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第五十一話    奴の裏をかいてやる

筒井が腕を組んでシェルターの図面の向き合っていた。モニターの中で、立体の図面がぐるぐる回っている。


「・・・・・・・・セオリー通り考えると、やっぱりこの隠し店舗からが一番安全だろうな」


筒井がモニターを指で叩くと、ソファで寝転がっていた羽下が身を起こした。


「あぁ。完全に封鎖するなんて出来っこないし、人目に触れるところからシェルターまでの距離も短い」


「・・・・・・・・それに、奴らは俺達を逮捕したいんじゃない。 始 末 し た が っ て る はずだ。警察を使って堂々とやるわけにも行かない」


二人は目を合わせて頷いた。



場所こそ違えど、正田側もほぼ同じタイミングで計画を練っていた。




立体映像として映し出された図面の前で正田と司令官らしい軍人がしゃべっている。正田はボタンを押し、あるルートを色付けして表示した。


「恐らく、奴らはこの隠し店舗のルートから侵入してくるだろう」


軍人が答える。もう若くはないようだが、姿勢、眼光、体つき、口ぶり、全てが力でみなぎっている。


「そうなると厄介ですな。一般人の無数の目の前で、大々的に動くことも出来ませんから」


正直なところ、正田にとって、一般人の目などもうどうでもいいことだった。だが、そういって勘付かれるわけにもいかない。とくに、この男には。


「・・・・・・・そうだな。何か案は?」


「えぇ。シェルターの中に隠れるのをやめたらいかがですか?」


「何?」“・・・・・・・・コイツにだけは・・・:・・・・”


「シェルターの中に“Ragnarok”の部隊を待ち伏せさせるというのは・・・・・?」


正田は頭を振った。内心脅威を感じながら。


「だめだ。それは・・・・・・・・ルール違反だ」


「は?」


「・・・・・・・とにかく!私はあの中で待機している。それは変えん!」


軍人は正田をじっと見たが、それ以上追求しようとはしなかった。


「・・・・・・・では・・・・・・・やはり、入り口を固めるしかなさそうですね。奴らも馬鹿ではない。官邸からのルートを使うことはまずないでしょう。残り二つに集中して守りましょう」



正田は曖昧に頷いた。



正田は、この計画を完全に遂行するに当たって、“Loki”以外にも3人、“脅威”とみなしたものがいる。


一人は死に、もう一人は月にいる。



そして、最後の一人がこの軍人である。



名前は三浦 和輝だ。






羽下が指を鳴らした。


「と、まぁ、俺達がそう考えるってあいつらは思っているだろうな」


筒井はにやりと笑った。


「そうだな。お偉いさんの頭は、セオリーか前例通りにしか働かないからな。俺達は―――」



正田はため息をついた後、立ち上がった。


「君らはそうやって常識で考えた作戦を繰り広げてくれたまえ、私は―――」



羽下、筒井、正田の声が、空間を越え、見事にかぶる。



「「「奴の裏をかいてやる」」」







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