第四十五話 落ち着け
部屋に葵、翔、隼だけになり、三人はほっとため息をついた。ほぼ同じタイミングで、翔と隼が縄を切る。
隼はごろりと仰向けになり、目を閉じた。
「目、耳は無いにしても、やっぱコンピューターが無けりゃ、やることねぇな」
「・・・・・・・そうね」
「・・・・・・いや」
翔はすくっと立ち、隼を見下ろした。
「・・・・・・・お前の話を聞くことぐらいは出来るだろ?」
「・・・・・・・俺の・・・・・・話?」
葵も座ったまま隼を見る。
「思い出した。“地球の半分を吹っ飛ばせる核爆弾”が・・・・・・・・・」
「ああ、それか」
隼はむくりと起き上がる。
「単純な話なんだけど・・・・・・・・」
ガチャ
南が図ったかのようなタイミングで入ってくる。隼はそれで口をつぐんでしまった。南は既に切られて床に転がっている縄を見つけ、呆れたように言う。
「・・・・・・・まったく、君らはおとなしくすることが出来んのかね?」
翔は肩をすくめる。
「別に何もしやしませんよ。窮屈なのが嫌いなだけで」
「・・・・・・・まぁいいだろう。それより・・・・・・・・」
“南司令官!!”
南の背後の壁がモニターに切り替わった。ひどくあせっている若い軍人が映し出される。南は遮られたのが不愉快だったようだ。
「・・・・・・・なんだ?騒々しい」
“受刑者達の蜂起です!!正確な数は不明ですが、相当な数な様です!!”
南はちらりと三人を見たが、格別あせっているようには見えなかった。
「落ち着け。相手の武器は?」
“どうやら、わが軍の武器を横流ししたものがいるようです!”
「ふむ。恐らく、ここにいるお三方の仲間だな」
南と違い、若い軍人は滑稽なほど動揺している。
“どうなさいますか!?”
「落ち着けといっている。どうせ、彼らには武器はあっても、防具が無い。時間稼ぎさえ出来れば、全員“Panikhida”の餌食だ」
南はにやりと笑った。
「確実に勝つ勝負。じっくり詰ませるとしよう」
翔は内心あきれ果てていた。
“勘違いも甚だしい・・・・・・・・・相手の駒をたくさん取れば勝てると思ってやがる”
もちろん、そのほうが有利になることは否定しない。
だが、大事なのは、チェック・メイト。
王を取るのが第一だ。
ほかの駒は、そのための捨て駒でしかない。
“・・・・・・・・そーいや、この考えは哲に教わったんだっけ”
翔は、自分も捨て駒のひとつかもしれないな、と呟いた。
ご無沙汰いたしやしたm( _ _ )m
パソコンの調子がよくありませんで・・・・・・
直ったわけではありませんが、またがんばってまいりますf(^_^;