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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ファルファ、スライムに戻る編

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98 武道家スライム捜索

「「寝違え!?」」
 こっち側陣営が声を揃えて、聞き返した。

 はっきり言って、かなりしょうもない理由だ。
 重い病気とか症状じゃないだけマシではあるんだけど、そんなありふれた単語が出てくるとは思わなかった。

「はい、本当に寝違えです。ふざけてはいませんよ」

 マースラは微笑みながら言った。この言い方だと、彼女もしょうもなく聞こえるという自覚はあったんだろう。

「このスライムさんは、普段は人の姿を取っていたはずなんですけど、その時に寝違えて体を痛めてしまったようなんです。体がちょっとこってましたから、それがわかりました」

「スライムもこるんだ……」

「そのせいで、人間の姿を維持することが困難になり、スライムの形になってしまったんですね。そして、産まれた時から人の姿だったために戻り方がわからず、このままになってしまっているようなんです」

 ファルファがスライムになってるところは、これまで見たことがなかったから、かなり妥当性のある答えだと思う。

「そ、それでどうすれば元のかわいいファルファに戻るんじゃ!?」
 ベルゼブブが食い気味に聞いた。

「このスライムさん自身が元の体に戻る体の維持の仕方を手に入れないといけませんね」
 さらっと言われたけど、特殊な方法っぽいぞ。

「そういう方法しかないのかのう? たとえば、おぬしが変化魔法をかけて、人の姿にするとかいう方法はとれぬのか?」
「うん、私もベルゼブブの方法ができないかって思った」

「理論上は可能ですが、変化魔法の効果が切れるたびに魔法をかけなおさないといけませんし、あくまでも変化魔法は姿を変えるだけなので、たとえば、しゃべったり、手で文字を書いたりするのに、訓練がいりますよ」

「でも、マースラさん、しゃべってるし、書いてるんじゃないの?」

「そのための訓練を十年以上やったんですよ。姿だけ変えても、あくまでも本人はスライムの体のままですから、これまでしゃべっていたようにしゃべることも書くこともできません。ワタシは二足歩行すらできるのに一か月かかりましたよ。よって、いろんな面で非効率的です」

 たしかに聞けば聞くほど、問題点が多いことはわかってきた。

「それと、変化魔法はあくまでもその人が思い描く姿に変えるだけですから、どこかで元のスライムさんと変わってることはありえます。背が以前よりやけに低いとか、表情が別のものだとか、そういうズレが出ます」

 言ってることはだいたいわかる。この世界には写真すらないから、きれいに元のファルファにすることは困難だろう。

「ワタシも百五十年前と比べて、全然顔とか頭身とか変わってますよ。ほら、画家がずっと絵を描いているうちに作風が変わってくるようなものです」
 あれか、連載漫画がコミックス1巻の頃と20巻の頃で、キャラの絵がかなり違って見える現象みたいなものか。

「ダメな理由はよ~くわかったのじゃ。それじゃ、どうするのが最善ということになるのか、そこを教えてくれんかのう?」

 ベルゼブブ、いつになく積極的だなあ。本当に娘二人のこと、愛してくれてたんだな。母親としてうれしい。養女にくれと言われると困るけど。

「はい、このスライムさん自身が型を覚えて、こうすれば元の姿になれると理解するのが近道です。つまり、魔法ではなくて、整形をするわけですね」
「その整形はどうすればよいのじゃ?」

「これに関しては、人の姿を保って武術を学んでいる方に聞くのがよいでしょうね。なので、武道家スライムさんに教えを乞うべきでしょう」
「武道家スライム!? そんなのもいるの!?」

 スライムの世界、奥が深すぎるよ……!

「はい、武道家スライムはワタシのように魔法ではなく、体を動かすことで人の姿を手に入れた方です。そこで技術を学べばよいと思います」
「その武道家スライムはどこにいるの?」

 すると、マースラは顔を曇らせた。
 えっ、居場所不明ってこと!?

「武道家スライムさんは常に武者修行をしているので、定住地がないのです……」
「それは弱ったのじゃ……。全国探すのは骨が折れるぞ……。ハルカラの時のように尋ね人の紙を作らねばならん……」

 あの人騒がせなやつをもう一度やらないといけないのか……。

「ああ、でも、武道家スライムさんは市井に交わって武者修行するというのをモットーにしていらっしゃいますので、各地の町をくまなく調べれば見つかるんじゃないですか。人間社会での名前も持っているはずですし」

 よかった! 名前があるなら、まだ探しやすい! スライムみたいな武道家を探してますっていうのは難易度高すぎるからね。

「名前はずばりブッスラーさんです」
 私の名づけ方とほぼ同じコンセプトだ!



 こうして、私たちの捜索の旅は次の段階を迎えた。

 一度、高原の家に戻った私たちはブッスラー氏を探す張り紙を作った。
 そのうえで、フラットルテにも手伝ってもらって、いろんな町でその紙を貼ることにした。

 ブッスラー氏が見つかるまで、ファルファの世話は妹のシャルシャがすることになった。

 具体的に言うと、お風呂に入れて体を洗ったりとかだ。

 シャルシャいわく「けっこうほこりで汚れているので、きれいにする必要がある」ということらしい。基本的に地面をべたべた這いまわっているからな。

 なお、食事は野菜などを持っていくと、ファルファは肉体に取りこんで、消化するらしい。
 どこが消化器官か謎だけど、とにかく体に入ったものが徐々に分解されているのは見えるので、ちゃんと食べれているらしい。

「別に料理じゃなくても、そのへんの土や雑草でも栄養にできるけど。だから、スライムはどこにでも増えるし、食事と認識するような行為すらほぼ不要」
「そういや、マースラの部屋も台所とかなかったね」
 そのへんの土から栄養をとってたんだろうな。

「でも、姉さんが土や雑草を食べるのは悲しいから、ちゃんと食べさせたい」
 そう言って、シャルシャはサラダをファルファのスライムの上に置いた。

 そんな姉妹同士の愛情?あふれるシーンを見ていると、ベルゼブブがやってきた。

「ブッスラーが見つかったのじゃ!」

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