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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ファルファ、スライムに戻る編

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102 娘が復活したからママも精一杯やります

 ベルゼブブに引っ張られて上がってきたのは――

「ママ! ファルファ、復活したよ!」

 私の愛する娘だった!

「ファルファ! ファルファ! ファルファ! その姿に戻れたんだね!」
 私はすぐに走って、ラグビーでトライでもするみたいに娘に抱きつきにいった。

 スライムの時とは違う、ファルファのあたたかさを感じた。感触ももちろん、全然違う。

「うん! ブッスラーって人のおかげで元に戻れたの!」
 ベルゼブブがしてやったりという顔をしていた。そうか、このタイミングで発表するために黙っていたんだな……。

 家族席のほうを見たら、ハルカラたちが手を振っていた。私はまんまと騙されたってことだろうか。どんなにチートでも、人の心を読む能力まではないからね。

「なるほどね。ハルカラ、なかなか粋なことするじゃない。すぐに教えろって気持ちもなくはないけど、時間的には誤差の範囲だろうし、許してあげる」

 観客席は何が起きてるかよくわかってないようだったが、おめでたいこととは感じているようで、「よかったなー!」なんて声は飛んできた。

 それと同時に「アズサって子、あんなに大きな娘が……」「ショックだ……」なんて声も。
 いや、見た目は十七歳だけど、そんなアイドル的な何かの要請には応えられないよ……。

「ママ、頑張ってね! ファルファも応援するからね!」
「その言葉でママのやる気ゲージは吹っ切れたよ」

 今、ここに戦闘力を測定する器具とかあったら、きっとぶっ壊れる。

「じゃあ、ママが勝つのを安全なところで見ててね」
 名残惜しいけど、ファルファから手を離した。
 それから、首謀者のほうに目をやる。

「ベルゼブ……ベルゼ、あなた、私に塩を送りすぎたこと、後悔するよ。これまでにない集中力で戦えるからね」
「じゃから、こうしたのじゃ。娘のことが気になって心が散漫だったなんて言い訳されたら困るからのう」

 なるほど、好敵手らしいことを言うじゃないか。

 ガチバトルをやろうじゃないか。魔法が使えないわけだから、純粋にガチバトルと言えるかはわからないけど、戦いの場としては悪くない。

 ファルファがステージから下りて離れていったのを確かめて、私はかりそめの構えをとる。
 その構えに意味があるのかはわからないけど、かっこをつけてみる。

 ベルゼブブも殺気みたいなのを発してきた。

 審判が試合開始を告げる。

 やってやろう。

 ベルゼブブの背中に羽が生えた。ハエの羽もビッグサイズならとくに汚くは見えない。
 もはや魔族であること隠す気ないだろと思うけど、魔法でないことは確かだ。ルール上は問題ない。

「羽がないと全速力で飛べんからのう!」

 ベルゼブブが猛烈な勢いでこちらにぶつかってくる。
 おっ、いきなり真っ向勝負か? じゃあ、カウンターを狙ってやる!

 といっても、私に格闘技経験はないから、カウンターがどういうものか厳密には理解してないけどね。殴ってきたら、こっちも同時に殴るぐらいの意識しかないけど。

 だが、ベルゼブブは私の真上をかすめて、そのまま後ろでぐるっと弧を描いた。

「正面からではおぬしの速度に勝てん! どこかで後ろをとる!」
「思いっきり、作戦言っちゃってる!」
「こんなの、作戦のうちにも入らぬ!」

 そういうものなのか。私としてはベルゼブブが近づいてきたら攻撃するというぐらいしかないんだけど。

 ベルゼブブは空を旋回しながら、隙を狙っているようだ。さあ、いつでも来なさい。

「くそっ……これは困ったのじゃ……」
「あれ、そんなに隙がないの?」
 実は素人の構えが決まってたりする?

「隙しかないのじゃ……。構えも無茶苦茶なのに、なんでこれで強いんじゃ……。ステータスのマジックじゃ……」

 せっかく期待したのに損した!
「隙だらけだったらすぐ来てよ!」
「隙というのは、たまにあるからそこを狙おうと思えるのじゃ。常に隙だけだったら、かえって攻めづらいのじゃ!」
 注文の多い対戦相手め。

 じゃあ、こっちから攻めるかな――と思ったけど、向こうが浮いてるからダメだな。
「あなたが来ないとと何もはじまらないから来て。むしろ攻めてくる時に攻めるって言ってよ。それまで待ってるから」
「……なんかバカにされとる気がするから、行くのじゃ!」

 ベルゼブブは手を引っこめて、顔を前に突き出して、急降下してきた。
 これは空気抵抗を最低限にするための策か!

 顔から突っ込んで下手をしたら、首の骨が折れるんじゃと思うけど、ベルゼブブならそんなに弱くはないんだろう。

「このまま吹き飛ばしてやるのじゃ!」

 これに対する私は――
 両手を伸ばして、待つ。

 ベルゼブブが来た時に思い切り、捕まえるっ!

 顔を両手で止めた。

「あぶぶぶっ! 顔はさむにゃ……」
「顔から入ってくるほうが悪いよ!」

 ずずずずっ。足がステージの後ろに下がっていくが、途中で止まった。

 体に大きな震動が走ったけど、吹き飛ばされることも気絶することもなかった。

「ぐっ……顔をはさむのはやめるのじゃ……」
 ちょっとベルゼブブは変顔みたいになっている。
「戦闘中だから聞かない」

 じたばたじたばたベルゼブブが解放されようと暴れだした。 
 私もむきになって、そのままホールドを続ける。
 妙な試合になってきたけど、こっちはこっちで本気だ。どうせなら私が勝つ!

「ぷはあっ!」
 ついにベルゼブブが私から離脱した。
「こんなわけのわからん防御をされるとは思わんかったわ……。やっぱり強すぎる素人というのは厄介じゃな……」
「いい試合してるんだから褒めてよ!」

 けど、これでベルゼブブが至近距離に来た。
「さあ、こっちも行くよ!」
盟友ベルゼブブとの戦いはどっかでちゃんとつけようと思ってました。

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