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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

イノシシ焼肉編

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109 裸じゃないから恥ずかしくない

 私とドラゴン二名、それに斥候役の幽霊ロザリーは森へと分け入っていった。
 なお、ライカとフラットルテは人間の姿だ。ドラゴンになって森を凍らせたり、焼いたりしても根本的な解決にならないからね。

「ああ、これはイノシシが繁殖する理由もわかりますね。道が険しくて悪いです。人が使いづらい分、イノシシには安全で増えていったんでしょう」

 ライカの感想は正しいと思う。森の中の道は獣道と大差ないようなもので、一歩間違うと、ただの森の中に入ってしまう。
 しかも、ツタやらクモの巣やらも容赦なく広がっていて、鬱陶しい。

「私たちの能力が高いからまだマシだけど、普通の冒険者なら嫌だろうね……」
「お肉、お肉♪」

 そんななか、フラットルテだけが異様に張り切っていた。どれだけ肉が好きなのかと思うけど、それだけお肉ほしいってことは健康な証しなのでいいんじゃないだろうか。

 私がOLしていた頃は、やれビーガンだ、やれロハスだといったよくわからない言葉が流行していて、多少、反発していたことを覚えている。

 どうも、ああいうのは食事をファッションにしてる印象があって好きじゃなかったんだよなあ……。大食い対決みたいなのも、食事で遊んでる印象があったけど、しっかりたっぷり食べることは悪くはないと思う。個人の感想です。

 ロザリーは先に木をすり抜けて、先に何があるかを調べてくれる。今回の作戦にはなくてはならない存在だ。しかし、幽霊として存在し続けるって、ある意味最強のチートなんじゃないか?

「だいたい、見えてきました。まっすぐいけば、途中で下り坂になって、谷川に到着します。姐さんも姉貴たちもこのまま向かってくだせえ! 敵の数は川に十五ぐらいです」

「十五体のイノシシ……よーし、やるぞ! やるのだ!」
 フラットルテのやる気は更に加熱したらしく、森の中を突き進んでいく。

「単独行動は慎んでください!」
「ライカ、ここは野性の本能を呼び覚ます時だ! 止めてくれるな!」
 フラットルテの言葉がライカもわかるらしく、それ以上何も言えなかった。

 とはいえ、蔓やら枝やらは行く手をさえぎるので――
 下り坂になったところあたりで、フラットルテは枝に引っかかっていた。

「もがいたら、かえってがんじがらめになった……。伸縮性があるから、なかなか切れないのだ……」
「ほらほら、強引に突っ込んでいっちゃうから……」
 私はフラットルテの枝を外していく。ドラゴンにでも変身すれば問答無用で引きちぎれるだろうけど、そういうわけにもいかないだろうしな。

「あぁもう! 服のせいで引っかかったのだ。というか……野性の本能が強くなってきて、これが邪魔になってきたのだ……」

 そう言うと、フラットルテはその場で着ていた服を脱ぎだした。
「ちょ、ちょっと! あなた、何やってんの!?」
「あなた、乱心しましたか?」
「あ、そうか、生きてると服って脱げるんですね~」

 ロザリーだけ的外れな感想を言っているが、なかなかの異常事態だった。いったい、どこに森の中で裸になろうとする女子がいるだろうか。

「ご主人様、悪いですが、ブルードラゴンは、当然ドラゴンの時は服など着ていません。なので、どうも服というのが鬱陶しいんです……。イノシシを食べるという言葉に魅せられて、とにかく野性に帰りたくなってきました」
「それはそうかもしれないけど、女の子がはしたないでしょうが!」

 会話の途中にも脱衣は続いて、フラットルテは下着だけになっていた。この子もたいがい問題児だな!

「ご安心ください。どうせ、こんな森、誰もいませんから。裸と知られないなら、服を着ていることと同じです」
 なんだ、その超論理!
 あと、そういうフラグじみた発言、しないほうが安全だと思う。

 ついにフラットルテは下着も脱いで、投げ捨てた。

「自由だーっ! 自由だぞーっ!」
 そのまま斜面を駆け下っていく。落ちているのか走っているのかよくわからない光景だった。

「行っちゃった……」
「すいません、アズサ様、ドラゴンを代表して謝っておきます……。あの人、昔から突発的に行動することが多いんです。なんかレッドドラゴンとケンカしたい気分だからケンカするぞなんてことでやってきたことも多いですし……」
「ちょっとわかる気がする」

 結婚式襲撃の時も綿密な計画なんてなかったように見えたしなあ……。

「基本的に、あほなんです……。でも、行動力だけはあるんで、ブルードラゴンを束ねたりもしてたらしいんですけど、絶対行動力だけでリーダーみたいな役目を決めてはいけないと思います……」
「それは同意するよ」

 まあ、ロイヤリティー的にほかにイノシシ退治をしようとしてる冒険者もいないはずだし、ラッキースケベなんてことも起こらなくはあるはず。というか、遭遇した冒険者はむしろビビるだろうな……。裸の女子が走ってきたら、何事かと思うだろう。

「この先もまあまあ急斜面なんで、姐さんと姉貴はゆっくり下りていってください」
「うん、ロザリー、私たちはマイペースでいくよ」

 そのまま、ゆっくり森を下っていくこと、十五分。

 なぜか前方からフラットルテが泣きながら戻ってきた。
「川に出たら、人がいて、裸見られた……」
「ほら、だから服は着ておきなさいって……。変なことはされてないよね?」

「女性だったみたいなんで、そこは大丈夫です。何事って顔してました」
 むしろ、相手のほうこそ災難だったかもしれない。

「服は持ってきています。ここで着てください」
 ライカが服を渡した。こういうところは、本当にライカは面倒見がいい。

「あ、ありがと、ライカ……。恩に着る……」
「恩じゃなくて、服を着てください」

 そして、フラットルテは下着を身につけると――
「よし、これで恥ずかしくないぞ! あとは持っててくれ」
「はい?」
「また、川に行ってくる!」
 すぐに背中を向けて走っていく。

「ライカ、追いかけるよ。このままだと露出魔のグループだと思われる!」
「たしかに……。服を着させましょう!」
「こっちは幽霊だから、いくらでも加速できます!」

 私たちは川を目指して、木々の間をダッシュした。
新しいあほの子が出現しました。新年一発目からこんなのでいいのか……。今年もよろしくお願いいたします! 14日頃に書籍版がGAノベルさんより発売になります! よろしくお願いいたします!

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