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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ファルファ、スライムに戻る編

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99 武術大会に出る

 そんな姉妹同士の愛情?あふれるシーンを見ていると、ベルゼブブがやってきた。

「ブッスラーが見つかったのじゃ!」

「よしっ! これで解決したも同然だね!」
「そうじゃな!」

 私は勢い込んで、ベルゼブブとハイタッチを決めた。
 あとはその武道家スライムにお願いをすればいいだけだ。

「ブッスラーは南部のケルネイという町で発見されたのじゃ」
「早速、ブッスラーさんに会いに行こう!」
「ライカに乗せてもらって飛んでいくよ!」

 しかし、そこでベルゼブブは顔を曇らせた。
「いや……それが事前にこちらのことも話したのじゃが……世俗のことには関わりたくないと言われての……。純粋に強さを追求したいそうじゃ……。自分は整体師でも何でもないし、そういうのはできないと……」

 いやいやいや、こっちだって藁をもつかみたい気持ちなんだから、それであっさり引き下がるわけにはいかない。
「世俗に関わるのは嫌って、町にいるってことは世俗の影響受けてるってことでしょ? それぐらいいいじゃないって思うんだけど」
「ちなみに、ケルネイという町にいるのは、武術大会に出場するためらしい」

「武術大会!」
 その言葉に、ちょっと胸がアツくなった。
 武術大会があるバトル漫画、子供時代にいくつも読んでいたせいだ。もちろん、少女漫画も読んでたけどね。

「ねえ、その大会ってまだ参加は受け付けてるの?」
「おぬし、それに出る気か……?」
 私はすぐにうなずいた。ほとんどベルゼブブが言い終わる前ぐらいのタイミングで。

「それでブッスラーさんより私が強いのを見せれば、向こうも話を聞く空気になると思うの。だって、そこに出場すれば同じ武道家でしょ?」
 もちろん、最終的なジャッジメントは向こうが決めることだけど、会話の機会程度はもらえるはずだ。

 むしろ、なんでベルゼブブがこんなに躊躇しているのかよくわからない。

「おぬし、それで優勝でもしてしもうたら、これまであまり知られてない地域でも名前が轟いてしまうぞ……。平穏に生きるというところから、またずれてしまうと思うが……」
「……あっ、そういうことか……」

 それはあるなあ……。
 しかし、娘のために代役を立てるのもおかしいし、ここは出るしかないだろう。

「私はやる! ファルファを元に戻すために!」

 ファルファのスライムがぴょんぴょんはねた。
 きっと、これは「ママ、応援してるよ!」みたいな意味だろう。そう解釈する。

「そうか、ではわらわも出場しようかのう」
「ベルゼブブが出ると魔族が来たってことでパニックになるおそれがありそうなんだけど……」
「大丈夫じゃ。謎の格闘家として参加する」



 こうして、私とベルゼブブはケルネイの町に行き、申し込み手続きをした。大会開始三日前だったけど、ちゃんと入れるあたり、けっこうゆるい。
「記入は気を付けるのじゃぞ。記入不備で一割以上の者が失格になっておるらしいからな」
「同人誌即売会の当落か」

 なお、優勝賞金は3000万ゴールドだという。なかなかの大金だ。
「あのさ、武道家スライムってお金目当てなんじゃないの……?」
「ありえんとも言い切れんの。武道家というと、そもそもお金を得る場所が限られておるからの」

 たしかに己の技を磨くだけではお金にならないよね。そうなると、どんどん商売人と違いがなくなるような気がするけど。

 そして、予選の日がやってきた。雨が降ってたら嫌だったけど、幸い快晴だった。

 会場はコロッセウムみたいなところだった。試合数が多いので、二つステージが用意されていて、それぞれのブロックを消化していくらしい。

 観客もずいぶん入りそうだが、予選段階では当然ながら、がらんとしていた。相撲で言えば、三段目ぐらいの客入りだ。

 まずは予選で、300人近い参加者をベスト16までしぼるという。今日はその16に残るまで勝つのが目的だ。

 控え室などはわかっていたことだけど、男率が高い。女子はかなりの少数派だ。こちらの見た目は十七歳のままなので、けっこうじろじろ見られた。
 居心地が悪いので、ベルゼブブと話をする。

「わらわもやけに視線を感じるわ……。男というのは正直な生き物じゃの……」
 ベルゼブブも私と同じことを感じていたらしい。なお、帽子をかぶって、魔族であることは誤魔化している。身元検査なんてないし、それでどうにかなったようだ。

「ちなみになんて名前で参加したの?」
「ベルゼじゃ」
 ひねりなしか。

「まあ、予選はザコしかおらんじゃろ。適当に殴っておけばよい。注意すべきことといえば、、魔法が禁止なのを忘れんことじゃな。失格になったら、あほらしいからの」
 そう、あくまでも武術大会だから、魔法の使用も武器の使用も認められてない。自分の体だけで戦わないといけない。

 だらだらと話をしていたら、私の番になった。
 対戦相手は身長二メートルぐらいある大男だった。スキンヘッドでよく頭が輝いている。

「ここはお嬢ちゃんが来るようなところじゃねえよ。あんまりケガさせたくねえから、棄権してほしいな」
 なかなか紳士な人らしい。
 好感度がほんのわずかに上がった。少なくともヒャッホーとか叫ぶモヒカンザコとは違う。

「出場するつもりはなかったんですが、娘がまた元気に野山を走り回れるために出なきゃいけなくなったんです」
「娘、だと……? その年でもう野山を走り回るような娘がいるのか……?」
 あっ、なんか変な誤解を受けてるんじゃ……。

「いや、私情をはさむのはナシだな。俺はこの大会でどうしても優勝しなければいけないんだ。でないと――」
「あっ! 倒しづらくなるので身の上話は禁止の方向でお願いします!」

 娘を救うのに手術代として3000万ゴールドがいるとか言われると困る!

「そうだな。まずは君を倒して幸先のいい門出にしよう!」
 スキンヘッドの人が迫ってきたので、あごにアッパーカットを決めた。

 その一撃でスキンヘッドの人は気絶した。
 うん、ぴくぴくしてるから死んではいないな。
 あんまり人を殴ったことないから加減がわかってなかったけど、これで大丈夫みたいだ。

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