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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ドラゴンが来た編

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12 弟子との修行

たくさんの人にお読みいただいて、本当にうれしいです! これからもしっかり更新していきますのでよろしくお願いいたします! 今回の話は次回のための前フリです。
「それって、結界に反応があったせいではないでしょうか?」

 たしかに、今日、結界を作ったわけだから、今の虫の知らせみたいなものとの因果関係はありえるな。これまでの三百年間、一度もなかった感覚であるし。

 だとすると確かめにいったほうがいい。

「ライカ、村に向かうから」
「わかりました!」

 夜の空をドラゴンになったライカに乗って飛んだ。

 ライカはいつものように村の手前で少女に姿を変える。それで一緒に村に入る。

 かがり火を炊いてる人がいるのが遠くからでもわかった。ということは何かあったということだ。

「すいません、いったい何が?」

「おお、魔女様とお弟子さんだ!」
「早速来てくださった」

 そんな声が飛び交う中、その輪の中にいた村長が説明をしてくれた。
 といっても、そこに縄で縛られている男が転がっているからある程度の予想はついたが。

「夜に村にやってきた男が、急に動けなくなりましてな」

 それがこの縛られている男だろう。

「調べてみた結果、最近、州を荒らしている手配中の泥棒だとわかったんです。近くの町でも盗みを働いて、そのままこの村にも流れてきたとか」

「じゃあ、結界の効き目があったということですか」

「そうです。魔女様のおかげです!」

 なるほど、邪悪な意思を持つ者に対する力というのは、泥棒ぐらいでも効果を持つのか。

「何かを盗んでやろうと酒場を裏口から物色してたんだ……。そしたら、急に体が金縛りに遭いやがった……。これはいったい何だ……」

 犯人が自供してくれた。

「酒場から盗んで、夜のうちにズラかるつもりだったのによ……」

 じゃあ、やっぱり明確な邪念に反応したんだな。

「よかったですね、アズサ様。早速効果が出ましたよ!」
 ライカも喜んでくれていた。

「たしかに、村の役には立ったね」

 でも、この一件で私だけが讃えられるのはおかしいのだ。ここは公平にいこう。

「フラタ村の皆さん、この結界を提案してくれたのは弟子のライカなんです。どうか、ライカも褒めてあげてください!」

 ライカの背中を後ろから、ぽんと押した。

 褒めるのが好きな村の人達の視線がライカに向く。

「やっぱり魔女様の弟子は一味違うな」
「善の心を持っているドラゴンがいれば、百人力だ!」
「いよいよ住みやすい村になるぞ!」

 そうそう、私の自慢の弟子をもっと褒めてやってほしい。

「い、いえ、こんな結界を作ったのはあくまでもアズサ様ですから……我は何も……」

 ライカは照れ臭そうだが、私の弟子ならこれにも慣れてもらわないといけない。

「なかなかむずがゆいですね……」

「でも、そこまで悪い気持ちでもないでしょ?」

 私の教育方針は、「褒めて伸ばす」だ。
 なんでかというと、社畜時代、全然褒めてもらえず、けなされまくって、フラストレーションがたまったからだ。
 たかだか、五年ほどの期間だが、魔女を三百年やっていても、その記憶はいまだに強く残っている。

 基本的に人間は褒められるとうれしい。
 もちろん、いろんな性格の人がいるから例外もいるだろうが、そういうのは除く。

 教育は褒めるだけではダメかもしれないが、どうせなら褒められる時は褒めてあげたい。それでやる気になってくれるなら、とてもいいことじゃないか。

 ひとまず、村に何の被害もなかったし、その点は本当によかった。
 ほっとしたら、あくびが出てきた。

「それでは私達はこれにて、失礼しますね。おやすみなさい」
「その……村はドラゴンが守っていると対外的におっしゃってくださってもけっこうです。我もアズサ様が愛するこの村を守りますので……。失礼します」

 私とライカは家に帰った。

「アズサ様、結界が少し発動してしまいましたから、また明日、張りなおすほうがいいかもしれませんね」
「それって、けっこう面倒くさいな……」

 その後、フラタ村は魔女が作ったおおいなる結界で守られているという話が広まっていったという。

 村の平和に寄与できたようで、光栄だ。



 結界の問題も解決したので、私は本格的にライカの師匠としてのぞむことになった。

 といっても、本当に教えることはないのだが。

 私は娘の姿をとっているライカを連れて、高原をぶらつく。

 そこでスライムが出てきたら、倒す。
 そして、すぐに魔法石を回収する。
 以上。

 ただし、その動きは速い。
 スライムが視界に入った時にはもう手が動いている。
 そして、スライムをさっと指で突く。
 それだけでスライムは絶命して消滅する。
 発生した魔法石を取って、袋に入れる。

「すごいです! 目にも止まらぬ早技でした!」
「これでも三百年間、スライムを倒し続けてきたからね」

 間違いなくスライムを倒すことにかけては一流だ。
 自慢できることかと言われると怪しいが。

「最初はスライムを意識しないと倒せない。でも、そのうちいつのまにか体が勝手に反応してスライムを倒せるようになるから。そしたら、きっとだんだんとレベルも上がってくるよ」

「わかりました。いつかアズサ様の境地に立てるように努力します!」

 ライカもスライムを見ると、さっと手を出してはじいている。
 ライカの攻撃力も相当だから、手や足をちょっとぶつければスライムは倒せる。

「ちなみにアズサ様は一日何匹ほどスライムを倒していたんですか?」

「そうだね、ええと、二十五匹? ああ、でも獲得経験値が増える効果があったから、実質五十匹ぐらい?」

 まあ、私がレベル99にちょうどぎりぎりで到達していたということはないはずなので(だって、獲得経験値の合計はレベル99になっても増える)、本当はもっと効率のいい数があると思うのだが、それがどれぐらいかわからない。

「五十匹としても案外と楽ですね。てっきり、もっと血のにじむような努力をしていたのかと……」

 たしかに、たいしたことのない労力と言えばそうだ。

「でもね、大変な努力だったら三百年もやれないでしょ。誰でもできることを誰もやろうとしないほど続けたことに、おそらく意味があるんだよ」

 この表現は自分がやったことに意味があると言っているのと同じなので、多少気恥ずかしくはある。

「なるほど! さすがアズサ様です! 含蓄あるお言葉です!」

 しかも、ライカが感動しているので余計にやりづらい。

 でも、私がやってきたことにも、もしかしたら一面の真理ぐらいはあるかもしれない。師匠として、そのことを話そうか。

「あのね、ライカ、血のにじむような努力って言ってたけど、そういう発想は捨てるように」

「えっ? それは何故ですか?」

 私の言葉は逆説的なのか、ライカはきょとんとする。

「それはね、血のにじむような努力が人に見られることを前提としているから。その表現を使った時、きっとライカは少しでも誇らしげな意味をそこに見出してたと思う」

「そ、そう言われると……」

 つらい努力や修行をすると、そういうことをしている自分は偉いのだという意識が生まれる。

 これはある程度はしょうがないことだ。
 ぶっちゃけ、私も社畜時代、こんなに働いている自分は偉いと思おうとしていた。たとえばだらだらしている人間や無職の人間よりは偉いと無意識のうちにも考えていた。

 しかし、それは大きな間違いなのだ。

「いい、ライカ? 自分が偉いと思われたいという気持ちを元に行動すると、周囲が偉いと思ってくれなかった時、耐えられなくなるの。私が三百年続けられたのは、評価を考えに入れてなかったから」

「なるほど……」

 すごく真剣にライカは聞いている。

「自分が好きだから、自分がやりたいから、やる。こういう気持ちのほうが物事は続けられるよ。いい?」

「やっぱり、アズサ様を師匠に選んでよかったです。我は目からウロコが落ちました! 強くなりたければ、他人からよく思われたいという気持ちを捨てろということですね! 深いです! なんと深い教義なのでしょうか!」

 なんか、弟子からの尊敬の念がやけに高まった気がするが、まあ、間違ったことは言ってないからいいだろう。

 その日、ライカはスライムを六十匹倒したあたりで修行を終えた。

「まあ、スライムに復讐されることなんて絶対にないから、確実に倒していこうね」

 あとになって思ったのだが、どうして私はこういうフラグめいた発言をしてしまうのだろう……。
アズサがフラグ立てたので、次回、意外な新キャラが登場します。

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