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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ドラゴンが来た編

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10 弟子は意識高い系

日間1位、本当にありがとうございます! もう感謝の言葉しかないです!
「私、そういうの、ずっと気になるタイプだからほのめかさずにすぐに教えて」

「この村、すごく防御の面で弱いんですよ。それこそ、悪い魔法使いが一人でも来たら、あっという間に火の海にされますね」

「いや、まあ、そんな最悪の事態を想定したらどうしようもないでしょ」

「でも、それだけじゃないんです。地上からの攻撃にも何の対策もとれてないですね。これ、大型のモンスターが暴走してきたらすぐに村の中に入ってきますし、人間同士の争いでもやっぱりすぐに制圧されます」

 ライカはやっぱりドラゴンだからか、かなり戦闘のことに重きを置いて物事を見ている気がした。

「もちろん、それはこの村が平和だったことの裏返しだとは思います。しかし、これからもずっと平和とは限りませんから」

「か、考え過ぎじゃないのかな……」

 これまで三百年生きてきたけど、この村って重要な拠点とかではないので、戦乱になってもあまり問題視されないとは思うのだ。

「ですが、アズサ様が最強ということが広まってきたのはここ最近のことですよね。たとえばですが、この村を人質にとってアズサ様を倒そうとするような卑劣な輩が出てこないとも限りませんよ」

 それからライカはこほんと咳払いして、少し顔を赤らめて、

「当然、我はそんな卑怯なことをせずに正々堂々とアズサ様と戦いましたがね……」

「うん。そこは筋が通ってたね」

「それでも、今後とも同じようにいくかはわかりません。偉大な魔女の話題はこの村から丸二日以上離れている我の山にまで届いたのですから」

「たしかになあ……」

 私が原因で村が被害に遭うようなことは絶対に避けないといけない。そんなこと認められるわけもない。

「じゃあ、村に引っ越す? せっかく家を新築したのに、すぐに引っ越すのも嫌だな……」

 そもそもセ◯ムじゃないんだから、二十四時間警備することなんてできない。

「手を打つことはできると思います」

「どうやって?」

 弟子に聞くのも恥ずかしいが、こっちは強いことがわかってから一か月も経っていない。新人研修の期間ぐらいだからやむをえない。

「魔法で結界を張りましょう」

「そんなことできるの? 私の魔法の中にはそんなものないけど」

 私の魔法は下記の通りだ。

瞬間移動・空中浮遊・火炎・竜巻・アイテム鑑定・地震・氷雪・雷撃・精神支配・解呪・解毒・魔法反射・マナ吸収・言語理解・変身・魔法創作

 結界に関するものは入ってない……はず。

「魔法創作というのがありましたよね。それで結界を自作しましょう」

 自作! そんなのもあるのか。
 DIYなのか。魔法も自作する時代なんだな。

「魔法ってそんな簡単に新たなものを作れるものなのか。汎用性高すぎる」

「普通はそんなことできませんよ。そもそも魔法創作という魔法自体が超高度なものです」

 さすがのレベル99ということらしい。

「これまでに存在したことのないような魔法を作ることは極めて難しいですが、都市を守る結界であれば可能だと思います。明日にでも試してみましょう」

 こう考えると、弟子をとって正解だったかもしれないな。

 私達は村の料理店『冴えた鷲』で食事をした後、新築の家に帰った。



 翌日。
 私とライカは村を見下ろせる高台の丘にやってきていた。
 やってきていた、というか我が家のすごく近所だ。

「このあたりなら全方位を覆えそうですね」

 そこでライカはドラゴンの姿に戻ると、地面を鋭い爪で引っかきだした。
 たしかにこういう時は大型のドラゴンになったほうが効率がいい。

「こんなところを耕して畑でも作るつもり?」
「違います、アズサ様。これは魔法陣を描いているんです。長期的な効果がある魔法は魔法陣を描いたほうが確実ですから」

 まともに魔法を使い出して一か月である私でもそれぐらいは魔導書を読んでいた。

 攻撃魔法のような効果が一時的な魔法は詠唱や場合によっては無詠唱でも使用できる。
 つまり、その時に出ればそれでいいという魔法だ。毎日、炎が飛び出る火炎の魔法なんてものは必要ない。

 しかし、今回の結界みたいな長い時間、有効でないとダメなものに関しては魔法陣を使って唱えてやったほうがいいのだ。
 魔法陣がないと失敗すると決まっているわけではないが、半年もつ効果が三日で終わったりする。

 自分が実際にいろんな魔法を使うという意識がなかったので、細かい魔法陣の描き方までは暗記していないが、ライカが防御系に典型的な六角形を描いているから、これで合っているのだろう。

「しかし、ドラゴンって魔法にも詳しいんだね」

「三百年も生きていると、だらだらするのももったいないじゃないですか。それでついつい自分を高めるために使いもしない魔法の勉強もしていたんです」

「意識高い系か!」

 自分を高めるなんて発想はもってなかった。
 社畜をしていると、むしろ、のんびりと過ごすほうが人生にとって大事だというマインドになるのだ。実際、会社のために働き続けると自分を高める余裕なんてないしな。

「ですが、今になって考えると、その時間を使ってひたすらスライムみたいなモンスターを倒し続けるべきだったかもしれないですね。どこかで慢心して経験を積むことを怠っていました」

「たしかにそれなりに強くなったら、戦う気も起こらないよね」

 人間の冒険者にしてもそうだろう。
 レベル50とかの冒険者がスライムをちまちま倒すとは思えない。おそらくドラゴンみたいな大物とだけ戦うはずだ。
 しかし、そんな大物との戦闘は滅多に起きるものではない。

 結果、レベルはある程度のところでストップする。
 あと、年齢的な活動期も普通はたかが知れているので老いとともに衰えていく。

 その点、私は十七歳の容姿だから経験が純粋に蓄積されていったのだろう。

「さて、魔法陣のほうはできました」

 たしかにドラゴンでないとこんなサイズの魔法陣は作れないな。

「これ、私が中央に立って、詠唱をすればいいのかな?」

 例外的な魔法を除けば、それで発動はするはずだ。

「それでいいと思います。師匠らしいものすごくかっこいい詠唱を考えてください」

 弟子が無茶振りを要求してきた。

 どういった結界にするかは事前にライカと話し合って決めていた。

 なかなか高度なものだが、レベル99なのだからきっと上手くいくはずだ。

「悪しき心を持つ者よ、この網にかかりて自由を奪われるがよい。この網は意思持つごとく、お前に降りかかるだろう……ハッ!」

 私の全身から力があふれるような感覚が起きて、黄金色の光が村のほうに飛んで、村を包んで――ぱっと消えた。

「これで成功?」

「アズサ様が願いを込めたものが村に飛んでいったのだから大丈夫です」

 弟子が大丈夫と言ってくれたのできっと大丈夫だろう。

 これで村の平和が保たれるなら、私もうれしい。

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