらんでいる。じゃあ、ちゃんと野菜を買ってはきたな。
「遅いよ。早く、ライカに野菜を渡してね。ライカ、困っちゃうでしょ」

「ライカお姉さん、ごめん」「申し訳ない」
 二人が謝りながらライカに買ってきたものを渡していた。ぎりぎりセーフってところかな。

 でも、シャルシャの言葉に気にかかるものがあった。そう、遅くなった以上は理由がある。

「ねえ、シャルシャ、気にかかるものがあったって何?」
 フラタ村はよくも悪くも変化が少ない。牧歌的という表現がよく似合う空間だ。

「高名な吟遊詩人が来たと村の掲示板に貼られていた」
「吟遊詩人? そんな人が来たんだ」

 吟遊詩人といっても大きく二つに分かれる。中にはいろんな宮廷に招かれる吟遊詩人(で、そのまま宮廷楽師になる人)もいれば、流れ者の旅芸人みたいな人もいる。
 フラタ村に来るということは、流れ者タイプには違いないだろうけど、流れ者タイプにも著名な人はいるようだし気にはなるな。

「ファルファね、シャルシャと一緒に村を探したの。でも、全然見つからなかったよ」
「徒労だった」
 それで帰宅が遅くなったのか。納得した。

 私はカレンダーを見た。ちょうど明日は休日だ。ハルカラも仕事が空く。
 ということは最初から休日に演奏をする予定なんじゃないだろうか。

「それはママも気になるな。よーし、明日、その吟遊詩人を探してみよっか」

 シャルシャがこくこくうなずき、ファルファは「わーい」とジャンプしている。すごく対照的な反応が返ってきたな。

 しかし天井あたりにいたロザリーがけげんな顔をしていた。

「名の知れた吟遊詩人なら、アタシ、それなりに詳しいんですけどね。元いた建物の近くが町の会場代わりの広場だったんで、よく見てたんです」
「なるほど、かなり長い間、流しの吟遊詩人は見てきたんだ」
「近頃、有名なので、こんなところに来る奴はいたかな~? たてがみのサントールかな。フェニックスのライコネンかな……? でも、フラタ村にまでは来ないんじゃ……」

 こっちの音楽業界はよくわからないけど、誰かいるんだろう、多分。



 翌日、私たちは午前中から家族でフラタ村に出かけた。
 村の前の掲示板には、たしかに派手な張り紙がしてあった。

=====
高名な吟遊詩人スキファノイア、フラタ村に初上陸!
うなるリュート! むせび泣くリュート! そして魂のヴォーカル!
圧巻のライブパフォーマンスとその独創的な歌詞世界に酔いしれよ!

※よかったら、チップをください。よろしくお願いします。
=====

「なんだ、これ……?」
特典情報がノベルの公式ブログで紹介されました! 活動報告にも書きましたので、よろしくお願いします!
また前回ご報告させていただきましたが、コミカライズ決定いたしました! よろしくお願いします! コミカライズ発表の活動報告記事にはSSも載せておりますので、そちらもまだの方はぜひご覧ください!

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