挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ファルファ、スライムに戻る編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

105/280

103 決戦の決着

 けど、これでベルゼブブが至近距離に来た。
「さあ、こっちも行くよ!」

 私も踏みこんでいく。
 グーパンチをベルゼブブの肩あたりに狙う。
 女子の顔を殴りに行くのは、大会とはいえ避けたいんだよね……。回復魔法で傷は癒せるのかもしれないけど、抵抗はある。

 ベルゼブブはそれを手で受け止めてきた。
 バアァァァンと大きな音が響いて、会場がどよめく。
 それも気にせず、同じようにグーパンチを続ける。

 また、大きな音がいくつも鳴った。

「くそっ、手で受けるだけで、とんでもない音がするのう……。痛くて、痛くてたまらんわ……」
「まだまだ行くからね! それにしても私のパンチも止められるんだね」
「わらわだって、この日のために修行してきたのじゃ! 勝つつもりでやってきておるのじゃ! 雨の日も風の日も仕事の後に走り込みとかしてたのじゃ!」

 初耳だぞ、それ!
 そんなに雪辱を果たすために気合い入れてたのか。会ってる時は全然そんな感じもしてなかったけど。

「よーし! わらわも負けぬのじゃ!」
 ベルゼブブもパンチやキックを繰り出してくるが、自己流で手や足でガードする。

「あなた、いい太腿してるね」
「変なことは言わんでいい!」
「おぬしは細腕のくせに、やたらと頑丈なのじゃ! なんか卑怯じゃぞ!」

 そんなこと言われても、そういうものだから仕方ない。

 会場からは思った以上の歓声が聞こえてきていた。
「すごいぞ! 技と技の応酬だ!」
「どっちも一歩も引いてねえ!」
「高原の魔女に10万ゴールド賭けてんだ!」

 だから賭博するなよ!

 こちらとしては適当にケンカしてるぐらいの気持ちなんだけど、観客から見るとガチなものに見えるらしい。もしかして、高速で防御したり攻撃したりしてるんだろうか。

「それにしても私と互角でやれるってことは、ベルゼブブも超強いんじゃない?」
「当たり前じゃ! わらわも魔族の幹部じゃぞ! 強いに決まっておるじゃろうが! 人間が戦えるほうがおかしいのじゃ! お前以外の人間にならもうとっくに勝っておる! そもそも手足で防げるわけないのじゃ!」

 そっか。ベルゼブブがしょっちゅう来るからそのあたりの感覚が麻痺していた。魔族ってそんなに近所にいないよね。

 にしても、これ、弱ったなあ……。
 顔を攻撃しないように戦ってたら、戦闘が全然終わらないぞ。
 肩とか攻撃しても、それぐらいじゃ戦闘不能にできないものな。

 どうやって終わらせようかな。せめて気絶させないと。

 じわじわとベルゼブブの息が上がりはじめているのはわかった。
「はぁ、はぁ……なんちゅう堅いガードじゃ……。こっちはかなり全力で攻めておるんじゃぞ? 手など抜いておらんぞ!」

 体力に関しては私のほうが上らしいな。とくに疲れてきたって感じはないし。
「これ、私の優勢勝ちにならないかな?」
「そんなの認めぬぞ! だいたい時間切れなんてルールはないからのう!」

 ずっと続くのは嫌だな。腕をキメればいいのかな。でも、キメ方なんて知らないしな。

 じゃあ、柔道の技――大外刈りしか知らない。寝技とか今度勉強しておこう。
 ひとまず、このままなら負けそうにないし、守りに入ろうか。
 顔を殴るぐらいなら、足を攻めるかなあ。ギブアップって言わないといけないような展開に持っていくかなあ。

 ――だが、そこで最高の応援が耳に入った。

「ママー! 頑張れー! 負けるなー!」
 ファルファが手を振り上げて、エールを送ってくれていた。

「なせばなる。なせばなる」
 シャルシャは地味な応援だな……。でも元気はちゃんと受け取ったよ。

 ほかの家族たちもみんな、こちらの勝利を願うように祈ってくれている。
 フラットルテなんて声をらしながら「勝ってくださーい!」と張り上げている。

「ママがファルファのためにずっと走り回ってたの、スライムの体で見てたよ! ファルファすごくうれしかったよ! だから恩返しのつもりでたくさん応援するね!」

 戦闘だから、声は出さずにおくけど――本当にありがとう。

 よくあんまり応援されすぎると、かえってプレッシャーになるっていうけど、ちゃんと力になってる気がする。

「ベルゼブブ、悪いね。娘たちに応援された以上、かっこいいところを見せないといけなくなった」
「な、何……?」

 私の体に気合いがみなぎる。
「今の私は、二段階進化ぐらいしたよ!」
「何を訳のわからんことを言っておるのじゃ! 姿も何も変わっておらんではないか!」
 それは、まあ、角が生えてくるわけもないし。

「一発くらい入るのじゃー!」
 ベルゼブブは焦っていた。ここまで一撃も効かないと思わなかったんだろう。
 ここがチャンスだ。私もそれと同時に踏み込む。

 狙うはカウンター!
 最初は警戒してたはずだけど、だんだん防御が散漫になってきてるぞ。

 まずはベルゼブブの拳をぎりぎりで避ける。
 それと同時に自分の体重を前にかける。一時的に自分の防御は無視する。攻撃のみに専念する!

 私はベルゼブブの顔を下のほうから右手で強く張った。
 脳を揺らす感じで。

「いけーっ!」

 こういうのって掌底と言うんだろうか。
 私の右手がベルゼブブのあごあたりに入った。
 ぐらっとベルゼブブの顔が揺れた。

 そのまま、ぐたっとベルゼブブが倒れた。
 今日一番の歓声が響いた。地鳴りかと思うほどだった。

「どう? こういうことをすると脳震盪しんとうになって気絶するって聞いたんだけど」

20161213_slaim_syoei01.jpg
GAノベルさんより発売中です! 5巻は2018年1月15日発売! 1巻は10刷を達成いたしました! ↑をクリックしていただければ紹介ページに飛びます!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ