第四話 百鬼夜行
「種を守る……。なるほど、魔王の生まれ変わりであると言う俺との間に子を生すことで、大きな力を手にして、現代でも生き残ろうと」
「うん、そうだぜー!」
何故かダブルピースを決めながら、狐々さんがそう口を挟んだ。
なんでダブルピース?
ちなみに、真理亜が何故この流れに混ざっていないかと言うと、まあ簡単だ。
眠っているからだ。
さっき一瞬起きたが、また眠ってしまった。
もうお前だけは帰れよ。
「こら!! 狐々、私が話しているではありませんか!!」
「だってさあ、音把ばっか話しててずるいじゃん。ねえねえ、ダーリン!! アタシもおしゃべりしたい!!」
「おいおい、誰がダーリンだ。正直満更でもねえぞオイ」
俺はケモナーではないが、まあこう、可愛らしい声でそんな風に呼ばれると、なんだか照れるが、悪い気はしない。
おっと、でも下手なこと言うと童貞がばれかねないので気をつけようっと。
「あははっ!! 満更でもないんだな。じゃあ、ダーリンって呼ぼうっと!」
「もう、……本題に戻りますわよ。山本五郎左衛門様には大勢の配下の妖怪がおりましたが、我々はそのうちの『四天妖』と呼ばれた種族のものなのです」
「はい、ボク達大天狗は、山河の妖怪を統べ」
「あたし達妖狐は獣の妖怪を統べ」
「私達鬼族は妖を統べ」
「ぐー、ぐー」
「……玉兎族が、神妖を統べており、私達は山本五郎左衛門様に最も信頼されておりました」
寝入っている真理亜の代わりに音把さんが説明してくれた。
マジでこの筋肉は何がしたいんだ。
森にリリースしてやりたい。
「ボク達は、いずれ現れる山本五郎左衛門様の生まれ変わりに仕えよ、そう一族の中で教え育てられてきたんです。子どもを生すというのも、妖怪を守るだけでなく、五郎左衛門様の血を残し、もし何かあっても前回のように復活を長い間お待ちせずとも良いように、と言う意味もあるからさ。五郎左衛門様の血を直接引いた方がおられれば、その方を寄り代とし、直ぐに五郎左衛門様は復活できますし」
「なるほどねえ。……まあ、すごい話だけど実感湧かないんだよねえ」
どうにもねえ。
俺がそんなとんでもない奴の生まれ変わりだとは思えないんだよね。
というか、もし五郎左衛門の力が完全復活したら、俺の自我はどうなるんだ?
「なあ、五郎左衛門が俺の中で復活したとき、今ある俺の意識ってどうなるんだ? 消えると……本気で困るんだが」
「大丈夫、ご安心ください。五郎左衛門様が復活すると言っても、あなたの体を寄り代にその魂と力が戻り、あなたの魂と同居するだけです。あなたの意思が消えるわけではありません。そこはボクら、四天妖が保証します」
俺の言葉に、千代ちゃんが応えた。
そうか、正直焦った。
こんなところで死にたくねえしな。体が残っても、俺の意識が消えるなら死ぬようなのもだ。
しかし、……この俺が魔王とか。まだ実感が湧かねえなあ。
「ううん……」
「どうしたんだ、ダーリン?」
「ダーリンってマジで固定なのか? 良いけどさ。いや、実感湧かねえなあと。いきなり魔王なんていわれてもねえ。そりゃ、実際に妖怪がこうして姿を現しているんだから、何かとんでもねえことが起きてるんだろうとは思うんだけどさ。頭が追いつかねえんだわ。まるで夢でも見てるみたいだ」
俺は頭をかきながら、そう言った。
下手に見栄を張ったり、誤魔化すべきじゃない。
よく分からないときは、分からないと言え、というのがひいじいちゃんの言葉で、俺はこの考えには納得している。
そのため、分からないときははっきり言うのだ。
「なるほどね。じゃ、ダーリン。ちょっと良いかな?」
「うん? 何?」
そう言う狐々さんに、俺は首を傾げた。
すると、彼女は頭にどこからか取り出した葉っぱを一枚乗せた。
「どろん!」
そして、そんな掛声と共に彼女を煙が包んだ。
煙が晴れたとき、そこに居たのは3本の尾と狐耳はそのままだが、それ以外は美しい人間の姿になっていた。
髪は狐のときの体毛と同じ、きれいな金色だ。
顔にもどことなく面影があり、彼女が狐々さんであることは間違いないようだ。
なるほど。狐なだけあって、変身は得意なようだ。
狐は人を化かすのが得意らしいからな。
さて、そんな美しいケモ耳娘に変身した彼女は、ゆっくりと俺に歩み寄り――。
「ぺろり」
「――ッ!!」
と俺の頬を舐めた。
俺は声にならない驚愕を示す。
いやいや、女性に、しかも美人に顔を舐められるとか人生初だ。
俺が狼狽するのは無理もないだろう。
――なんて解説してられるか!! うわああああ!!
何かすごいドキドキするッ!! うまい事いえないけど!! なんか、こう、落ち着かない!!
「あはは、こういうの、慣れてない? ……大丈夫。ゆっくり、やってあげるからさ」
「な――何を?」
「あはは、実感させてやるんだよ。……魔王様になるんだってことをな」
英雄色を好む、とは言うが、オイ待ってくれ。
心の準備が出来てないんだよ、つうかそんないきなりで対応できるほどジャパニーズボーイは進んでいないんだよ。
その言葉と共に、彼女の手が俺の胸元に伸び、俺のシャツのボタンを外そうと――。
「何をやっているのでございますか!! このアバズレ狐!!」
したところで、床においていた金棒を拾い上げ、更にその金棒で音把さんが狐々さんを殴りつけた。
――ゴパァッ!!
という音を響かせ、狐々さんが弾き飛ばされ、開いていた障子の間を抜け、庭にたたき出された。
「クゥン!! 危ないなあ!! なんてことするんだよ! 大体、アタシはアバズレじゃないっつーの!! 初めてよ!!」
殴られた結果、煙と共に元の姿、つまりケモノ姿に戻った狐々さんが音把さんに怒鳴りつける。
どうやら尻尾で衝撃を吸収して耐えたらしい。
よかったわ……。俺の家でグロとか勘弁願いたい。
スプラッタ映画は平気だが、だからと言って目の前の生物が死ぬのは勘弁願いたい。
「それはこっちのセリフでございます!! いきなり斜郎様の頬を舐めるなど!! 不敬ですよ!!」
「えー、良いじゃん。ぶー」
狐々さんは頬を膨らませてむくれていた。
だが、そんな彼女を放って、音把さんは懐紙を取り出し俺の頬に残った狐々さんの唾液をふき取る。
「ああ、すみません」
「いえいえ、お気になさらずに」
そうして、音把さんは……俺の腰のベルトに手を掛けた。
って、オイ!!
「何すんの!?」
「え? ああ、いえ。すみません。脱がされるより脱がす方がお好みでしたか?」
「うん、そう言うんじゃないよね!! なんで初対面の人間とそんな関係になるの!!」
「何をおっしゃいますか。初対面の商売女と事を為そうとしていたではありませんか」
「うぐッ!!」
デリヘル嬢に帰ってもらったときのことを見られていたのか。
みんなには和室で待つように言っていたのに!!
「あんな商売女に金を払うくらいなら、……私が応えて差し上げますわよ? あなたの望むままに」
と言って、音把さんが俺の肩に胸を押し付ける。
アイエエエエエエエ!!
そしてそのバストは豊満であった。実際スゴイ!!
なんて忍殺用語で誤魔化してる場合じゃねえ!!
うわあああ!! 何この人!! おっぱいデカイなオイ!!
わーい、わーい。おーっぱい! おーっぱい!
じゃあねえよ!! おちつけ、落ち着くんだ山本斜郎!!
俺はどんな事態でも冷静さを欠かなかった……なんてことはないが。
そこらへんに居る人の皮被ったち○こみたいな、テニスサークルで「うぇーい」とか言ってる連中とは、俺は違うのだ。
落ち着けえええええ!!
「おばさんもおばさんで何するんだ!!」
「いたッ!!」
俺の理性が戦っていると、更に千代ちゃんが手に持っていた葉団扇を扇いで、突風を生み出した。
音把さんも庭に吹き飛ばされ、狐々さんに叩きつけられるが、「ひょいっと」という軽い掛声と共に、狐々さんが避け、音把さんはその向こうの竹藪に突っ込んで行った。
こいつら、体は丈夫であるみたいだが、やることなすこと荒い。
人間だったら死ぬぞ。
「もう、だめだなあ。2人とも。すみません、旦那様。ボクと同じ、四天妖の末端ともあろうものが。無理にそんな行為に及ぶものじゃないのにね」
「お、おお……。君はわりと常識あるのな」
この中では一番若く見えるのに、存外しっかりしているらしい。
見た目は10代前半くらいだが、それよりもいくらか年上なようだ。
常識人の存在に俺は心を許してしまった。
そう……、許して『しまった』のだ。
「やはり、こういうときは旦那様の求めが重要ですからね。旦那様が抱きたくなったら、直ぐに呼んでくださいね。ボク、……直ぐに行くから」
と言うと、胡坐をかいていた俺の足の上に跨り、自分の股間を俺の股座に押し当て、更に俺の首筋にキスをした。
ああああああああああ!!
何すんの!!
「ちょ!! お前!!」
「大丈夫です。無理にとは言わないから……。でも、シタイときは、言ってね!」
千代ちゃんはそんな言葉と共に、唇をぺろりと舐めた。
濡れた唇がいやらしい。
前言撤回!! この娘マジやばい!!
やばいやばい!! さっきの2人の感触も残っているのに!!
これはやばい。
俺の息子が!! なんかね、もうね、「立った!! ク○ラが立ったー!!」ってシャウトするような勢いなんだよ!!
いきり勃っているんだよ!!
本当、世界中のハ○ジファンのみんなごめん!!
でも俺も困惑してるんだよ!!
――そこで、俺はふと気付いた。
あれ? 千代ちゃんが押し付けている股間、あれ? おかしくね? なんでこんな感触が? 待って。あの、待って。
もしかして……。
「……千代ちゃん。君、ひょっとして付いてない?」
「え? 何が? ボクなんか付けてた?」
「いえ、あの、なんと言うか。ボクの『ボク』というか。その……千代ちゃんじゃなくて、『千代君』みたいなの、ぶら下がってない?」
「え? ああ、うん。ボクは男の子だよ。えへへっ! 現代風に言えば『男の娘』かな」
「何さらっと、とんでもないこと言ってんの!?」
いや、確かに俺は男の娘も守備範囲には入れているけど、それはまだ2次元の話だ。
千代ちゃん……いや、千代君か。
千代君は可愛いけど、リアルで男って言われるとね。ちょっとハードル高いだろ。
「というか、男同士で嫁ってどういうことだよ!! 君、男なんだろ!?」
「え? まあ、ボクは確かに男だけど。そんなに変じゃないでしょ。確かにお嫁さんっていうのは中々ないけど、衆道なんて位の高い方にとっては嗜みみたいなものでしょ?」
衆道……ッ!! いわゆる男色か。
確かに、日本は西洋のキリスト思想が明治頃に入ってくるまでは同性愛には寛容だったと聞く。
それを考えれば、妖怪たちも男色に寛容であるというのは自然な話か。
いやでも、俺は無理!!
リアルでは男の娘も無理!!
「いや、俺はそう言うのは……」
「……駄目、なの?」
拒もうとした俺を、上目遣いで、目の端にうっすらと涙を浮かべて、千代君が見つめる。
――何だよコイツ可愛いな畜生!!
正直、結構ドキッとした。
声も顔も確かに、女の子みたいだ。
胸板は少年らしく、薄くてしっかりしてるけど、でもだからと言って硬いわけでもなさそう……って落ち着け俺!!
このままじゃあマジでやばい……ッ!!
俺の理性がFLY AWAYするぜ!!
あれ?
というか待てよ?
男同士で子どもは生まれないだろう。
男と男の娘なら子どももできるとか、それなんてエロゲとしか言いようがない。
「ええい!! まどろっこしいのである!!」
「うわあ!!」
そんな俺を救ったのは、真理亜だった。
千代君の服の背中辺りを適当に掴み、思い切り庭に投げ捨てた。
「ぶみゃ!」
と聞いたことのない声をあげて、千代君は地面に叩きつけられた。
まあ、天狗だし、怪我はしてないだろ。
多分。
一応俺は立ち上がって、縁側の近くまで行き、確認してみたが、案の定無事なようだった。
「御託は良いのである!! もう面倒なのである。さあ、我に主の遺伝子を寄越すのである!!」
「いやだよ!! お前こういうときだけ話に参加しやがって!! 意味わかんねえんだよ!! つうかいきなり遺伝子寄越せとか言われて、そう簡単にくれてやれるか!! テメエの旦那とかやってられるか!!」
「我は嫁になる気などない!! ただ遺伝子のみ寄越せ!!」
「それも嫌だっての!! なんで惚れてもいない女と子ども作んなきゃなんないんだよ!! 俺がクズみてえじゃねえか!! 何より、見た目は置いとくとしてもお前に逆レ○プされても興奮できねえし、普通にトラウマなんだよ!!」
「ええい!! なら力尽くで行くのみよ!!」
真理亜は勢いよく、俺に掴みかかってきた。
だがそんなもので俺をやれると思うなよ。
俺は真理亜の勢いを利用して引き込み、俺自身は後ろに倒れこむようにする。そして、勢いの乗った真理亜を足の裏で蹴り上げつつ、思い切り後ろ側に投げ飛ばした。
「うおらああああああ!!」
所謂、巴投げである。
昔、ひいじいちゃんに教わっておいて良かった。
咄嗟にやったんだが、思いの外うまくいった。
最初は殴ろうかとも思ったが、体格差がでかいからな。
その結果、真理亜もまた、勢いよく庭に放り出された。
「ぬうう!! 中々やるのである!!」
だが、真理亜はきちんと受身を取ったらしい。
こいつこそなかなかやるな。
「もう!! ダーリンの初めてはアタシがもらうんだよ!!」
「あなたのような粗忽者にそんな大役は任せられません。ここは経験豊富な私が」
「そんなの、ただ年食ってるだけだよ。ていうか、旦那様もどうせ抱くなら生娘の方が良いんじゃあないの? ね、旦那様?」
「アンタは男だろ!!」
「なんでも良いから我に遺伝子を寄越せええエエエエ!!」
「「「脳筋ウサギは黙ってろ!!」」」
なんてこった。全員が獣の眼をしていやがる!!
どうにかこの状況を打破できんものか……。
と、俺が思っていたところで、ざわざわと竹薮が揺れ、葉の擦れる音が響く。
おかしいな、風は吹いていないみたいだが。
しかし、その音で真理亜を除いた3人は我に帰り、いまだ俺に襲いかかろうとする真理亜は音把さんが首根っこを押さえている。
どうしたのだろうか?
「……え? これはどうしたの?」
どうも何かが起きようとしていることを察した俺は、そうみんなに尋ねた。
俺の言葉に、狐々さんがにやりと笑って応えた。
「……実感、できそうだぜ。魔王の力ってのを」
「え?」
その言葉を聞き、俺は縁側に降りて、サンダルを履き庭に出た。
満月の光りを、俺は全身に浴びる。
すると何故か、俺の体が疼く。
血液が熱くなり、体温が上がる。
鳥肌が立つ。
息が荒くなる。
まるで……俺の中の奥深くに眠る何かが、起き出したように。
「これは……」
「さあ、魔王様を出迎える百鬼夜行でございますよ」
音把さんの言葉と共に、闇の中から様々な妖怪が現れる。
巨大な一つ目入道、尾が刃のように輝く鎌鼬、提灯の形をした提灯お化け、2本の尾を持つ猫又、巨大な車輪に人間の顔の付いた輪入道、ゆらゆらと宙に揺れる炎である人魂や、つるべ火、蜘蛛の化け物である絡新婦、蛇の化け物であるうわばみ、鋭い爪を持ったしょうけら、そんな様々な妖怪たちが現れた。
更に、名も知らぬ魑魅魍魎が溢れかえり、視界を埋め尽くす。
そして、俺の目の前に牛車に巨大な顔面のついた妖怪、朧車が姿を現した。
「……乗っておくんなさい」
朧車が俺にそう呼びかけた。
俺は何故だかはわからないが、恐怖もなく、言われたとおり朧車の側面にある簾をめくり、中に乗り込んだ。
すると、朧車の車輪が回り、空に舞う。
その軌跡には飛行機雲のように白い靄が残り、飛べない妖怪はそこを登り、飛ぶことの出来る妖怪は空を飛んで朧車についてくる。
また、千代君はその翼で、音把さんは自分で生み出した黒雲に乗り、狐々さんと真理亜は宙を駆け、それぞれが俺の後を追う。
それはまさしく、『百鬼夜行』だった。
ああ、……そうか。
こんなありえない状況に、俺は違和感なく適応し、懐かしささえ覚えている。
これが、俺の中に眠る魔王の血というものか。
……クック。
笑いがこみ上げてくる。
何故かはわからんが……。それでいい。
「クアハハハハハ!! 楽しい!! ひどく愉しいなこれは!! 笑いが止まらないなあ!!」
「それは重畳でございます。あなたの中に眠る山本五郎左衛門様の血が昂ぶっている証拠なのでございます!!」
傍を飛んでいた音把さんがそう応えた。
何時の間にやら、竹林を超え、街の方まで来ていたらしい。
大学を超え、繁華街の上空に差し掛かる。
美しい夜景が、俺の目を満たした。
「たまらんなあ。これは……」
俺がそんな言葉を漏らしたときだった。
ポケットの中のスマートフォンが鳴り、俺は仕方なく手に取った。
電話か。
相手は……ひいじいちゃんか、どうしたんだ? こんな時間に?
もう零時回っているんだが。
「もしもし。どうしたんだよ、ひいじいちゃん」
「よう!! 斜郎か!! 元気ー? あははははは!!」
「酔ってんのか。面倒だなあ。切っちゃうぞ、電話」
「落ち着け。ひ孫よ!! 大事な話じゃ!! あはははは」
曽祖父は酒に酔っているらしく、大分騒がしいことになっていた。
まあ、偶にこうして酔って電話がかかってくることはあるので、いつもなら適当に付き合ってから切るところだ。
だが、俺は今良い気分なんだ。邪魔しないでくれ。
しかし、ひいじいちゃんの言葉は俺の昂ぶった気持ちを抑えるには十分だった。
「お前んトコに、嫁になるとか言う理由で妖怪とか来とらんか?」
「……え? 何でそれを?」
「うぃい~。ひっく。……お前が妖怪と、性欲に任せて行為を行うようなことがあればの――」
俺は咄嗟にそう尋ねたが、酔った曾祖父は俺の言葉に応えず、勝手に話を続けた。
「日本、滅ぶからな」