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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

娘が来た編

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13 ママと呼ばれた

今回は新キャラ登場です。
 ライカとのファースト・コンタクト以来、数日は私の安寧も脅かされていたが、その波もまた穏やかになってきた。

 つまり、二人の暮らしに慣れたのだ。

 家にまだまだ余裕があるのでプライベートの時間も空間も確保できるし、料理や掃除、買い物などは当番制なので、結果的に楽ができる。
 師弟関係だから対等な関係ではないものの、ルームシェアとしては理想的だと言えた。

 かつて、私が日本に住んでいた頃、ルームシェアはそこそこ流行していた。
 友達や、友達の友達あたりまで範囲を広げれば何人かルームシェアをしている人間がいたり、そういう話題を出せる奴がいた。

 ただ、結論から言うとルームシェアは難しいということをよく言われた。

 まず、価値観が違いすぎる人間との共同生活は疲れる。
 私の友達もルームシェアをしていた子とケンカして結局、一人暮らしになったという。

 あと、距離感も難しい。
 手当たり次第にメールやLINEをしてくるルームメイト相手を無視したら、無茶苦茶キレられてその人が出ていったという話をほかの人から聞いたこともある。

 さらに、常識や公共道徳が欠落してる人との生活も苦しい。
 掃除が当番制なのにしょっちゅうサボるような奴との生活はきつい。
 そいつの掃除の代わりをする労力そのものはきつくなくても、なんで自分がしてるんだという心理的ダメージがきつい。

 その他、多数のトラブル報告を受けているので、私は長らく、少なくとも三百年以上、一人暮らしが最強だと思っていた。

 でも、気が利く相手とのルームシェアならなんとかなる。
 そのことを私はライカとの生活で感じている。

 ライカのほうも毎日のように「アズサ様からはたくさんのことを学べます」と言ってくれているので、きっと有意義なのだろう。

 私がライカに何を提供できているか、かなり怪しいのだけど、優れた弟子というのは勝手に師匠のよいところを見つける力が備わっているものなのだ。

 それと、ちょっと助かったことがあった。

 私が直接確認したわけではないが、「高原の魔女がドラゴンを倒した」という情報は最低でもナンテール州一帯に広まっているらしい。
 ついでにそのドラゴンが弟子になったという話も広まっているという。

 余計に道場破りみたいなのが増えるのではと恐れたが、それが逆らしい。

 つまり、明らかにドラゴンより劣っていると思っている冒険者は最初から挑戦を諦めてくれているようなのだ。

 おかげで私は平穏な生活を楽しめているというわけだ。ライカが掃除をする日などはその時間を使って、魔導書を読んでだらけることもできる。

 私は前世のとある記憶を思い出したほどだ。

 ずばり、お母さんが掃除とかしてる最中に自室で寝転がって漫画や雑誌を読んでいる記憶だ。

 そう、これこそ社畜ですらも労働から解放される安逸の時間――「帰省」。

 その至福の時間に近いことがルームシェアによって、日によっては実現するのだ!

 私は一人暮らしを続けていたので、この快楽をずっと忘れていたのだった。
 いやあ、最高すぎる。ルームシェア万歳。

 もちろん、私だって当番の日は掃除をする。そこは師匠としてデカい顔はしない。むしろ、デカい顔をできるほど偉くないという自覚がある。
 ライカにも帰省した時にお母さんが全部やってくれる的な感覚は経験させてやりたい。

 ――とにかく、レベル99ということがバレた割には私はのんびりと過ごせていたのだ。

 このまま平和が末永く続けばいいのに。

 あっ、今のフラグだな……。

 こういうことを思ってはいけないのだ……。
 どんどん、どんどん。

 ドアが叩かれた。
 いったい、誰だ?

 この家によく来る人間というのはあまりない。

「我が出ましょうか?」
「ううん、ライカは掃除してて。私が出るから」
 魔導書を閉じて、玄関のほうに向かった。

 ドアを開けると、そこに立っていたのは青い髪をした女の子だった。
 年齢はだいたい十歳ぐらいだろうか。
 青い髪の人って、異世界でもあまり見た記憶がないけどな。

 表情は明るくて、むしろきらきらした目で私のほうを見つめていた。
 少なくとも、迷子とかそういった雰囲気かない。

「こんにちは、何か用かな?」
 俺と対戦しろとか言いそうな冒険者ではなかったので私は表情をゆるめた。
 このあたりの高原は平和だし、子供が遊んでるということもあるのだろう。

「やっと、会えた! ファルファ、うれしいよ!」
 なんだ? 私はお子様にも人気になっているのか?

「ママに会えてうれしいっ!」



 私は石になった。



 ちなみに誰かに石化の魔法をかけられたという意味ではなく、比喩的なものだ。

 ママ? この子、ママと言った?

「あのね……私はママじゃないよ? あなたのママはきっと別の人だよ?」

「えー? そんなことないよ。ママはファルファのママだもん。ファルファ、はっきり知ってるもん」

 初対面の女の子からママと呼ばれる事案が発生中。
 しかし、これ、村の中じゃなくてよかったな。絶対に変な噂が立つぞ。しかも、村のことだからすぐに広まるぞ。

 ちなみに私はこの世界で三百年間、恋らしい恋もしていない。
 理由はちゃんとある。
 魔女で不老不死の私が誰かと恋をしても、先に相手が老いて死んでいくことになる。

 村の人が死んでいくのを見るのもつらいのに、恋人ともなると、それはきつすぎる。
 なので、私はあまり恋愛などをしないように意識していたのだ。

 あと、私と接点があるのは村の人ぐらいしかいない。
 村の人から見れば、生まれた時からずっといる村の守り神みたいな魔女は、畏怖や敬意の対象であっても恋愛対象にはならないだろう。
 というわけで、私はそういう色恋とは無縁で生きていたのだ。

 当然、子供もいない。

「お名前、ファルファちゃんて言うの?」
「うん、ファルファだよ」
「ファルファちゃん、ママっていうのはファルファちゃんを産んだり、育ててくれた人のことを言うんだよ。ほかの女の人はママとは呼ばないんだよ」

 きっと、ママという言葉の定義が世間一般からちょっとずれているだけなのだろう。

「そんなことないよ。ファルファはママから産まれたもん」

 …………。

 はて、これは面妖な…………。

 記憶をさかのぼってみても、いくらなんでも出産を忘れたということはないはずだ。何百年経ってもないだろう。

「アズサ様、いったい、どなたがいらっしゃったんですか?」

 けっこう応対が長いと思ったのか、そこに掃除を中断したらしいライカがやってきた。

「ファルファです。ママに会いに来ました」

「アズサ様、お子さんがいらっしゃったんですか!」

「いや、いないから。この子の勘違いだから」

「ファルファ、勘違いしてないよ」

「アズサ様、もしかして継母なんですか?」

 情報が錯綜しすぎて、混乱してきた……。

 冒険者の「道場破り」は覚悟していたが、この試練は新しすぎるだろう。

「ちゃんと高原の魔女って呼ばれてることも知ってるよ。妹が調べてたもん」

「妹までいるのか!」

 私は最低でも二人の娘の母ということになっているらしい。どうなってるんだ……。

「それでね、妹がママを殺そうとしてるから、知らせなきゃって思って、ここに来たの」

「命狙われてるのかよ!」

 急にサスペンスになってきたぞ……。
お前がママになってるんだよ!(違) 次回、妹のほうが命を狙いにやってきます

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