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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

アンデッドを捜す編

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127 警備員、警備中

 あれ、どこだっけ。割と最近、その単語聞いたぞ……。
 私が近頃のアンデッドは活きが悪いとか、そんな話題を出すことはありえないから、人から聞いたケースしかない。でも、うちの家族でアンデッドに興味ある子はいない。フラタ村でも、そんなこと話題になってたとは思えない。

 家でもフラタ村でもない場所となると、かなり限られてくるよね…………お、思い出した!

「偽物探しの時だ! アンデッドについて妙にこだわってる人がいた!」
 顔をはっきり見てた記憶もないけど、それしかない。

「それって、ただのアンデッドオタクではないのか……?」
 ベルゼブブはどうも、うさんくさそうだ。
「アンデッドオタクなんていないでしょ。仮にそうだとしても、それだけアンデッドにご執心なら、居場所知ってるかもしれないし」


 翌日、私たちはアンデッドについてやけに言及していた人がいた集落に向かった。
 まず、私たちは聞き込みを開始した。顔を覚えていればよかったんだけどな……。女性だったとは思うんだけど。

 まず集落の村長さんらしき人のところに行く。
「まさか~。そんな恐ろしいのが、こんなのどかな集落におらんよ。羊が風邪ひいただけでニュースになるんだから~」
 呑気に村長さんはそう語る。ううむ、最初はハズレか。

「案ずるな。狭い集落じゃ。全員に聞いていけば、おのずと判明するじゃろう」
 ベルゼブブにそう言われて、聞いていった。たしかに全員に聞けるレベルの人口しかいない。


 私たちは人を見つけるたびにアンデッドについて尋ねた。

 だが――朝から昼までやって、成果はなし。
「アンデッド? そんなのいねえよ」「腐ってる子なんて見たことないねえ」

 おかしいな。集落を間違えたか? でも、偽物を見つけたようなところだから、間違えなさそうだけどな……。
「おい、全然空振りではないか」
 ジト目でベルゼブブに見られた。それだけじゃない。ファートラは疲れたため息を吐いてるし、ブッスラーさんは足をわざとらしく叩いている。わざわざ手伝ったのに、なんかこっちが戦犯ぽくなってるし!

「しょ、しょうがないでしょ……。こういうこともあるよ……」

 と、そこにやけに熟した、むしろ熟しすぎたリンゴをカゴに入れたおばさんが通りかかった。
 腐乱した臭いでもしているのか、ハエがたかっているほどだ。

 どうも、気になるぞ。

「すいません。それ、もう食べられなくないですか? たしかに腐りかけが一番おいしいという説もありますけど」
「ああ、これはね、墓場警備員のポンデリちゃんにあげるんだよ」

「墓場警備員……? すいません、その謎のタームについて詳しく教えてくださいませんか?」
「墓場警備員っていうのは半分冗談でね。つまり、墓守のことだね。ほら、丘の上に集落の墓地があるんだけど、ポンデリちゃんはそこの墓守を五年前からやってるんだよ」
 後ろでベルゼブブが高速でメモを取っていた。

「彼女、胃が強いらしくて、腐りかけのものでも問題なく食べられるって言うからよく持っていくのさ」
「なるほど~。そこにまでついていっていいですか?」

 私たちは丘にある共同墓地に向かう。道すがら、おばさんから聞いた話によると、

「ポンデリちゃんは五年前からふらっとやってきてね。墓場警備員をやるって言い出したんだよね。別に財宝が眠ってる王家の墓とかじゃないから、荒らす奴もいないよって言ったんだけど、『いえ、守らせてください! 給料はそんなにいらないんで!』って言い出して」
 向こうから給料を要求してきたのか。けっこう厚かましい子だな……。

「悪い子じゃなさそうだし、墓場警備員という名前で墓守をやってもらってるというわけさ。彼女いわくプロの眼で立派に墓を守ってるそうだよ」
 何の匠だ……。素人にはわからない墓石の汚れを見つけてすぐにきれいにしたり、カラスが寄りつかないお供え方法ができるとかいったことだろうか。

 それと、どうも墓場警備員という名称が気になるんだよな……。
 前世の記憶に、自宅警備員を名乗る人たちがいたような……。

 やがて丘の上に着いた。その入口のところに小さな管理小屋がある。
「あそこにポンデリちゃんが住んでるよ」

 ここで一斉に押しかけると怪しまれるなあ。

「こほん、実はこのヴァーニアって子が墓地をめぐるのが好きで……ほら、ハカマイラーって言うんですかね。有名人のお墓に行くのが趣味なんで、ちょっと墓地のほうに行ってきます!」
「えっ、お墓なんてトカゲの先っぽほどの興味もありま――むぐぐぐっ!」
 姉のファートラが口をふさいだ。グッジョブ。

「あんまり、有名な人のお墓はないと思うけどねえ。オレンジ早食い競争で優勝した人のお墓ぐらいしか。墓石をオレンジの形にしてるんだよ」
 それ、一見の価値程度はあるな。ほんとに見よう。

「あっ、ほんとだ! オレンジのやつありますよ! しかもレリーフじゃなくて、完全に立体じゃないですか! オレンジの石像ですよ!」
 ヴァーニアが一番テンションを上げて、そっちに走っていった。あんた、結局、興味持ってんじゃん!

 本当に墓場のほうに行ってしまったヴァーニアは放っておいて、私たちは少し離れて、ポンデリという子を確認することにした。おばちゃんと会う時に出てくるだろう。

「アズサよ、アンデッドだと思うか?」
「クロじゃないかな。だって、アンデッドって老いることがないタイプだよね。ということは、住む場所をてんてんとしそうじゃない? ずっと若い容姿で老いなかったら怪しまれそうなものでしょ」

 そして、ドアがガチャリと開いて、パジャマ姿の女の子が出てきた。猫の耳と尻尾が生えているから、猫の獣人らしい。

「ポンデリちゃん、腐りかけの果物持ってきたよ」
「ふあ~あ、ありがとうございます。すいません、昼夜逆転してて、今、起きました。夜はずっとゲームしてて……」

「ほんとにいつも生活不規則だねえ。ちゃんと食べないとダメだよ」
「大丈夫ですよ。おなかすいたなと思った時に食べて、寝たいと思った時に食べてますから。自然に忠実です」

 この発言、間違いない。アンデッドかはわからないけど、確実にニートだ……。
 それとね、パジャマにこう書いてあるんだよね。「働いたら魔法石になる」って。
 きっと、私は死ぬまで働きませんって意味だ……。

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