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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

アンデッドを捜す編

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125 アンデッド探し

「一言で言うと、アンデッドじゃな。アンデッドを探しておる」
「幽霊さんは実体がないので魔族では管轄外ですが、アンデッドの場合は実体を持っていますからね。魔族かと言われるとグレーゾーンですけど、人間の世界では管理していないようなので、魔族で保護しているんです」
 ヴァーニアの説明はかなりわかりやすい。たしかにアンデッドに関する法律とか人間の世界ではない。

 しかし、アンデッドという単語に私は少し身構えた。
 少なくとも、イノシシが増えて大変とかって話より、もっと危険な香りがする。

「ねえ、それって大惨事に発展するおそれとかあるんじゃないの……? ほらゾンビに人間が噛まれるとその人間もゾンビになる的な……」
「なんで、ゾンビに噛まれるとゾンビになるのじゃ。ゾンビは疫病ではないぞ。と言うか、アンデッドにゾンビっていうと差別語に当たるから、気をつけるのじゃな。今時、そんな不衛生なものは魔族の土地にもおらんし」

 どうやらこの世界では、ゾンビという言葉は汚らしいアンデッドという意味らしい。ゾンビっていうと腐りかけの奴というイメージはある。

「アンデッドなんかは魔法を使った人間がたまに自分からなっちゃうことがあるんですよぅ。つまり不死者になろうという実験ですねえ。すると、人間の世界にアンデッドが存在しちゃうわけです」
 ペコラは私の疑問に先回りして答えてくれた。
「なるほど、だから人間世界では異質なものが人間世界に生まれちゃうから、それを見つけて保護しなきゃってことだね」

「そうじゃ。もし、人間にアンデッドだとばれた場合、気味悪がられるかもしれんし、それだけならまだしも焼き殺されたりするかもしれん。人間の法では動く死者に人権はないからのう」

 たしかに死者に裁判を受ける権利があるなんて絶対にどこにも書いてないよね。

「人間の世界に買い物に行った魔族から、アンデッドらしきものを見たという報告を受けての。農相のわらわと関係ない業務のはずなんじゃが…………お前は人間の世界によく行ってるから慣れてるだろという理由で捜索を拝命いたした次第なのじゃ」
「はい、わたくしがお願いいたしました」

 ペコラがにっこりと小悪魔的に笑っている。小悪魔どころか魔王だけど。
 しかし、こちらもありがたくはある。また、全然違う魔族がやってきて、トラブル起こすリスクを考えると、ベルゼブブとヴァーニアに探してもらうほうが、私の心労が減る。

「というわけで、これから、この地方を探すのじゃ。入ってきてる情報があいまいでいまいちしぼりこめておらんのが難儀じゃが……。全然違う州の可能性もある……。魔族の多くは人間の世界の地理とか把握しておらんからな……」
 日本人がアメリカのちょっとマニアックな地名を聞いたら、まずどこかわからないようなものか。

 ベルゼブブが働く前から面倒そうな顔をしている。たしかに、たった一人のアンデッドを見つけろってほとんど罰ゲームみたいなものだ。そのアンデッドがほとんど出かけずに引きこもってる奴だったら、難しすぎる。

「そうだ、いいことを思いつきました」
 ペコラが両の手をぽんと合わせる。

 ベルゼブブ・ヴァーニアの主従が嫌そうな顔をした。これ、いつも振り回されてるな……。

「お姉様にも手伝っていただいたらどうです? それなら効率も上がりますよ」
「おお、魔王様の割にはまともな案でしたな」
 ベルゼブブの顔は明るかったけど、その分、こっちが嫌そうな顔になった。

「えっ、なんで私が……」
「別に定職についておらんからええじゃろ。報酬は出すのじゃ」
 人をふらふらしてるフリーターみたいに言わないでほしい。ちゃんとこつこつスライム倒して生活してるんだぞ。

「そうか、もしアンデッドが先に人間に見つかった場合、殺されるかもしれんのじゃがの。お前はアンデッドのが死んでもかまわんと言うのじゃな。生きてない者が死んでもそれでよいというか。そうか、そうか」
「うっ、命がかかってるって言い方は卑怯だよ……。あと、あなたの表現、脳が混乱する……」

 結局、生きてるのか死んでるのか、どっちなんだ。はっきりしてほしいな……。

「はいはい、わかりました。手伝えばいいんでしょ」
「うむ、最初から素直にそう言えばいいのじゃ」
 調子のいい奴だけど、ベルゼブブは少しうれしそうだし、内心悪い気はしなかった。

「みんなは今回は参加しなくていいよ。私が個人的に魔族に協力するってだけの話だし。みんなはいつもどおりに生活してて」
 ファルファが「はーい」と言ったのを皮切りに、みんなわかったという顔をしているし、これで大丈夫だろう。

 なんか、以前は偽物を探したし、人探しが最近多いな。こういうことって重なるというし、そういうものなのかな。

「それで、アンデッドの特徴ってどんなの? 見たことがないからよくわからないんだけど」
「特徴は、とくにない」
「特徴はとくにないです」

 主従二人がさらっと、ひどいことを言った。

「じゃあ、どうやって見つけるのよ!」
「長年の勘じゃ」
「長年の勘ですね」
 こっちは、ゲスト参加だよ!?
 早くも前途多難な状況になってしまった……。



 もうちょっとアンデッドについて聞いたところ、こんなことがわかった。

・アンデッドは見た目が人間と区別がつかない。ゾンビみたいに見るからに腐ってる奴は少数派。

・ただ、死体であるせいか臭うことがあるので、きつめの香水などで誤魔化す者が多い。

・もともと社会生活を営んでいた場合は、その状態の継続を望むことが多い。

 これ、やっぱ、探すの大変だな……。

 私たち三人に加えて、ヴァーニアの姉であるファートラとブッスラーさんが合流した。ブッスラーさんはベルゼブブへの弟子入りのせいで、いいように使われている気がするけど、そもそもスライムなわけだから、魔族の下にいるのはいいんだろう。

「それでは、今からアンデッド捜索活動を開始するのじゃ。みんなの健闘を祈るのじゃ」
 リーダーのベルゼブブが訓示みたいなことを言った。

「ちなみに、どんなふうに捜索するの?」
「手当たり次第にアンデッドがいないか聞いてまわるのじゃ」
 魔族って長命なせいか、時々、すごく雑な部分があるな……。

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