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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

アンデッドを捜す編

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129 徹夜でゲーム

「女の子が遊びに来てくれたりもするんですけどね、ほら、みんな大人になっていくじゃないですか。じゃあ、働きに出たり、お嫁に行ったりして……いつのまにかボクのところには来なくなるんです。それで、寂しくなると、違う集落を探して引っ越してというのを、何度かやりました」

 ポンデリの耳がしゅんと垂れた。

「ずっと、子供でいられるのってあなたみたいな特殊な存在だけだもんね」
 この世界には、不老不死や限りなく不老不死に近い存在が少数とはいえ、いろんな種類、存在している。私みたいな魔女や魔族たちもそうだ。

 一方で、ごく普通に成長して、年老いていく人たちも生きている。
 これは私も最初、体験したけど、知ってる人が死んでいくというのはきついものがある。これを割り切らないとやっていけない。

 この子はアンデッドになって四十年ほどと言っていたから、まだ不死者の生き方に慣れてない。そのくせ、子供が大人になるのは早いから、別れだけは何度も何度も経験している。一番きつい時期かもしれない。

「な~んだ。たかがそんなことですか」
 ブッスラーさんがなんでもないことのように言った。何か解決策でもあるのかな。

「体を鍛えれば、寂しくなくなりますよ」
 クソリプじゃん!

「筋肉は友達ですからね! はっはっは!」
 筋肉しか友達いない生活を送らせるのもひどいだろ!

「ブッスラーの言うことは最低じゃとしても、たかがそんなことには違いないのう」
 ベルゼブブが年長者らしい鷹揚さで言った。

「それじゃ、今からここでみんなでゲームをしたらいいじゃろ? 頭数だけはたくさんおるからの」
 その時のベルゼブブは本当にいいお姉さんに見えた。この人、締めるところは締めてくれる。

「今後もゲーム程度ならやれる者はいくらでもおる。空き時間に好きなだけゲームをやればよいわ」
「本当ですか!? そんなことまでしてくれるんですか!?」
「わらわは魔族の大臣じゃぞ。お茶の子さいさいじゃ」
 歯を見せて、にんまりとベルゼブブは笑う。

「上司、かっこいいです!」
「さすがですね、ベルゼブブ様」
「師匠!」

 部下たちがベルゼブブに尊敬のまなざしを注いでいる。それだけの大物っぷりを見せたからね。

 そっか、私の周りにもいろんな子が集まってるけど、ベルゼブブも核の役割を果たしてるんだな。

「では、どのゲームにしますか? かなりの種類のゲームを揃えてますよ!」
「その『操りパペット』というカードゲームにしようかの」
「これ、名作ですよね。わずかなカードでものすごく白熱した騙し合いが行われますもんね! ずっと集落に住んでる女の子と二人で盛り上がってました!」
「それ、二人でやってもたいして面白くないじゃろ。四人から六人推奨じゃぞ」
「そんなに人が集まらないんですよ!」

 こうして、夜を徹してのゲーム大会が行われることになった。
 なにせゲームはいくらでもあるので、遊んでも遊んでも終わらないのだ。
 本当は夜はちゃんと寝たほうがいいんだけど、たまには羽目をはずすのもそれはそれで楽しいかもしれない。

 ちなみに、ゲームのほうは――
「ほい。わらわの一位じゃな」
 ベルゼブブがほとんど無双していた。

「上司、もうちょっと手を抜いていただけるとゲームバランス的によろしいかと思うのですが……」
「ヴァーニア、何を言うておる。露骨に手を抜いたのがわかったら、みんな白けてしまうではないか。ゲームというのは頭脳を使っての戦争じゃ。全力でやらねば失礼というものじゃ」
 ベルゼブブの言葉もわかるけど、なんでもかんでもベルゼブブが一番なのはつまらないな。なお、最下位はヴァーニアが安定して取っていた。

「ならば、もっと運要素の強いゲームにするのじゃ。そっちの『首狩り族』というゲームは一種のバカゲーじゃからな」
「いや、家主じゃないのにゲームの説明しないでよ」

 しまった、このベルゼブブ、仕切り屋気質だった……。
 完全に自分の家であるかのように振る舞い出したぞ……。

 とはいえ。
 ポンデリの顔がすごく楽しそうなのはすぐにわかった。
「次こそはボクが一位になりますからね!」

 魔族も猫も夜は強い。私はその宴にひたすら付き合うことにした。

 そして夜も明けた。
「いや~、面白かったのう!」
「一回ぐらい勝ちたかったです……」
 ほとんど勝ったベルゼブブとほぼ全敗していたヴァーニアが対照的なテンションになっていた。

「皆さん、本当にありがとうございました!」
 ポンデリの顔がニートとは思えないほどに生き生きとしている。
「また、来てくださいね。絶対に来てくださいね! ほかの魔族の方でもいいですから!」

「そうじゃの。ある意味、これまでより近所にはなるからのう」
「えっ、ここに引っ越してくるんですか!?」

 私もポンデリみたいに、最初意味がよくわからなかった。


「違う。おぬしがここから魔族の土地に引っ越してくるのじゃ」


 それで私は当初の目的を思い出した。
 ああ、アンデッドを放置しておくと、人間にばれて退治される恐れもある。だから、保護するために探していたのだ。

「とりあえずヴァンゼルド城下に住んでもらうのじゃ。そこでなら、いくらでも友達もできるじゃろうから、ゲームも休日にやりたい放題じゃ」
「え? 休日……?」

「うむ。ヴァンゼルド城下でしっかり働いてもらうぞ。単純作業みたいなのもあるから、大丈夫じゃろう」
 ベルゼブブの言葉に、ポンデリの顔色が変わった。
 そして、テーブルにしがみつく。

「嫌です! ボクは絶対に働きません! もし働くとしたら墓場を警備するぐらいで精いっぱいです!」
「あほか! お前、いつかアンデッドとばれて消されてしまうかもしれんのじゃぞ! 魔族の土地に移って働いたほうがいいじゃろ!」
 ベルゼブブはポンデリの背中を引っ張る。
「引っ越すのはいいですけど、なんで労働がセットになってるんですか!」

「連れてきたアンデッドの雇用まで面倒を見るのが仕事じゃからじゃ! 連れてきて、働く先もないなんてひどいことはせんからの!」
「むしろ、そのほうがありがたいですから! ずっと働かずに過ごしますから!」

 これはある意味、ややこしいことになってきたぞ……。
活動報告にも書きましたが、GAノベル版、4度目の重版が決まりました!!! 本当にありがとうございます!!! 4月に出る2巻ともどもよろしくお願いします!!!

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