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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

アンデッドを捜す編

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126 チラシ作戦

 私たちはまずフラタ村に行ってこんなことを言ってまわった。

「すいませ~ん、アンデッド回収業で~す。身の回りにアンデッドがいたら教えてくださ~い。アンデッドにも命? はあります。アンデッドを焼いたりせずに私たちに引き渡してくださ~い」

「高原の魔女様、また変なことしてるね」「魔女様、アンデッドってどうやって見分けるんですか?」

 村の人が集まってくるので話を聞くのは簡単だ。

「どうやらアンデッドがこのあたりにいるかもしれないんです。害はないんですけど、それでアンデッドがひどい目に遭うとよくないんで、保護するつもりなの」
 ごくさっぱりと理由を説明する。

「皆さんの間にやけに香水をきつくしてる人がいたら教えてください」

「そんなの、うちのかみさん、いっつも香水きついよ」「いい香りだと思って近づいていったら、モンスターみたいなのがいるからな」「あんたたち、聞かれたらぶっ倒されるよ!」

 呑気なものだ。これはフラタ村にアンデッドはいないな。

 その時、空が暗くなった。
 ファートラがリヴァイアサンになって、空を飛んでいた。ヴァーニアかもしれないけど、飛び方が静かで優雅だからファートラのほうだろう。

 相変わらず、目立つな……。あっけにとられている村の人もいる。超巨大生物だから、なかなか慣れないだろう。

 と、そのファートラから何かが落ちてきた。
 何か紙がどんどん空から舞ってくる。

 一枚拾ってみると、こんなことが書いてあった。

===
さがしています
アンデッド、あなたの近くにいませんか? あるいはあなたはアンデッドではありませんか?
我々魔族が責任をもって保護します。ほかのアンデッドたちもいるから友達もできるよ!
連絡はベルゼブブ・ファートラ・ヴァーニア・ブッスラーまで。
地面に下記の魔法陣を描いて、レムダ・フィリ・オーウェスヴァと詠唱してください。
※なお、この紙は自然にやさしい植物の紙なので、土にかえります。
===

 魔族はやっぱりやることが雑だ!
 しかし、この調子だと、うかうかしてると魔族に人間は滅ぼされるぞ。リヴァイアサンなんかに勝てる軍隊はそうそうないだろうし。けっこう危ないバランスで成り立っている気がする。

「いや~。大きな動物だね~」「ママ、あれ、飼って~!」「食費が払えるわけないでしょ!」

 フラタ村の人たち、よく訓練されすぎだな。それとも私が近くで暮らしてる責任もあるんだろうか……。

 こうして、ファートラのチラシまきまくり作戦は州全体におよんだ。軍隊が出動する騒ぎも一部ではあったらしいけど、リヴァイアサンの高さまで弓矢を飛ばすこともできないし、そのままどこかに飛んでいったので、騒ぎは収まった。

 ただ、その日の終了後、私は打ち上げの酒場でベルゼブブに文句を言った。
「これだったら、私が参加する意味なくない……?」
「そんなことないのじゃ……。足で稼ぐというのも大切なことなのじゃ……」
 ちょっと目を見て、言ってもらっていいですかね。

「これで心当たりがある人がいれば、申告があるはずです。実に合理的でよい方法ですね」
 ファートラはこころなしかドヤ顔になっている。その策は認めるけど、私たちの存在価値はない。

「州をひたすら走って、ちらしを配ってたから疲れました……。スライムに戻るかと思いました……」
 ブッスラーさんは燃え尽きて、酒場のテーブルに顔をついていた。
 こっちはこっちで修行に利用するなよ。

「つらいけど、強くならないと……。そうすればもっとお金を稼げる……」
 動機が不純!

「ここのお店の料理、たいしておいしくないですね……。火の通し方が下手です。同じ食材でも確実にもっとおいしくできるのに……。鳥の皮がぱりっとしてない……」
 料理人ヴァーニアはずっと文句を言っていた。許せない部分があるらしい。

「まあ、これだけ大々的にやったのじゃ。アンデッドを見つけるのは時間の問題じゃろう」
 リーダーのベルゼブブはもう勝ったとばかりに楽しそうにお酒を飲んで、ぱたぱた扇子であおいでいた。

 なんか、変な打ち上げになったな……。

「アズサよ、明日も念のため、来てほしいのじゃ。おそらく明日中に見つかると思うがのう」
「はいはい、バイト感覚で働きますよ」


 しかし、ベルゼブブの想定に反して、アンデッドの連絡はなかった。

 近くの州にもチラシをまいてみたが、反応はなし。

「暗礁に乗り上げました……」
 どちらかというと、完璧主義者らしいファートラが青い顔をしていた。

 夜は毎度ながら、どこかの町の酒場で打ち上げである。どうも魔族は打ち上げをやたらと行いたがる種族であるらしい。
「可能性として考えられるのは、一、そもそもアンデッドがいない、二、アンデッドがいるけど本人は隠れている、のどっちかだね。隠れられたんじゃ、チラシも効果がない」

「ううむ……。チラシ代にけっこうお金を使ってしもうたから、結果がほしいのじゃ……。会計局の役人にねちねち言われそうなのじゃ……」
 ベルゼブブが国の関係者らしい悩みで頭を抱えていた。

「なあ、アズサよ、何か名案はないか? お前ならできる!」
「ちょっと! 都合よく持ち上げないでよ。だいたい、いるかも不明なんだから、ハードル高すぎるって」
 実は存在しないものを探してる可能性すらあるのだ。

「アンデッドのチラシに懸賞金でもつけたら? 見つけたら五百万ゴールドとか」
「そんな予算はないし、そういうことをするとブッスラーみたいな奴が見つけたと言ってデマを持ってくるのじゃ」
 あんた、弟子にひどいだろと思ったけど、ブッスラーさんがぎくっという顔をしていたので、喧嘩両成敗。

「あの……何か心当たりはないでしょうか……? アズサさんのほうが人間の土地には詳しいですし……」
 青白い顔のファートラに言われた。

「アンデッドの話題なんてまったく聞いたこと――――あった」
 あれ、どこだっけ。割と最近、その単語聞いたぞ……。
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