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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

アズサの体に異変が!?編

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140 妹を叱る

「えっ? 輸送用に雇っているワイヴァーンですぐに来れますよ」
 おい、すぐ来れるってどういうことだ……?

「世界樹の薬屋さんは木の外にお店の入口が出てますから、ワイヴァーンで乗り付けられるんですよ。ドラゴンのサイズだとちょっと無理なんですけどね」

 つまり、そもそも治し方の旅をする必要すらなくて、仮に世界樹の薬屋さんに行くことになったとしてもワイヴァーンで行けば、すぐだったということか……。

 私はがっくりとその場に膝を突いた。
 いったい、私は何をやっていたんだ……。

「高原の魔女様、どうされました?」
「いやあ、ちょっと心の整理に時間が必要かな~ってね……」

 ファートラとヴァ-ニアもなんとも言えない顔をしていた。この様子だと二人は最上階ならワイヴァーンで来れるということも知らなかったようだ。たしかに一種の搬入作業ルートみたいだし、一般人は知らないのだろう。

 たまにお寺や神社でものすごく長い石段をのぼって到着したと思ったら、裏側から車で上がれるルートがあったりするけど、ああいうのに近い。

「どうしましょうか? 『マンドラゴラ錠』なら多分、お城でもあると思いますが……」
 ファートラが申し訳なさそうに聞いてきた。
「せっかくだし、買うよ……。ほら、旅の記念ってことで」

 私は『マンドラゴラ錠』を買って、帰りはエノのワイヴァーンに乗せてもらって、地上まで降りました。

 そのあと、リヴァイアサン化したファートラに乗って、ぼうっとしながらお城を目指した。
「あの、薬は今、飲まないんですか?」
 ヴァーニアに尋ねられた。
「どうせだから、みんなの前で飲んで元に戻るよ」
「なるほど、それはいいですね!」

 転んでもタダでは起きない私なのだ。



 なお、お城に戻ったらペコラが、「ごめんなさい、お姉様。ワイヴァーンなら乗り付けられることをすっかり忘れていました。うっかりしてたんです」と言ってきた。
「あなた、絶対に知ってたでしょ、今回の件……」
 顔を見たらだいたいわかる。

「いいじゃないですか。世界樹を歩いて登るのもそれはそれで楽しい経験なんですから」
 それとこれとは話が違うけど、こうなったらもっと大々的にやってやる。

「せっかくだから、ベルゼブブや娘たちも呼んできてよ。みんなの前で元の高原の魔女に戻ってあげるから」
「……あっ、それは面白そうですわね!」
 なんか、変な間があったが、別に変な問題はないはずだ。

 こうして、ペコラの私室には、ベルゼブブとファルファ、シャルシャ、それから旅に同行してくれたファートラ・ヴァーニア姉妹、それとペコラが集まった。

「なんというか、骨折りになってしもうたの……」
 ベルゼブブは申し訳なさそうな顔をしているが、別にベルゼブブに責任はない。小さくなった私(と、チェックが甘かったハルカラ)が悪いのだ。
「問題ないよ。終わりよければすべてよしなの。今から大人に戻るからね!」

 ファルファとシャルシャも興味津々という顔で見ている。
 ペコラがまだ面白そうな顔をしているのが、多少気になるが……。

「それじゃ、『マンドラゴラ錠』を飲みます!」
 私はコップに入った水で錠剤を十粒飲む。

 さあ、あとは大きくなるだけだ。
 すると、たいして時間も経ってないのに体がむずむずしだした。

 そっか、これが体が大きくなっていく感覚か。さあ、いけ、いけ!

 ギャラリーも「おお~!」という声を出している。
 ただ、シャルシャがどうも怪訝な顔をしている。

「シャルシャは危惧する。体が巨大化した場合、その子供用の服に収まらないかも……」

「あっ」

 直後に強烈な圧迫感があった。なんだろう、全身を肉体強化のギブスで締め付けられているような……。
 そして、びりっという音が聞こえてきた。

 どんどん、服が破れていく! まずい!
 服がはじけ飛ぶというほどじゃないけど、あんまり人様に見せられない程度には破れたな……。


「きゃー! お姉様、破廉恥です! これは妹として見ていられません! きゃー! きゃー!」
 ――と言いながら、ペコラが嬉々として見ている。

「ペコラ、このこともわかってて言わなかったよね!」
「何のことか、わたくし、よくわかりません。さっぱりわかりません」

 私としたことが詰めを誤った……。小さくなったことで、地味にパニックになっていたんだろう……。とはいえ、知り合いの女子しかいない空間なのでたいした被害はないけど。

 私はボロボロの服でうずくまりながら、ベルゼブブに頼んだ。
「服を用意して」
「わかったのじゃ……」
 とはいえ、ただでは終わらないのが私だ。

「それとね、着たら大浴場行くから。全員で」
 最後のところが大事だからもう一度行っておこう。

「全員でお風呂入れば恥ずかしくないし、復活記念な感じにもなるし、あと、きっちりペコラの裸も見てやれるからね! やったらやり返す!」
 すると、なぜかペコラの表情から余裕が抜けてきた。

「あの……お姉様、それはわたくし、慣れてなくて……」
 なんだ、この反応はと思ったけど、考えてみればおかしくないのか。魔王だから誰かと一緒に入浴なんて経験もそんなにないか。

「その……キスまでならあこがれていたんですが、それ以上のことは……本にも書いてなくて……」
 なるほど……。そこが想像の限界なんだね。実はこの子、純真なのか……。

 私は悪意のある笑みを浮かべて言った。やられた分に関しては仕返ししてもいいよね。
「ペコラ、お姉様の命令だからね。言うこときかなかったら、許さないよ」

 顔を赤く染めて、ペコラはうなずいた。


 お城の大浴場は本当に大浴場だった。
 一言で言うと、これまで見たスーパー銭湯のどれよりも広かった。

 お風呂の数だけでも五つある。私たちはワインの香りをつけたお風呂でくつろぐことにした。

「いや~、魔王城で言うことじゃないけど、天国だね~」
 世界樹を登ってる時にも経験したけど、やっぱり大人数のほうが入りがいがある。

「わかるのじゃ。仕事で疲れておったから、余計にしみわたるのじゃ」
 ベルゼブブはもともと温泉好きなぐらいだから、すごく気持ちよさそうだ。

 ファルファ・シャルシャとファートラ・ヴァーニアの姉妹コンビも二人ずついい顔でつかっている。

 なのに、一人だけやけに恥ずかしそうな魔王がいる。
 ほかのお風呂につかって、全然こっちにやってこない。
 ペコラ、こういうの全然ダメなんだな。

 このまま無視しているのも、「お姉様」としてひどいとも思ったので、私はその横に移動する。この距離なら瞬間移動の魔法でぱっと行けるんだよね。

「はい、こんにちは」
「きゃっ! お姉様、破廉恥ですわ!」
 ペコラにだけは言われたくないかな。

「今回はあなた、少し冗談がすぎたね。それでリヴァイアサンの二人がいい経験できたわけだし、いい面もあったけどね」
 ペコラの目が泳いでいる。完全にキャラが変わっているな。

「あなた、みんなとお風呂入るのはきついんだね。そんなに恥ずかしいの?」
「その、胸が、みんな……おっきくて……」
 その視線が私の胸にいっていた。そこか……。ずっと一人でいたら、他人の胸を見る機会ってないと言えばないな……。この調子だとハルカラの胸を見たら倒れちゃうんじゃないだろうか……。

 私はペコラの正面に移動する。

「いい。ペコラ? どんな理由だろうと私はあなたの『お姉様』になってる。だから、『妹』が悪いことをしたら叱ります。いいね?」
 こくりとうなずくペコラ。

 少しだけ頭ぐりぐりでもしてやろうかと思ったけど、角が生えているのでできない。代わりに頭をこつんと叩いた。もちろん威力は本当に調節して。

「あの、ごめんなさい……」
「はい、よくできました。これで恨みっこなしね」

「お姉様、それでお願いがあるんですけれど」
「うん、なんでも言ってごらん」

「その胸……触ってもよろしいでしょうか……?」
 えっ……? どういうこと……?

「わたくしも、慣れていこうと思いまして……。お姉様の胸を触っていれば、免疫もできるかなと……」
「そんなのはダメだから!」

 私はあわてて元の浴槽に瞬間移動で戻った。

「どうしてダメなんですか、お姉様!」
 ペコラがこっちに走ってやってくる。

「だって、何か変なことにあなたが目覚めたら取り返しつかないでしょ! ただでさえ権力持ってるんだし! それで何十という魔族の女の子が泣かされるようなことになったらどうするの!」
 この子は純情なままのほうがいい。そのほうが世界の平和のためだ。

 叱り方を間違えただろうか。お姉様をやるのも大変だなと思いながら、私はペコラから逃げていった。

アズサ小さくなった編は今回でおしまいです! 次回から新展開です!
さて、活動報告にアップしましたが、コミカライズが決定しました!!!! 無茶苦茶うれしいですっ!
これもGAノベル版を買ってくださった皆様のおかげです! まさか2巻発売前にこんなことが決まるとは夢にも思ってなかったので……とにかくありがたいです!
皆様のご愛顧に感謝して、発表の活動報告内にて、特別SSをアップしました。シャルシャの話です。よろしくお願いします!

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