表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/71

第十五話   二人のピエロです

「何を言おうとしているのかね?」


機長は、顔をしかめて僕を見た。


「・・・・・・良いでしょう。はっきりいいますよ?」


「・・・・・・」


僕は廊下を早足で歩きながら続けた。


「この船の乗客の 9 割 が 組 織 の メ ン バ ー ということを知っています・・・・・・あ、それと、南さん」



僕は付け加えた。


「ポーカーフェイスを身につけたほうが良いんじゃありません?」


慌てふためく男を横目で見るのは、面白かったが、先のことを考えるとどうにかしてもらわないと困る。貴重な人材なのだから。


「・・・・・・まさか、私たちの・・・・・・」


「“Straw”でしょ?」


「何の話だ?」


「政府の機関があなた達の計画につけたあだ名ですよ。“藁”ってね」


「・・・・・・藁?」


「溺れるものは藁をもつかむ」


機長はそれきり黙ってしまった。


“ちょっとまずかったかな?”


「まぁ、やるしかないですよ」


機長が力なく笑った。


「種の見えてるマジックを披露しろと?」


「はい」


ついつい、笑ってしまった。


「二人のピエロです」


「君も、かね?」


僕は何も言わなかったが、彼にはそれでよかったようだ。




僕たちはシャトルの集会所の扉の前に立っていた。


「・・・・・・前に聞いたかな?君は何者だ?」


「・・・・・・ごく普通の高校生です」


「・・・・・・最近の高校生はレジスタンスのアジトも知っているのか・・・・・やれやれ・・・・」


諦めたかのように首を振った機長を促し、扉を開けさせた。


「・・・・・・・」


「・・・・・・・」


張り詰めた空気に満ちていた。


“やれやれ・・・・・・ちょっと違う連中が入って来たぐらいで殺気立ちやがって・・・・・”


「お二人さん、何か間違えてないか?」


僕の身長は182cm。結構高いほうだろ?そんな僕が見上げてしまうような大男だ。その上、ボディビルでもやってるんじゃないかというほどの体つきで、人を小馬鹿にした笑みを浮かべている。


「何も間違ってないよ」


機長が完璧に冷静さを保っているには驚かされた。


「ここがどこか、君たちか何者か、しっかり分かっているつもりだ」


金属音が鳴り響き、いくつもの銃口がこちらに向けられた。


““怪しんでください”と言わんばかりだな。ブラフだったらどうすんだ?”


目の前の大男も銃を構えていた。銃器類に詳しくないのでよく分からないが、とてつもなくごつい銃だった。


「どういう意味かお聞かせ願おうか」


機長が両手を広げ、周りを見渡した。


「私は“South-Pore”だ」


部屋の中の者がぴたりと止まった。そして、構えられた銃がゆっくりと降りていった。


「・・・・・・待ってましたよ」


声がしたほうを振り返ると、僕ぐらいの身長で、サングラスをかけた男が立っていた。


「まさか機長がそうとは思ってませんでしたが・・・・・・」


「君は?」


「“Wildcat”です」


「え!?」


つい、声が出た。皆が僕のほうを向く。“Wildcat”がサングラスを取った。


「・・・・・・・哲!?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ