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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

イノシシ焼肉編

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108 イノシシを狩りに

 私はナタリーさんを家の中に迎え入れた。
 珍しい客人にちょっとシャルシャは驚いた顔をしていたけど、みんなお行儀いいから問題ない。

「はい、じゃあ、ナタリーさん教えてください」
「ここの州ではなくて二つ先の州なんですが、そこにニルカの森という森がありまして」
「はいはい」

 その地名を聞いたシャルシャが部屋に戻っていったので、何か地誌みたいなものでも持ってくるんだろう。シャルシャの部屋はかなり本が多い。この世界は本が貴重だから、下手をすれば、それだけ一財産になる。

「そのニルカの森にはロングハンマーイノシシという種類のイノシシがいるんです」
「どっかで似た名前を聞いたことがあるな……。ああ、ロングスピアーイノシシってモンスターを倒したことがあるや」
 たしか、ライカのお姉さんの結婚式に行く途中だった。

「ただし、今回のロングハンマーイノシシというのは獣です。魔法石を落としませんから。頭の部分が長く硬くなって、これで頭突きして敵を仕留める習性があるんです」

 そういう獣がいても、なんらおかしくはないな。

「このロングハンマーイノシシが最近増えすぎまして、地元の冒険者でも手に負えないそうです。それなりに熟練の冒険者でもてこずるとかで……。数が多くて、すぐに囲まれたりして危機的な状況になるんだそうです」

「数が多いとそういう問題があるらしいね。私はあんまりわからないけど」
 冒険者から聞いた話だと、一対一ならたいしたことないモンスターでも、囲まれてしまうと一転して脅威になるという。

 そりゃ、一つ一時間で終わる仕事でも一日に十五個出されたらシャレにならないもんな。社畜時代はそういうこと、平気でされたからな……。定時で帰らせるという前提がどこにもない。

「でも、冒険者ギルドがあるんだし、求人依頼出せば済む話じゃないの?」
 言っちゃ悪いけど、こんな程度のことで私たちを頼られると体がいくつあっても足りなくなる。絶対にその程度の獣、倒せる冒険者はいるだろうし。

「実は……ニルカの森近辺は人口も少ない村でして……たくさんの冒険者を雇えるお金が全然ないんです……。数人にならかなりの額を出せますが、何十人も必要な規模となると、とてもとても……」

 頭数がいるけど、それを確保するほどのお金はない。田舎のつらいところだなあ。

 そのあたり、行政がどうにかしてよと思うけど、この時代の価値観だと、「じゃあ、村を捨ててほかに移ってください」とか全然言い出しかねないし、小さな村のためにお金もつぎこんでられないというのもわからなくもない。


「数の増えたロングハンマーイノシシは人間の居住圏にも顔を出しつつあります。このままだと、本当に村を放棄しないといけない事態にもなりそうなんです……」

 あわてて来たのはそれか。早く手を打たないと、村が危ういんだ。

「救援依頼がうちのギルドにまで来まして。それで、高原の魔女様ご一行なら数人であっという間にロングハンマーイノシシを駆逐できるのではないかと……」

 はっきり言って余裕でできると思います。

 村が滅ぶのを自分の力で止められるなら、止めてあげようか。それでこっちがすごく困るってこともないわけだし。

「そういうことなら、わかっ――」
「うん、やってやるぞ!」

 私の声をさえぎって、フラットルテがノリノリで答えていた。

「一分に一匹以上のペースで狩ってやるぞ。ドラゴンの姿をとらなくても、それぐらいならいけるしな」
「フラットルテ、あなた、やけに乗り気だね……。いや、全然問題ないけどさ」

「ご主人様、これは自分たちのためにあるような依頼だと思ったんです!」
 まだ、いまいち意味が飲み込めなかった。

「このイノシシはモンスターじゃないんですよね。ということは倒しても魔法石にはならず、死骸が残るってことです」
「うん、自然の摂理としてはそうなるね」

「つまり! イノシシ肉食べ放題じゃないですかっっっ!」

 ガタッ! ライカまで思わず立ち上がっていた。

「それだ! それならとんでもない量になりますね!」
「久しぶりに胃袋を楽しませることができるのだ! ここは行くしかないのだ!」

 こんなにドラゴン二人のテンション高いの初めて見たかも……。
 浮いた話のない一家だけど、ほんとに色気より食い気だな……。

「イノシシの肉って臭そうだけど、いい調理法とか知ってるの?」
 ああいうの血抜きを上手くしないといけないんだよな、多分。

「ご主人様、ドラゴンとしては獣の臭みがあるのはそれはそれでいいんです!」
 ドラゴンの世界も奥が深いな……。



 私たちはドラゴン化したライカとフラットルテにそれぞれ乗って、ニルカの森に向かった。
 村のほうに説明も入れないといけないので、ナタリーさんにも来てもらう。ナタリーさんはドラゴンに乗るのが初めてだったから、おっかなびっくりだったけど、だんだんと慣れてきたらしい。

 けっこう肝が据わっているというか、荒くれ者の冒険者の相手をしている職業だと、それぐらいの度胸もつくのかもしれない。

 まず、村に降りて、そこで村長さんにあいさつして、ロングハンマーイノシシの出没場所をチェックする。

「森の中に小さな川がありまして、そこに水を飲みにイノシシたちはよくやってくるようですじゃ」
「川辺で焼肉……よさそうですね……」「川辺で焼肉、オツなものじゃないか」

 ドラゴン二人がよだれでも垂らしそうな顔になっていた。

「それじゃ、ちょっと行ってきます。でも……安全面を考慮して、ファルファ、シャルシャ、ハルカラは残ってて」
 イノシシといっても、それなりに凶暴だからな。もしもってことがある。

「お師匠様、わたしは森に入ってキノコ採取をしたいんですが……」
「ハルカラの気持ちもわかるけど、ここは自重して」

 悪いけど、イノシシに囲まれてピンチっていう未来しか見えない。
次回は1月1日の更新予定です。来年もよろしくお願いいたします!
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