表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/71

第四十九話    そっくりか?

筒井は自分の計略を、羽下に説明し終えた。



「・・・・・・・正田の行動パターンは分かっているから、そこを狙う。異議はあるか?」


筒井は無機質に言う。羽下は呆れたように笑った。


「なぁ、相棒。もっとリラックスしろよ。それじゃ、最初の仕事ん時とそっくりだぜ?」


「・・・・・・・最初?いつの話だ?」


「さぁ?詳しくは覚えてねぇけど、ドジ踏んだってのは確かだ」


筒井は笑いをこらえた。




本当にこいつは変わっていない。良い意味でも、悪い意味でも。




そうか、思い出した。




確かに、俺達の初仕事は大失敗だった。



羽下(コイツ)の“でかいことやろう”の一言で、やることになった、ささやかな情報戦争だ。



俺達は、某超大国が長きに渡って隠蔽し続けてきた“K氏暗殺事件”の重大な情報を盗みだし、全世界に公開することを計画した。


そんなことやったところで、一文の足しにはならないし、寧ろ危険の方が大きかったが、俺達はやった。ただ単に面白そうだからという理由で。



思うに、羽下のペースに巻き込まれていただけなんだろう。




だけど、それでおおむね、成功 し か け た。



自画自賛になるが、計画は完璧だったし、あと一歩で資料を盗み出すことが出来た。


まったく気付かれない内に、だ。



だがしかし、その国で作業に取り組んで一ヶ月。



俺達は敗北した。



あと数十秒で情報の取り込みが完了するといったところで、急にコンピューターの電源が切れた。もっと言えば、電化製品全てが止まった。



後で分かったことだが、その“某超大国”が、国中の電力を停止させるという荒業をやってのけたのだ。



しかも、電力が回復したときには、情報管理システムは物理的にネットワークから切り離されていた。



まったく持って信じ難いことに、奴らはこっちの居場所まで掌握しかけていた。




ギリギリでそれに気付いた俺達は、ほうほうの体で日本に逃げ帰ったのだった。



あれはまさに踏んだり蹴ったりだ。




あの時に似ているとは・・・・・・・・





「・・・・・・・そっくりか?」


大真面目に頷かれてしまった。


「あぁ。あの頃に比べて、俺達の相手は小さくなってるんだぜ?あいつらに比べりゃ、我が祖国なんかちょちょいのちょいだろうが」


「・・・・・・・・・お前の祖国は日本じゃないって」


羽下はアメリカ国籍だ。


「細かいこと気にすんなよ!じゃ、電話かけるぜ?正田様によ」


羽下は歯を見せて笑った。




筒井は、そういえば、あの時も今と同じような気持ちだったな、と思った。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ