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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

高原の魔女の偽物出現編

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118 魔女の偽物発見!

 私たちは偽物探しを徒歩に切り替えた。これなら黙々と歩いていけば、いずれ追いつくだろう。

「集落を見つけたら、一つずつチェックしていくよ。人混みができていたら、そこが正解」
「わかりました! 絶対に捕まえてやります!」
 私よりライカが気合いが入っていた。

 そして、とある集落で怪しげな人だかりを発見した。
 人だかりの後ろのほうに人に私は声をかける。

「すいません、いったいこれは何ですか?」
「高原の魔女様がいらっしゃったんだよ! ありがたいことだ!」

 ついにたどりついたぞ。
 私とライカはゆっくりと人だかりの奥に入っていく。

 まずはどんな態度でどんなことを言ってるのかぜひ拝見させてもらおうじゃないか。

 そこにいたのは――よぼよぼのおばあさんだった。
 腰なんて、九十度近く曲がっていて、しかも杖をついている。その角度で曲げるほうが大変な気がするけど。

 たしかにこれは美少女とかそういうジャンルじゃない! 絶対に少女じゃない!
 じゃあ、美魔女? いや、意味が違うな。あと、どう見ても美しくない。美老婆? いや、よぼよぼの時点で「美」って表現は無理があるだろう。想像以上によぼよぼで皮がだらりと伸びて、なかなか異様だ。

「ふぉっふぉっふぉっふぉ。ふぉっふぉっふぉっふぉっふぉ」
 偽物が「ふぉっふぉ」と言っていた。というか、それしか言ってない。

「皆さん、元気があれば何でもできますぞ。ふぉっふぉっふぉ」
 まず、あんたが元気ないだろ! むしろ、今にも倒れそうだろ!

「わしが高原の魔女ですじゃ。もう、かれこれ三百年、高原に住んでおりますのじゃ」

 そこは私と同じだな。パクってるんだから、当たり前か。

「さすが魔女様だ」「年季が違うな」「見てるだけでご利益がある」「アンデッドなんじゃないかな」見ている人たちも好きなことを言っている。

 聴衆の一人が手を挙げた。
「どうして、高原の魔女様はそんなお年なのに旅をしているのですか?」
「まだ見ぬ薬草を求めて、全国をまわっておりますのじゃ。ふぉっふぉっふぉっふぉ。昨日もメルテの集落からここまで峠を越えて、やってきましたのじゃ」

「でも、その足で全国を回るの、大変じゃないですか? 時間もかかるんじゃ……。あと、峠もよく越えられましたね」
 老婆がぎくりという反応をした気がした。

「そういえば、そうだな」「あの峠、馬でもしんどいって反応をするしな」「アンデッドだから大丈夫なんじゃない?」よしよし、せっかくだから聴衆の皆さんも怪しんでください。

「元気があれば何でもできますのじゃ!」
 偽物がくわっと目を見開いて、叫んだ。
 かなり強引な手法に出たな!

「なるほど。元気があればな」「元気って大事だな」「アンデッドも元気さはいるよね」

 みんな丸め込まれてしまっている。それと、アンデッドにこだわってる人は何かあったんだろうか……。

「じゃあ、元気の秘訣は何ですか?」
 また質問が来た。でも、どう見ても偽物が元気じゃないけど。

「死なないことじゃな」
 また雑な答えだな!

「一理あるな」「生きているだけで勝ち組だ」「アンデッドは死なないからね」「あなた、さっきからアンデッド、アンデッド、うるさいわよ!」押し切れてるし……。そして、ついに聴衆からアンデッドがしつこいってクレームが来てる!

 今度は聴衆から「薬をぜひ売ってください」の声が。それはそうだろう。高原の魔女が薬を作っている話はこの地方でも広がっているはずだ。

 私がスライム倒して生計立ててたせいで、たまに忘れそうになるけど、魔女というのは薬を作って売るのがメインの仕事になる。その薬が健康ドリンクだったり、トカゲやサソリを入れたような怪しいものだったりする違いはあっても、メインは薬作りなのだ。

 ライカもここが重要なポイントとわかっているらしく、私の服をくいくい引っ張った。注視してくださいねという合図だ。
 さあ、偽物、どういう反応を取る?

「……まだ、わしの修業期間ではとても薬を売る次元には至っておらぬのですじゃ。もっと、成長したら売ることにしますじゃ」

「そんなわけないでしょ!」
 今回は私が声をあげて、ツッコミを入れた。

「三百年やってるんでしょ? じゃあ、何年やったら一人前なの? 魔女は五百年まではまだまだひよっこなんて厳しい業界じゃないよ!」

「アズサ様、目立ってます、目立ってます!」
 私が前に乗り出したので、ライカが止めに入った。
「いいよ、この人、インチキなんだし。何か売ってるわけじゃないから、営業妨害でもないし。高原の魔女ならもっと若いって話だったんだけど、なんでこんなおばあさんなのかな~?」

 私は、「あんた、偽物だろ」という視線を浴びせる。
 偽物も「これはまずい……」という顔になっている。

「そういえば高原の魔女は美少女だと聞いたことがあるぞ」「見た目は十七歳らしい」「アンデッドではないのね……」

 おかしいぞってことに聴衆も気づいてきたらしい。

「ナンテール州で最も美しいとか」「いや、王国で最も美しいって話だ」「一目見て恋に落ちぬ男はいないとか」「常にまばゆい光で輝いているのよね」

 話盛られすぎてる! これは正体明かしづらい!
 いや、正体を明かさなくても、この偽物に痛い目を見せることはできる。

「私は魔女のリリリって言います。ちなみに、高原の魔女の友達です。はっきり言って、このおばあさんは偽物です!」

 名前はもちろん偽名。ここで高原の魔女と言う必要はない。
 偽物の背中がさっき以上に曲がった。これ、視線を合わせるのを避けようとしてるな。

「若い子がそんなことを言ってるぞ」「かわいいから、本当だろう」「かわいいからな」

 すごく適当な理由で同意を得てしまった。

「高原の魔女をこれ以上名乗るなら、その証拠を見せてください。私と魔法で勝負してください。あの高原の魔女なら私に勝てないなんてことはないはずですから」

 思い切って、私は事実上の決闘を申し込む。
 あまり人を試すことってよくないけど、偽物が負けたって事実が広まらないと、私にも不利益になるからね。

「ふむ……。わかった。わしも腹を決めたのじゃ」
 おっ、やる気か。そうでなければ面白くないや。悪いけど、私の実力見せつけてやる。

 一度、偽物は曲がっていた背筋をぴんと伸ばすと――
 また、九十度に曲げた。

「わしは偽物なのじゃ! すいませんでしたーっ!」
「腰を曲げたの、おじぎの意味かよ!」
書籍版の重版分もそろそろ出回りはじめているかもしれません。書店さんで見つけた時はよろしくお願いします!

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