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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

アズサの体に異変が!?編

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137 エレベーター高すぎ問題

 こうして私、ヴァーニア、ファートラの三人は世界樹を目指した。
 ヴァーニアの飛行自体には問題はなく、無事に世界樹の前に到着したのだが――

「実物を見ると衝撃的だな……」
 私のファーストインプレッションはそれだった。天にものぼらんばかりの木が伸びている。といっても、幹周りが太すぎて巨大な壁がそびえているように感じる。
 上に枝や葉っぱらしきものがあるのが見えるから、かろうじて木とわかるって感じだ。

「世界樹か~、修学旅行ぶりですね」
 真顔でファートラがそんなことを言った。多分本人にとったら普通のことなんだろうけど、魔族が修学旅行という発言をするのが違和感ある。

「わたしも姉さんと同じ修学旅行先だったんで、世界樹も行きましたね~」
「二人とも修学旅行で行ったんだね。じゃあ、とくに問題なく行けそうだね」

 私は少し小走りで入口のほうに向かった。歩幅が狭くなってるので、小走りにならないと置いていかれるのだ。

 そして、いよいよ世界樹の内部に私は入った。複雑怪奇なダンジョンだろうと元に戻るためだ。必ず乗り越えてみせる!

 で、入った途端、こんな看板を見つけた。


<十階までのエレベーター すぐそこ! 1300コイーヌ>


「…………ねえ、これ何なの?」
 ちなみにコイーヌというのは魔族の世界での通貨単位だ。子犬とは関係ない。

「世界樹は上へ上へと目指す人が多いので、こういうエレベーターも商売になっているんです。上に行けば行くほどお金がかかりますけれどね」
 なんでもないことのように、またファートラが言う。

「いや、私、ダンジョン的な部分もあるとか聞いてたんだけど……」
 あっちに「世界樹オリジナルグッズ」って看板も見えるし、これ、スカイツリーとか東京タワーとかそういうのに似すぎてるぞ……。

「もちろん、ダンジョン的な部分もありますよ。十一階と十二階は野生の世界樹十一階オオカミや世界樹十二階オオカミなどが生息していますので、気をつけないといけません」
「獣の名前が雑!」
「世界樹十一階オオカミは、世界樹の十一階だけで暮らしている固有種なんです。世界樹十二階オオカミも以下略です」
 どんだけマニアックな生態系なんだ。あれ、いつのまにかヴァーニアがいない……。

「あっ、すいませーん! あっちの売店で買ってましたー」
 ヴァーニアは砂糖をまぶした揚げパンを持っている。

「あそこで世界樹揚げパン売ってたので買ってきちゃいました。ここの揚げパン、絶品だって有名なんですよ!」
「モロに観光地じゃん……。でも、ちょっとちょうだい」
 食べてみたら、揚げ方が絶妙でしかもざらついた砂糖のざくざくという食感がたまらない。これは美味い!

「私も一つ買ってくる」
「小さいんだから、あまり脂っこいものはいけませんよ」
 ファートラのお姉さんに注意されたけど、結局買いました。たしかにこの子供サイズだとあまりたくさん食べられないな……。まあ、ちょっとずつ移動中に食べるということで。

 エレベーターは紐を引っ張ってゴンドラを持ち上げるという手動式のもので、ミノタウロス三人で一気に十階に運ばれた。
 ちなみに私は子供ということで半額になった。子供料金という概念あるのか……。

 十階もいろんな店があって、なぜか人間世界の料理を出す店まであってレストラン街っぽくなっている。
「戦闘が苦手な人はここまでしか来れないですからねー。なのでレストランも多いんですよー」
 ヴァーニアが呑気に言った。
「ツッコミどころが多いけど、十一階を目指そう。まだまだ先は長いから」

 そして野生動物がいるという十一階に入る。十一階への階段のところでまた野生動物保護費用ということで、一人500コイーヌ払う。私は今度は幼児という扱いで無料だった。

「ちなみに、十三階に上がるところでもお金をとるゲートがありますよ」
「ファートラ、もしかして、これってすごくボロい商売になってない……?」
「はい。ちなみに上に行けば行くほど飲食物の輸送費もかさんで高くなっていきますので、浅い階層での調達をお願いします」
 上に行けば行くほどジュース代が高くなる山の観光地の法則だ!

 十一階はさっきまでの観光地の空気がウソのように薄暗い密林みたいになっている。
 見上げると、十メートルほど先に天井がある。世界樹の組織の壁がそのまま階層を分けてるんだろう。

「これはたしかに恐ろしい獣も出てきそうだね」
 私は覚悟を決める。いくらでも戦うぞ。

 でも、それはまた空回りした。
 クゥ~~ンと甘えた声で私のほうにオオカミが寄ってきた。
 私がためしに頭を撫でると、うれしそうに尻尾をぶんぶん振った。

「どういうこと!? ものすごく飼い慣らされてるよ! むしろ野性を捨ててるよ!」
「上の階層には力自慢の魔族が進みますので、いつしか反抗しなくなったようです。むしろ頭を下げてごはんをもらおうという習性になったとか」
 ファートラが世界樹ガイドブックを開いて読んでいる。
 そりゃ、オオカミ程度が魔族には勝てないとしてもおかしくないけど……。

「あまり愛でているときりがありませんし、先に行きましょう」
「なんか、想像をずっと裏切られているというか、斜め上の方向にいってるな……」

 十三階に行くと、またこんな看板が目についた。

<十七階までのエレベーターはあちらです  大人一人2200コイーヌ>

「さっきより高いうえに、たいして進めない……」
「次は十八階に獣がいますね。世界樹十八階ヤマネコという固有種と、世界樹十八階バラという貴重な植物が自生しているそうです」
「で、また、十九階にここより高いエレベーターがあるんだよね」
「ガイドブックによると、運賃3000コイーヌらしいです」

 もう、ここのシステムがわかった。
 とにかくあらゆるところで集金してくるのだ! なんだ、この悪魔的なビジネスは! さすが悪魔!

「なつかしいですねー。わたし、修学旅行で来た時は、ここからお金をケチってどこまで上に行けるか試したんですけど、すぐに道に迷って日が暮れて集合時刻に遅刻しましたよー」
 呑気にファートラが言った。
「このあたりの住人は観光産業で生活してるから、迷路の難易度を上げているのよ。そう簡単に飛び越えられない穴を設置したり、アスレチック要素を入れたりして、エレベーターに乗せようと画策してるの」

 なんてバカな空間だ……。
活動報告に書きましたが、2巻で初登場となるペコラの口絵を公開いたしました!
是非ご覧ください!
また、1巻も5度目の重版が決定しました! 本当にうれしいです!

20161213_slaim_syoei01.jpg
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