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第四十八話    いや、まだある

―――地球




物語は、筒井と羽下、“Fenrir”と“Logi”の会話に戻る。



「正田を暗殺!?」


「ああ」


筒井はコンピューターの電源を引き抜いた。


「おい!?」


「あいつが“Loki”である保証は無い。それから・・・・・・・」


彼はポケットの中にある手帳のような形の機械のスイッチを入れた。


「・・・・・・これで盗聴の心配は無い。さて、協力するか否か」


「・・・・・・こんな面白そうなことに、俺が参加しないわけが無い」


筒井は、笑顔の羽下を横目に見ながら、“確かに”と呟いた。


「で?その頭ん中に出来た構想を聞かせてもらいましょうか?」


「・・・・・・・・簡単な話だ。正田を居場所を探り出し、頭を撃ち抜く。恐らく、それで“お偉いさんの壮大な計画”は止まるはずだ」


「・・・・・・・・・なぁ、そいつぁいったい何なんだ?お前には分かってるのか?」


「・・・・・・・・・さぁな。ただ、推測することは出来るだろう」


「・・・・・・・」


「よし、整理してみようじゃねぇか。俺達が知っていることは何だ?」


「1、“Loki”はいい加減な糞野郎」


羽下が笑いながら言うと、筒井がそれをたしなめる。


「馬鹿、真面目に考えろ。1、正田は何かでかいことをたくらんでる」


「2、その“でかいこと”で、世界の半分、下手すりゃ全部がくたばる。生物も含めて、だ」


「3、あの“Loki”が危機感を覚えている」


「4、一部のお偉いさんは生き残る」


「といったところか?」


考え込んだ羽下は、ついに“解答”を見つけた。パズルのピースを。いや、むしろ、パ ズ ル の 完 成 図 を 見 つ け た の だ。


「・・・・・・・・いや、まだある。5、 情 報 が “ L o k i ” に と っ て 武 器 に な っ て い な い」


「何だと?」


筒井は驚愕の表情でゆっくりと立ち上がった。羽下の頭の中で、パズルのピースがはまり始める。


「そうだろ?“Loki”は全てを握っているはずだ。でも、今回はそれをどこかからもらそうとしない」


「・・・・・・・・詩織経由で広げるつもりだったのかもしれない」


「おいおい、女刑事経由でどうやって広めるんだよ?そんなことするより、マスコミの本部に叩きつけた方が手っ取り早いし、あいつは今までそうして来た。例の自動車会社のリコール隠しも、IT企業の先駆けの社長がとっ捕まったのも、プロ野球界の薬がらみのうわさも、元はといえば、あいつがマスコミをどうにかして動かした結果だったろ?」


「・・・・・・・・まぁ、確かに・・・・・・・」


筒井は明らかに歯切れが悪い。しかし、羽下はかまわず続ける。


「今回に限って、それをしない。なぜだと思う?」


「・・・・・・・・・」


「出来ねぇんだ!パニック、暴動が起こるからだ!」


羽下は目を輝かす。難易度の高いパズルを完成させた子供のように。


「でも、遅かれ早かれ分かるんなら・・・・・・・・」


「いや、気付いたときには全てが終わってるんだ」


彼は怪訝な顔をした筒井に何かを耳打ちした。


「・・・・・・・・・なるほど・・・・・・・そうすると・・・・・・・やはり、正田の暗殺が急務だな・・・・・・・」


羽下は“元・相棒”の目の中に、驚きがまったく無いことに気付いた。そして、悲しみが見えたような気がした。



何故だ?



羽下は思った。



昔通りだろ?ちょっとでっかくなっただけのこと。




また俺達が“お偉いさん”の裏をかけるってのに、こいつは何におびえてやがるんだ?





だがしかし、羽下は疑ってはいなかった。







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