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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

イノシシ焼肉編

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111 焼く、食う

 猛烈な勢いでフラットルテはイノシシを狩っていきました。

 三十分ほどでイノシシ退治はいったん休憩になった。付近にいた連中も含めて、結局百匹以上は倒した。
 退治されたイノシシは川のほとりでうずたかく積まれている。

 このイノシシは相当、攻撃的なので、向こうからどんどんやってきた。なので、戦闘で倒す分には、ある意味効率がよかった。こっちから森の中をどんどん分け入ってやっつけるのは時間がかかりすぎるからね。

 ただし、ドラゴン二人にとってはこれからがメインイベントらしい。

 ライカは早速川辺で焼き肉用の機材を設営していた。けっこう大荷物だったのだけど、すべてはこれのためだ。
 設営が終わったら、ひたすら大きなナイフで、肉を切り分ける。臭くならないように多少の注意は払ってるけど、とにかく数が多いので、切って切って切りまくる。

 一方でフラットルテは裸で黙々と、燃料用の薪を集めていた。

「なんか一周して、気持ちよくなってきたぞ! 森の中でイノシシを焼いて喰らう! これぞ野性の醍醐味なのだ!」

 裸はやりすぎだけど、その意気やよし!
 日本でグランピングとか言ってた人たちにこの光景を見せてやりたい。優雅さのカケラもないし、食材もイノシシ肉のみである。

「ロザリー、イノシシの襲撃はしばらくなさそう?」
「見事に返り討ちに遭ったので、当分は大丈夫ですね。接近してきている集団もいないようですよ」
 じゃあ、食べて盛り上がるには文句ないな。

「この広さなら問題ないですね」
 ライカは一時的にドラゴンの姿になって、火を吐いて点火する。

 じゅうじゅうと肉が焼けていく。いい感じに白い煙が上がる。
「脂が飛び散る! 熱い!」
「全裸なんだから、無茶しないで! ちょっと離れてなさい!」

 肉当番は主に私がした。残り二人は生焼けでも平気で食べそうなのだ。
 実際のところ、この面子だと、生焼けでおなか壊すほど弱くはできていないので問題はないはずだけど心理的に嫌だ。前世で食中毒にかかった時は、数日間、苦しんだし……。

「さて、いざ、青空焼き肉だね!」
「「おおっ!」」

 この世界には焼き肉用のタレなどは多分ないので、塩を用意してきていた。
 焼く、塩につける、食べる。
 以上。

 獣の味が強いけど、それをシンプルで強力な塩がある程度押しとどめて、なかなかいける。
 本来のジビエっていう感じがする。

「いいね! これはいいよ!」
「でしょう! アズサ様、どんどん食べましょう!」
「これこそ食事なのだ! 食事とはこうであるべきなのだ! 野蛮においしく食べまくるのだ!」
 裸で言うと説得力がある。

 しかし、スタート時はほぼ横並びに食べていたのだけど、十分後にはかなり違いが出てきた。

 私はひたすらイノシシ肉なので飽きてきたのだけど、残り二人はむしろ速度がアップしていた。

 かなり巨大な鉄板で焼いているのだけど、それでもひっきりなしに次の肉が置かれている。
 焼く、食う、焼く、食うを永久機関のごとく繰り返している。

「うまい、うまい、うまいぞ!」
「いいですね。生きているという気がしてきます! 体中に元気が湧いてきます!」

「テーブルマナーなど、人間のマナーなどどっかに行け!」
「決して高級な味ではないのですが、こんなに楽しい食事はそうないでしょう!」

 ああ、ドラゴンって、やっぱりドラゴンなんだなと感心した。
「食べることとは生きることなんですね、姐さん」
 私の横にロザリーが並ぶ。

「ロザリーは食べられないのに、見せつける感じになってごめんね」
「いえ、いいんです。こんなに輝いてるライカの姉貴を見たことってなかったですし。いいもの見れました。それに幽霊って、食欲がないんで、とくにつらくないですよ」
 言われてみれば、そうか。生存に必要がないなら、食べたいという欲望も生まれないよな。

「憑依して、ちょっとだけ食べてみる? ここ、川あるし多分、川に入れば脱出できるから。あと、最初から全裸な人間がいるから、服も濡れないし」
「じゃあ、許可が出ればちょっとやってみますかね」

 なお、ロザリーの食べた感想は「獣の味ですね……」というものだった。あんまりお気に召してないな……。
 そのあと、フラットルテに入ったロザリーは、川に入って、無事に抜け出た。

「体が水で冷えたから食べてあっためるのだ!」
 また、おっぱい揺らしながら、肉をかじりついた。
 なんかよくわからないけど、説得力がある。

 ライカも負けじと肉を咀嚼していた。炭水化物は必要なし。肉のみを食べる。
 私は肉のほうは量があるのもあってきつくなってきたけど、見てる分にはロザリーと同じく面白かった。

 そして、この光景に満足している理由に思い当たった。

「私、こういう女子会をしたかったのかもしれない……」
 生前の女子会はほどほどに洒落たお店やカラオケボックスの部屋でわいわいやるものだった。少なくとも、私が経験した中ではそうだった。

 女子しかいないので、そりゃ気楽ではある。異性の目を意識する必要もない。
 けれどね、他人の目はやっぱりあったんだよね……。

 お互いに話題などにも気をつかいつつ、自分がすごいとか偉いとかいう情報をさらりと出して、マウンティングとろうとするような動きがあった。水面下での女の戦いみたいなものがあった。

 別に全員が同じ会社というわけでもなかった。けっこう、職場もばらばらだから、ステータスみたいに数直線上に並ぶわけでもなかったし、そもそも競い合う必然性もないはずだった。

 それでも、自分のほうが幸せですアピールしたりする奴がかなりいて、それって空しくないかとよく感じたものだ。

 ここにはそういうのがない。本当にイノシシ焼いて食ってるだけでしかない。約一名、服すら着てない。

 社畜時代もこういう女子会ができたら、ストレスももっと減っただろうし、楽しかったんじゃないかな。

 そんなことを考えていると、周囲の偵察に行っていたロザリーがあわてて戻ってきた。

「姐さん! 人が来ます!」
「えっ? フラットルテがいるのに!」
「いえ、ただ、知ってる人です」

 ベルゼブブがヴァーニアを抱えながら、飛んできた。

「おぬしら、何しとるんじゃ……?」
「ええと、肉焼いてます」

「これを届けたほうがいいと思って来たんです」
 ヴァーニアの手には流されていったフラットルテの服が!
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