挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

イノシシ焼肉編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

109/280

107 肉が食べたいドラゴン

今回から新展開です。よろしくお願いします。
 ファルファが戻ってきて、高原の家には久方ぶりの平穏な日々が復活した。

「はい、今日はわたし特製のサラダですよー。ゴマドレッシングをかけて食べてくださいねー」
 ハルカラの作った野菜サラダをみんなでばりばり食べて朝食代わりにする。
 やたらと長命な一家だが、さらに健康にも気をつかっているのだ。

「う~む。野菜は美容にもいいのですが、たまにはお肉をしっかり食べたいですね」
「そこはライカに同意見なのだぞ」

 ライカとフラットルテがドラゴンらしいことを言った。

「たしかにドラゴンはこれだけだとおなかすきそうだね」
「そうです、ご主人様。ドラゴンは肉をかっ喰らってこそです。これでは痩せてしまいます」

 フラットルテは基本的にライカより大食いなので、余計に味気ないのだろう。

「なんか、わたしの作ったサラダがディスられてる気がして悲しいですね……」
 ハルカラがちょっと寂しげな顔をしていた。エルフのハルカラとしては菜食主義はごく普通のことなので、それで文句を言われても困るのだろう。

 一方でそんな私たちを天井のあたりから見ながらロザリーが、

「生きてると食べることでもいろいろと考えないといけないんですね」

 と、純粋なる観察対象みたいに興味深くうなずいていた。それって、釣りをまったくしない人が釣りで盛り上がってる人たちを横目で見てるような感覚なのだろうか。

「とにかく、サラダはサラダで独立した料理なんで食べてくださいね。お肉なら今度わたしが当番の時に、鶏肉でも買ってきますよ。フラタ村と違ってナスクーテ町なら、味のいい種類の鶏肉も売ってますし」

 ハルカラはナスクーテ町の工場を経営しているため、町のお店にも詳しい。

「いや、違うのだ。鶏肉では、なんかこう、弱いのだ」
 フラットルテはわかってないなあという顔をしている。

「これに関してはこの人の気持ちもわからなくもないですね」
 ライカは控えめな表現を使ったが、つまり、フラットルテに同意しますと言ってるのと一緒だ。ドラゴンにならないとわからない機微みたいなのがあるのかもしれない。

「つまり、鶏肉はしょせん鳥なのだ。鳥では食べた気がしないのだ。ほら、さっぱりしすぎているのだ」
「そんなこと言われても、わたしの住んでた土地だと鳥か、せいぜいシカぐらいしか狩りをしませんでしたしね」

「あ~、シカか。それはちょっと惜しい。とにかく、もっと獣という感じの肉でないと食べた気がしないのだ。食べた気というか、生きてるって気持ちにならないのだな。野菜サラダではお行儀がよすぎる。もっと食べる楽しみに忠実であるべきじゃないか?」

「私もフラットルテの言ってることがだんだんとわかってきた」

 これはあれだな、男子高校生が部活の打ち上げに焼肉食べ放題の店に行く的なやつだ。
 まあ、女子高生でもいいけどね。運動部の女子高生は超食べるし。

「はっきり言って肉ばかり食べたら健康には悪いんだよ。栄養バランスも問題あるよ。しかも、おなかいっぱいになるまで無理して食べたりすると、もっと悪いよ。けど、あえてそういう暴飲暴食をしたい時がないと言えばウソになるんだよね。野蛮になりたい欲求があるっていうか」

「さすがご主人様! ドラゴンの気持ちをよくご理解なさっています!」
 フラットルテに褒められた。ドラゴンの気持ちじゃなくて高校生の気持ちしか理解してないけどね。部活やってる高校生=ドラゴン説誕生。

「ファルファはお肉も好きだよー!」
 ファルファ元気よく手を挙げて、シャルシャもその横でこくこくうなずいていた。娘二人はスライムだからなのか、割となんでも食べる。

 もしかすると食べ物じゃないものすら食べられる可能性があるけど、どうやら二人は試したことはないらしい。私も娘を実験台にするのは問題だと思ってるので、やったことはない。

「ですが、獣の肉はこのあたりでは調達が難しいですね。野性の獣なんてそんなにいませんしねえ」
 ライカがどうしたものかなと首を傾げた。
 そうなのだ。この近辺の高原は平和すぎる。

 もっとも、これは私の自業自得なところもある。
 転生する時にのんびりしたいと要求したからモンスターも獣も弱いエリアで生まれ変わったというのは自然ななりゆきなのだ。

「移動自体はライカやフラットルテに乗っていくという方法ができるし、獣が多い土地でも調べてみるよ。それで納得して」
 落としどころとしてはこんなものだろう。せっかくだし、ピクニック感覚で行ける場所でも探しておこう。

 ――と、とんとん、とんとん。やけにやさしいノック音がした。この音からして、九割がた女性だな。あるいは朝だし、まだ寝てるかもと思って遠慮気味なのかも。

 扉を開けてみると、ナタリーさんがそこにいた。

 ナタリーさんはフラタ村のギルドの職員さんだ。
 私の一家は生計をスライムを倒した魔法石に頼っているので、換金場所のギルドのナタリーさんのこともよく知っている。
 単純な儲けだけなら、ハルカラの工場のほうが圧倒的に多いけど、これは原則ハルカラの独立会計にしている。

「あれ、ナタリーさんが来るなんて珍しいね。今日はギルド勤務はお休み?」
「いえ、今の時間なら出勤前に間に合うなと思って、直接来たんです。そこそこ急ぎの用だったので」

 たしかに換金は週に一、二回まとめてやったりするので、長い時は一週間顔を見せないことだってある。

「何? 私のところに来るってことはおおかたモンスターを倒せとかってこと?」
「厳密に言うと、モンスターではなくて野生動物なんです……」

 そんな危ない動物なんているのかな。

「とにかく、あがって。せっかくだし、家族全員に伝えてほしいし」
 私はナタリーさんを家の中に迎え入れた。
書籍の発売まで1か月切りました。こちらもよろしくお願いします! GAノベルさんから1月15日頃発売です!

20161213_slaim_syoei01.jpg
GAノベルさんより発売中です! 5巻は2018年1月15日発売! 1巻は10刷を達成いたしました! ↑をクリックしていただければ紹介ページに飛びます!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ